最初の幸福な終わり2011年04月06日 23時46分56秒

基礎ゼミ・レクチャーコンサート「音楽の力」にご協力たまわった方々、ありがとうございました。8年間続けてきた企画の最終回ということで、私もさすがにテンションが高かったですが、企画の意図を出演者の方々に惜しみなく汲みとっていただき、これ以上の幸福はありません。演奏の先生方との間に長年にわたって培われた信頼関係のありがたみを満喫させていただいた、昨日でした。

もちろん、新入生のために一丸となって「音楽の力」をお届けしたコンサートです。しかしここでは、客観的な全体報告ではなく、私的な御礼を申し上げることをお許しください。私への感謝をこめて演奏するとおっしゃってくださっていたオーケストラの先生方、大御所がキラ星のごとく顔を揃えてくださった声楽の先生方、もちろん私は主役ではありませんけれども、心からの感謝をもって受け止めております。私のモーツァルト観の化身のようにさえ思われる久元祐子先生への感謝は、もちろんのことです。

皆さんが最高レベルのコンディションで《魔笛》に参集してくださいました。ひとつひとつ書くわけにもいきませんので、ここでは意外性のあったひとつの点だけをご報告させていただきます。それは、第2幕フィナーレの終わり近くにある、夜の女王一行の神殿襲撃場面に関してです。

この場面に出演してくださったのは、佐竹由美(夜の女王)、悦田比呂子・押見朋子・秋葉京子(侍女)、青柳素晴(モノスタートス)という先生たちでした。そうそうたる重量級の布陣なのですが、出番は、わずかに2分。夜の女王の有名なアリアもモノスタートスのアリアも、侍女たちの五重唱も全部カットされた中でのご出演でした。

ところが、黒の衣装で揃えた5人が舞台に現れると、〈パ・パ・パの二重唱〉の雰囲気が一変し、ホールに威圧的な緊張感がみなぎったのですね。大歌手の貫禄、といえばその言葉に尽きますが、わずか2分のためにじっくり打合せし、練習も積んで出てくださったそのお気持ちこそ、大歌手の条件であるとも思いました。この場面が引き締まると、最後の合唱の効果が全然違うのです。

内輪のご報告申し訳ありません。国立音大、がんばってまいります。

コメント

_ tm ― 2011年04月07日 03時08分09秒

会場の片隅で小さくなって(もともと小さいが、、)、拝見しました。
ほんとうに素敵なコンサートで、是非、一般向け再演をお願いたいと思います。

前半、久元先生の協奏曲も堪能させて頂きましたが、後半の《魔笛》での、夜の女王一行のシーンは圧巻でしたね。
冒頭でのキャスト紹介の時点で、既に万来の拍手。さすが、往年の(失言!)大スターの貫禄です。
あの侍女さまたちを見たら、シュワルツコップ、ルートヴィヒ、ヘフゲンという超ど級を揃えたクレンペラーの《魔笛》盤を思い浮かべずにはおられません。
(個人的には、佐竹先生のアリアを、お聴きしたかったので、、残念!)

それと感動したのが、三童子さんです。
近年はボーイソプラノでやられることの多いこの役ですが、高度の歌唱力をもって歌われることで、曲の魅力がフルに実感できますね。
昨年のサントリーHでの抜粋公演の時、そう感じました。あの時とは違うメンバーですが、今回も素敵でした。

先月のデビュー(?)公演が中止になって聴き逃した大武さんの高音を、ほんのちょっとですが、お聴きできたのも、何よりでした。
演技もお上手ですね。今後、本格的な歌唱を伺うのが楽しみです。
(上から目線ですみません……(^^;))

蛇足となりますが思い出を少々。。
私が初めて秋葉先生の歌を拝聴したのは、新進メゾと言われてらした芸大院生時代のことです。
あの時のハツラツとした歌声を、なつかしく思い出しました。
おそらく、○○年後の三童子さんの歌を聴くことは、できないと思いますが(吉田秀和センセイくらい長生きすれば聴けるかな?)、皆さん、がんばってくださいね。

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