卓抜なイメージ2010年01月10日 21時18分40秒

土曜日、クリスティーさんのコンサートを途中で飛び出した私は、紀尾井ホールへ。途中で昼食を摂ったものですから、四ッ谷へは駆け足になりました。やっぱり走ると、あとが疲れます。

紀尾井のコンサートは、尊敬する今藤政太郎先生の邦楽リサイタルでした。リサイタルといっても、2人の人間国宝をはじめ、邦楽界の重鎮がずらりとステージに並ぶ、大コンサートです。これだけの方が共演されること自体が、今藤政太郎先生のぬきんでた力量とご人格を証明しています。演奏内容も第一級のものであったことは、いうまでもありません。

具体的な内容については専門外でもありますので控えますが、「書く」という私の専門にかかわることを、ひとつだけ書かせてください。

後半に、『古事記』の仁徳天皇の章に取材した今藤先生のオリジナル作品が演奏されました。尾上菊之丞さんの原案構成による《舟と琴》です。丈高い木が伐られて速い舟になり、それが焼かれて名器の琴になるというお話で、最後に、天皇の作歌とされる古代歌謡が歌われます。

駒井邦夫さんによるプログラム解説では、このあたりについて、次のように述べられていました。「大君は、大木から舟に、そして今一面の琴にと精霊の魂が移り宿ったと感じたはずです。大君はその琴に歌を贈り称えます。曲の最後は、大君の作った歌が唄われます。その歌の感じは、古墳時代の朗々としたひろがりを聞く者にあたえます。」

「古墳時代の朗々としたひろがり」とは、何というすばらしいイメージなのでしょう。私は古代にそんなイメージを重ねたことなど、一度もありませんでした。深い尊敬を覚え、何度も何度も読み返してしまいました。

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