死を思う日 ― 2010年02月21日 22時23分18秒
目下、勤め先の入学試験が進行中です。今日は全学的な学科の日で、朝から試験監督。昔は、1年でいちばんいやな日のひとつでした。緊張はするし、時間は経たないし。でも今は、まあ人数が減ったためもありますが、ずいぶん楽な気持ちでできるようになりました。歳を取ってよかったことのひとつがこうしたことで、人間関係も、すごく楽になっています。まあ、人間関係からくるストレスの量が職場で一定であるとすれば、私が楽になった分、どなたかに回っているのかもしれないのですが・・・。
試験監督はやることがありませんから、5分経過するのがたいへん。1日で、一番長い日です。それでも、ちゃんと過ぎ去る。人生が長くても、必ず死ぬ日が来るのと同じです。かくして学科の試験日は、毎年、死を思う日となっております。
DVDの仕事を続けていますが、今日、本当にすばらしいものと出会いました。アーノンクール指揮、フリム演出、チューリヒ歌劇場のベートーヴェン《フィデリオ》です。
私は《フィデリオ》という作品がこれまでどうしても好きになれませんでした。しかしこの《フィデリオ》は、別の曲のように聞こえます。ルーティンの澱をすっかり洗い流して、新鮮で清潔な演奏が展開されているのです。加えて、耳と目が完璧に融合している。歌劇場でこんなクリエイティヴな仕事ができるとは、驚くばかりです。生まれて初めて、《フィデリオ》に心から感動しました。カミラ・ニルンド(レオノーレ)、すばらしいですね。
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