即興演奏2012年12月08日 23時35分10秒

即興演奏というと、目先の変化を楽しむもの、というとらえ方がありませんか?少なくともバッハには、それは当てはまらないと思います。

バッハは、オルガンによる即興演奏の名手でした。しかしその即興とは、紙にこそ書かれないが、作曲そのものだったのです。テーマを考え、その発展可能性(対位法的処理の可能性)を予測する。どこでどう扱うかの概要を決める。バッハは瞬時に、それができたようです。全体像が決まっていざ鍵盤を弾き始めれば、細部においては目先の変化も、さまざまにあらわれます。

どんな作曲のときも、それは同じだったと思うのですね。全体を展望してから書き下ろすので、彼には下書きが必要なかった。ということは、全体が細部の先に立っている、ということです。だったら演奏も、つねに全体への見通しが先行すべきなのではないでしょうか。目先の音符を積み上げる形では、バッハのいい演奏はできない、ということです。

バッハ演奏に「大局観」が必要だと最近とみに思うようになっていましたが、上記の認識は、そのことにつながります。しっかり情報収集をして、論文にしようかと思い始めました。