やっぱりいい!モンテヴェルディ2013年07月31日 23時59分16秒

「モンテヴェルディ~愛の二態」にご来場の皆様、ご出演の皆様、また種々ご協力いただいた方々、ありがとうございました。私のプロデュースするコンサートはごくささやかなものから広がりをもつものまでさまざまですが、今回のコンサートは、クォリティの高さという点では自分史のなかで指折りのものではなかったかと思っています。皆様のおかげです。

今回の会場は、昨年の《聖母マリアの夕べの祈り》の継続という意味でも、絶対にサントリーホール(ブルーローズ)でなければ、と思っていました。結果は本当にそれでよかったのですが、背伸びをした分、しわ寄せがいった部分があります。それは、私の責任範囲である、字幕。高価なレンタルをあきらめ、「たのくら」所蔵のホームユース(!)のプロジェクターを、立川から運びました。

私は、適切な字幕とともに鑑賞すれば、音楽の感銘は3割増しになる、と確信しています。ですから、モンテヴェルディのマドリガーレのような高度に文学的な作品には字幕が必須と考え、自分で準備しました。ただその設備に手抜きをしたので、字幕を客席から見えるように投射できるかどうかが、最大の不安であったわけです。

当初想定した幕に映してみると、ほとんど読めないことが判明(泣)。その後さまざまな努力を費やして改善しましたが(担当の方々、まさお君、お世話になりました)、結果は、ある程度の範囲でまあまあ読めた、というところだったでしょうか。芸大生が献身的にオペレーターを務めてくれたのは、《ヨハネ受難曲》ゼミの副産物です。

 櫻田亮さんが発揮された世界的レベルのカリスマ性は、これまで私がプロデュースしたコンサートにはなかったもの。彼が上杉清仁さん、谷口洋介さん、小笠原美敬さんと組む男声アンサンブルの音程の良さとスピリットはプロの妙技と言うほかなく、脱帽です。阿部雅子、渡邊有希子の女声お二人も大健闘で、《マニフィカト》のエコーでは鳥肌が立ちました。器楽は、天野寿彦、渡邊慶子(ヴァイオリン)、平尾雅子(ガンバ)、渡邊順生(オルガン、チェンバロ)という実力型の布陣。初めてご一緒する天野さんの様式感はたいしたものでした。

 休憩時間に打ち上げの予約に走るようなプロデューサーでしたが、次を早くやりましょうという言葉を一流の方々からいただいて、モンテヴェルディに対する演奏者たちの強い思いを実感。個人的には、重唱マドリガーレのすばらしさを何倍にも感じるようになったことが収穫でした。はまると抜けられないのが、モンテヴェルディです。

最後になりましたが、とくにご案内しなかった旧知の方々にたくさんお出ましいただいたのが嬉しい驚きでした。ありがとうございました。

コメント

_ TG ― 2013年08月02日 13時47分56秒

 素晴らしい演奏会を開催していただきありがとうございます。教授は私より確か5カ月だけ年上の同年輩だったと思いますので、若干上から目線かもしれませんが、演奏以外の感想を。
 教授の解説は長さ・内容とも適切・的確でとてもためになりました。ユーモアも、いつもながらの、程よく感じの良いものでした。
 教授が打ち上げ会の手配をされている間、私は後半の対訳を一生懸命頭に入れようとしていました(無駄でしたが)。ただ、前半全く読めなかった字幕は、後半は何かを調整されたのか、ほぼ中央左の私の席からもよく読み取れました。
 教授の対訳の日本語はいつもながら自然でわかりやすく、言葉遣いも適切で、以前にブログで書かれておられたような真摯な姿勢が表れている翻訳だと思います。私は手持ちのLPやCDに添付された対訳の「突っ込みどころ満載な日本語」のお粗末さに呆れはて(活字が小さくて見えなくなったということも大きいのですが)、最近ほぼ毎日のようにオペラや声楽曲の対訳作り(校正?)に勤しんでおります。遠大な計画ですが、モンテヴェルディのマドリガーレ対訳全集私蔵版作成のための参考にさせていただきたいと思います。
 なお、「倫理的・宗教的な森」は40曲(同じ曲を除くと37曲?)だと思っていましたが、プログラム記載の27曲というのはどういう数え方なのでしょうか。
 「めしのたね」にはならないかもしれませんが、このような演奏会をぜひともまた企画していただければ幸甚です。

_ I招聘教授 ― 2013年08月03日 08時09分47秒

TGさん、ありがとうございます。今回の対訳は問題点を多々残しているのでいずれお教えをいただきたいと思いますが、ちゃんとやらないといけないなあと思ったことも確かです。曲数、37曲ですね。たいへん失礼しました。

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