刺激的な世界2013年07月28日 09時41分49秒

若い人に申し上げているのは、困難な課題に挑戦しろ、ということです。論文を書くような場合、自分の現状や力量に見合ったテーマを設定することも重要ではありますが、研究を通じて自分の能力を高めることも若いうちはとくに目標となることなので、つねに、上を見ている必要があります。外国語が苦手だから使わずに済むテーマを選びたい、という方にときどき出会うのは残念。本当にやりたいことがあれば、その外国語を習得するぐらいの気概はもつべきです。それができるのが、若さの特権なのですから。

というようなお説教は、自分もそれなりに挑戦していなければ、説得力がありませんよね。30日のモンテヴェルディ・コンサートの研究まわりを引き受け、対訳・解説・字幕を担当するというのは、私にとって困難な課題そのものでした。しばしば力不足を感じましたし、時間もかけました。

しかしなんとか到達点に来ると、一定のパースペクティブが自分うちに形成されていることに気がつきます。何より思うのは、初期バロックの宗教曲やマドリガーレが、テキストにしろ音楽にしろ、並びないインテリジェンスの所産であるということです。知るにつれ、近づくにつれて面白くなるわくわくするほど刺激的な世界が、大きく広がっています。その喜びを客席と共有するのが、今回のコンサートの目標。ステージでは解説と字幕を通じて、少しでもわかりやすくなるように務めます。

27日(土)は、横浜の渡邊城でリハーサル。研究情報を演奏者の方々にお伝えし、解釈の方向を議論しました。歌い手にはバッハ・コレギウム・ジャパンの中心メンバーが加わっていますし、渡邊順生、平尾雅子の通奏低音を初め、器楽もレベルが高いと思います。火曜日のサントリーホール・ブルーローズに、少しでも多くの方が足をお運びくださるようお願いします。

コメント

_ ルビー ― 2013年08月01日 19時09分37秒

素敵なご盛会おめでとうございます!
気になる障害も消え去りブルーローズに滑りこみセーフできました。。。
モンテヴェルディとの魅惑の出会いは麗しき青春時代(笑)・・・多分ギリシャ神話のロマンに惹かれて手にしたエラートの《オルフェオ》全曲盤レコード。愛らしく鳴り響く器楽のリトルネッロをはじめ豊潤な響きのドラマは夢見心地の世界でした。。。舞台での上演を観たのはずっと後で、外国の古楽カンパニー来日の時…音だけの印象ほど感動しなくて、モンテヴェルディともそれっきりになっていました。。。

そこで微かにピンと感じたこのコンサート・・・魅力的な小編成で宗教曲も世俗曲も愛のテーマをめぐってインティミットに体験できそうな、私の未開発のプログラム!
ただ「並びないインテリジェンス」の世界は少々敷居が高く猫に小判?ともビビりましたが(何せ前日まで最近お気に入りの愛にあふれたJ-POPに涙していたのです)、滅多にない可能な機会を逃さなくて本当に感激でした!
精魂のこもった実力派日本人のパフォーマンスには独特なシンパシーが生まれる感じ。。。2部のアモーレの世界になると装いも品よく色とりどり、耳にも目にも気分にもカラフルに映りました。I先生のお話ぶりもより流暢にノッていらしたような。。。

上質な夕べのひとときをありがとうございました!ちゃっかり「喜びを共有」できた気になりました(笑)。。。

バラ色の人生ルビー

_ I招聘教授 ― 2013年08月04日 10時14分48秒

ルビーさん、いらしてくださったのですね。結構客席を回ったのですが、気がつきませんでした。ごめんなさい。

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