思考力を育てたい ― 2010年02月18日 23時37分33秒
週刊誌で読む藤原正彦さんのエッセイがすばらしいので、単行本を買いました。『数学者の休憩時間』という、新潮文庫です。共感しつつ読み進めていますが、しばしば説かれているのが、論理的思考力の大切さです。
たしかに、これは大切。論文を書くような学生にはとりわけ大切で、今の受験教育、客観テストの教育では、育てることがむずかしいものです。では、どうやって育てたらいいでしょうか。
思考力は、自分で考えることを積み重ねなければ、育ちません。つまり、教師は学生に、自分で考えさせなくてはならない。考えさせ、待ち、議論し、修正するのが理想。これは、教えすぎてはいけない、ということを意味します。
ところが、同業者と話してみると、学生が考えなくて済むように手伝ってあげるのが親切、と考える方が、案外よくおられるのですね。たとえば、いまは十分な思考力をもたない子が大学に入ってくるから、手引きを十分に与えて、それを見ながらできるように、と考える方がおられて、驚いてしまいます。もちろん学生からしてみれば、親切な、いい先生です。しかし私は、この点に関しては、自分の考えを貫いていきたいと思います。
などといいながら、つい手伝ってしまうこともある、現実。先日ある学生が、訳詞を見て欲しい、と言ってきました。力のある学生だったので、ここを再考しろ、というメモを何カ所かにつけて送り返したところ、今日、見事に直った改訂稿が送られてきて、感心。嬉しい出来事でした。
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