大家の筆力2012年05月15日 23時35分30秒

パーティで篠田節子さんが挨拶される場に、過去2回、居合わせたことがあります。ものやわらかな感じのよい方で、「常識人」という言葉が浮かびました。当然小説も、その延長線上にあるものと考えて読みますよね。

ところが。そんな甘いものではないことがわかりました(笑)。柴田錬三郎賞を得た『仮想儀礼』は、厚い新潮文庫の、上下2巻。雄大な構想に驚嘆しつつ、むさぼるように読んでしまいました。宗教がテーマで、新興宗教の教祖の波乱万丈の体験が綴られているのですが、宗教論議はたいへん深いし、人間描写は批判意識を交えて、どぎついほど。まさに、大家の筆力です。よほど勇気がないと、ここまでは書けないでしょう。

2冊目には、『聖域』を選びました(集英社文庫)。これも、ぐんぐん惹きつけられて読んでいます。女性作家、すごいですね。

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