バロックの森その32010年03月11日 13時29分39秒

火曜日、「バロックの森」の3回目の収録をしました。4月2日(金)、3日(土)の放送分です。

4/2は今年の聖金曜日ですので、バッハの《マタイ受難曲》をぶつけました。普通の演奏、普通の抜粋ではつまりませんから、CDは、ジョン・バット指揮、ダニーデン・コンソート&プレイヤーズ(英)のものを使いました。これの売りは、リフキン方式であることと、1742年頃とされるバッハ最後の上演を復元していることです(第2グループの通奏低音にチェンバロを使っているとか、ガンバを第2グループにも含めているとか、まあ部分的な違いです)。第一級の演奏とまではいきませんが、面白いと思います。

《マタイ受難曲》では2つのグループの応答する楽曲に重要なメッセージが込められている、というのが私の作品理解ですが、今回の抜粋では、対話曲ばかり集めてみました。一度やってみたかったことです。1つのパースペクティヴには、なるかと思います。

4/3は復活祭を先取りしました。教会暦の原則からするととんでもないことでしょうが、日曜日は放送がありませんので、フライングさせてもらいました。曲は、ビーバーの《ロザリオのソナタ》の第11番と、シュッツの《復活祭オラトリオ》です。

ビーバーはトラジコメディアとマンゼのどちらにしようか考え、トラジコメディアを選択しました。こちらの方が、通奏低音が多彩に編成されているのです。それと、オルガニストのモロニーの解説が面白く、それを紹介しました。モロニーによれば、第1楽章の〈ソナタ〉は日曜日の朝の美しい日の出であり、第3楽章のアダージョは、イエスがマグダラのマリアに出現する、神秘的な場面であるというのです(第2楽章は古い聖歌〈キリストは今日よみがえった〉によるもので、これは楽譜に明記されています)。ひとつの読み方ですが、演奏者自身によるものなので、紹介する価値があると考えました。

シュッツは、フレーミヒ、ベルニウス、ヤーコプスを比較して、ヤーコプスに決めました。

というふうに楽しくやっていますが、なかなか時間がかかります。雨模様のNHKを出て大学に行くと、雪に変わっていて驚きました。

コメント

_ カナリヤ ― 2010年03月28日 09時24分29秒

はじめまして。こんにちは。先生のご著書、CD解説書を拝読しているものです。いまは先生が解説をお書きになっている、ピノック/イングリッシュコンサートの「チェンバロ、弦と通奏低音のための協奏曲 イ長調 BWV1055-チェンバロ協奏曲全集 第4集-」を聴いています。3年前に難病となり療養をするようになってから毎日バッハを聴いています。生きる喜びを得ました。バロックの森を先生がご担当されるとのことで、大変楽しみにしております。

_ I教授 ― 2010年03月29日 01時33分53秒

カナリヤさん、嬉しい書き込み、ありがとうございます。バッハが本当の意味での音楽療法になるよう、お祈りします。

_ マッキー ― 2010年06月23日 23時28分40秒

はじめまして。こんばんは。
ベーレンライター版のマタイ受難曲の楽譜を見ると、合唱やオケなら分かるのですが、アリアの所にもローマ数字の1や2が書いてあります。
独唱パートのこの数字は、何を示しているのでしょうか。ご教示をお願いします。

_ I教授 ― 2010年06月23日 23時36分22秒

Iは、アリアを歌う歌手が第1グループから出ることをあらわします。IIは第2グループです。ですから、合計8人のアリア歌手が、本来必要であるわけです。現在では、IとIIを1人の人が兼ねるのが普通で、これはできれば避けたい措置です。

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