今月の「古楽の楽しみ」~チェンバロ特集2015年01月11日 10時43分59秒

今月は、ドイツ・バロックのチェンバロ音楽の歴史をたどります。いつもは歴史の流れをたどる形にするのですが、今回は逆に、源流に遡る形にしました。月曜日がいつも古く、木曜日がいつも新しくなるのを避けるためです。

というわけで、19日(月)は、バッハの息子から入ります。ヨハン・クリスティアンのソナタニ長調(レオンハルト)、エマーヌエルのプロイセン・ソナタ第1番(アスペレン)、フリーデマンのファンタジアニ短調(ジュリア・ブラウン)とたどり、テレマンをいくつか。ファンタジアを2曲(アンドレア・コーエン)と、《信頼のおける音楽の師》のパルティーアト長調、〈郵便馬車〉変ロ長調(座ビーネ・バウアー)です。

20日(火)は、バッハの先人たちです。クーナウの《新鮮なクラヴィーアの果実》からソナタ第6番変ロ長調(ヤン・カチュケ)、パッヘルベルの組曲ホ短調(ジョセフ・ペイン)、シャコンヌニ長調(フランツ・ラムル)、ラインケンのバレットホ短調(シモーネ・ステッラ)とたどってゆきます。

21日(水)は、フローベルガーを中心に。トッカータニ短調(副嶋恭子)、組曲第12番ハ長調(ルセ)、第30番イ短調(シュタイアー)と聴いた後、同い年で友人だったヴェックマンのトッカータホ短調と、組曲ハ短調(レオンハルト)を比較します。最後がシャイデマンの《ラクリメ》と《ガリアルダ》(ロヴァトカイ)です。

22日(木)はいよいよ源流に到達。シャイトの《幸運の天使のカンティレーナ》(ラムル)で開始し、「源流」スウェーリンクを、3曲。〈緑の菩提樹のもとで〉に基づく変奏曲(ディルクセン)、半音階的ファンタジア(アスペレン)、偽作とされますが《輝く暁の星の麗しさよ》(デルフト)です。

ここまで来ると、イギリスのヴァージナル音楽に行かざるを得ません。そこでこの日の後半は、トムキンズ、ブル、ファーナビ-、ギボンズの楽しいヴァージナル作品を、ラヨシュ・ロヴァトカイの演奏で聴きます。

だいぶ渋くなりましたが、珍しい曲、新しい録音も交えていますので、チェンバロのお好きな方、早起きをお願いします。

年末の朝はカンタータで2014年12月05日 09時52分20秒

ここ3日ほどたいへん忙しく、その中に神経を使う仕事が含まれていたものですから、コメントのレスポンスが遅れて失礼しました。ほっとしたところで、今月の「古楽の楽しみ」のご案内です。

ちょうどクリスマスにかかる時期に回ってきましたので、バッハのカンタータを、オルガン曲と組み合わせて特集しました。年末の朝には、ふさわしいのではないかと思います。おりおりカンタータを出していますが、まだ全体の3分の1しかやっておりません。全曲演奏がいかにたいへんか、わかりますね。

22日(月)は、教会暦の終わり、11月に初演されたカンタータから、テノール独唱用の第55番《私はみじめな人間》と、かつて最後のカンタータと考えられていた第116番《平和の君、イエス・キリストよ》。演奏は55がゲンツ+クイケン、116がガーディナー2000。その間に、コラール・パルティータ《おお神よ、汝義なる神よ》BWV767を、レオンハルトの演奏ではさみました。

23日(火)は、オルガンのファンタジーハ短調BWV562で開始し、大作の第70番《目を覚ませ、祈れ!》(11月21日初演)を中央に置いて、一番有名なコラール・パルティータ《ようこそ、慈悲深いイエスよ》BWV768を締めに。演奏はカンタータがガーディナー2000、オルガンが小糸恵。小糸さん、本当にすばらしいですね。

24日(水)は、クリスマス特集。クリスマス第1日のための第110番《われらの口を笑いで満たし》から開始し、オルガン・コラール《高き天から》を2曲(BWV700、701)をはさんで、クリスマス第2日用の第121番《キリストをいざ誉め讃えよう》を聴きます。演奏は110がバッハ・コレギウム・ジャパン、オルガンがハーラルト・フォーゲル、121がヘレヴェッヘです。

25日(木)がクリスマスですが、放送では年末までを先取りします。《オルガン小曲集》のクリスマス・コラール3曲を枕に、クリスマス第3日のための第133番《私はあなたにあって喜び》、コラールをさらに3曲はさんで、クリスマス後の日曜日用の第152番《信仰の道を歩め》というプログラム。演奏は133がレーシンク、オルガン・コラールがプレストン、152がコープマンです。

お楽しみいただければ幸いです。

雄渾な合唱2014年11月08日 08時06分02秒

「古楽の楽しみ」、今月はヘンデルのオラトリオを特集しました。

 昔の音楽史を読んでみると、ヘンデルはバッハと双璧に扱われ、その神髄はオラトリオ、と説明されています。でも、ヘンデル作品への関心はこのところオペラに移っていて、《メサイア》を別格とすれば、以前ほどオラトリオが演奏されないように思いますが、どうでしょう。

そこで、新しい録音のあるものを中心に、4作品を選びました。17日(月)が《サウル》で演奏はマクリーシュ。18日(火)は《エジプトのイスラエル人》で演奏はガーディナー(これだけ古い演奏)。19日(水)は《マカバイのユダ》(放送では《マカベウスのユダ》)で演奏はシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭のもの(ベック指揮)、20日(木)が《ベルシャザル》で、演奏はクリスティです。

すべて合唱オラトリオですから、4日間、壮麗でのびのびした合唱がスタジオからあふれました。広い音域が融通無碍に使われて、生命力絶大。やはり並外れた音楽だと実感しました。朝聴いていただければ、元気が出ると思います。いずれも甲乙つけがたい作品ですが、劇的構成に凝っているという点では《サウル》がよく、円熟味と演奏の魅力では《ベルシャザル》がお薦めかなと思います。

ヘンデルは今後も続けますが、12月はバッハのカンタータ、来年1月はチェンバロ音楽の特集を予定しています。よろしくどうぞ。

今月の「古楽の楽しみ」2014年10月21日 14時15分06秒

すみません、うっかりしているうちに放送、2回分終わってしまいました。後追いですが、4日分ご案内します。(Tenor1966さん、ご指摘ありがとうございます。)

今月は、「バッハと楽器」という特集を組みました。バッハがその楽器のために書いた音楽を、声楽曲のオブリガートも含めて聴き、その楽器に対するバッハのイメージもつかめれば、という企画です。

20日(月)は、フルートです。まず、代表作のロ短調のフルート・ソナタBWV1030を、ハーツェルツェト&オッホの演奏で。この名曲を使うのは、初めてです。オブリガートとなると、なんといっても有名なのは《コーヒー・カンタータ》のソプラノ・アリアですね。これにはグリム&ハーツェルツェト&コープマンの演奏を使いました。宗教曲ではやはり、《マタイ》第2部のソプラノ・アリアでしょう。これは、手に入れたばかりのクイケン盤で(ソプラノはゼーマン、フルートはM.アンタイ)。その前の聖書場面を含めて出しました。締めは無伴奏パルティータ。これも初出しですが、ジェッド・ウェンツの演奏はなかなか面白いと思いました。

21日(火)は(今日でしたが)、オーボエ特集。オーボエとヴァイオリンのための協奏曲で入り(カフェ・ツィンマーマン演奏)、オブリガートの美しいカンタータ第32番を全曲聴きました(ガーディナー)。それから《マタイ》第1部のテノール・アリアを、ヤーコプス注目の新録音で。テノールはレートプーです。最後にオーボエ・ダモーレ協奏曲BWV1055の第1楽章をグッドウィンの演奏で聴き、締めとしました。

22日(水)は、ヴィオラ・ダ・ガンバです。まず、カンタータ第106番を、ガーディナーの最新録音で。ガーディナーの最近の演奏には、本当に「間」が出てきましたね。次に第1番ト長調のソナタを、ツィパーリング&バウアーの演奏で。ガンバが印象的なのは何と言っても受難曲ですから、《ヨハネ》のアルト・アリアと、《マタイ》のバス・アリアを聴き比べます。演奏は《ヨハネ》がスティーヴン・レイトンの新録音で、カウンターテナーはイェスティン・デイヴィーズ。《マタイ》には、定評あるレオンハルトのものを使いました。バスがメルテンス、ガンバはW.クイケンです。

23日(木)はリュートです。まず《フーガとアレグロ》を、最近手に入れたヨアヒム・ヘルトの演奏で。次にカンタータ第198番(選帝侯妃追悼頌歌)から、リュートの響きが印象的なアルトとテノールのアリアを、パロットの指揮で。やっぱりいい曲ですねえ。リュートは両受難曲にも、稿によりますが使われていることをご存じでしょう。《マタイ》の〈来たれ、甘き十字架〉のアリアは、初稿ではリュート伴奏でした。いい演奏があったら前日のガンバと比較できて面白い、と思って探したところ、ヤーコプスの新盤が、なんとリュートを使っていることが判明。この曲にはリュートがよく、ガンバへの変更はやむなく行ったのではないか、という考えがあるようです。かくして、比較が実現しました。バスはコンスタンティン・ヴォルフ。最後は、バッハのリュート曲の多くが想定していたとされるリュート・チェンバロで、組曲ホ短調BWV994を聴きます。演奏は渡邊順生さんです。

というわけで構成に凝った今月でしたが、ご案内を忘れてしまいました。申し訳ありません。

体調良し2014年10月03日 22時47分46秒

新国立劇場の《パルジファル》、すばらしい公演でした。万全を期して、新聞批評を書きたいと思います。

このところ体調がやや悪く、足をひきずるような感じになっていました。ところが、今朝はからりとした好天のせいか、《パルジファル》の御利益か、目に見えて体調良し。NHKのスタジオに入っても、はっきり好調を自覚していました。

結果として、6年間で多分初めてだと思いますが、2本、ノーミスで取り終えたのです。ディレクターの詳細なチェックで1箇所や2箇所はかならず取り直しが出るのですが、今日はそれがなし。ガッツポーズでした。今月のテーマは「バッハと楽器」。またご案内します。

これまで、番組を彩る「アシスタントの女性たち」に、ときおり言及していました。ところがこの方々、アシスタントではなく、番組を取り仕切るディレクターであったのです。たいへん失礼しました(汗)。細部まで、よくフォローしていただいています。

朝日カルチャーの受講生で朝聴いてくださっている方がおられ、曰く、「最後に『さようなら』とおっしゃるのが好きです」と。えっと思って調べてみると、「さようなら」というのは私だけなんですね(汗)。まったく問題を感じていませんでしたが、皆さん、避けておられるのでしょうか。アドバイスのおありの方、コメントをお願いします。

今月の「古楽の楽しみ」2014年09月19日 22時34分58秒

今月は「古楽としてのモーツァルト」という特集にしました。朝の気分が、ずいぶん変わることでしょう。古楽様式による名演奏を集めてモーツァルトを見直す、という趣旨ですが、ちくま学芸文庫の『モーツァルト』で推薦した録音をいくつか出しましたので、それとの関連でも聴いていただけます。

22日(月)は、ピリオドのよく似合う、若い頃の作品を集めました。まずモテット《エクスルターテ・ユビラーテ》を、バーバラ・ボニー+ピノックで。次にホ短調のヴァイオリン・ソナタを、ポッジャー+クーパーで。いかにも古楽らしい、のびやかな演奏です。最後にニ長調のピアノ・ソナタK.311を、ベザイデンホウトのフォルテピアノで。モーツァルト時代より少し後の楽器を使っていて、表現力が豊かです。

23日(火)は、ザルツブルク時代の、もう少し大きな編成の曲を特集しました。フルート四重奏曲ニ長調を菅きよみ、鈴木秀美他で。次に《ポストホルン・セレナード》から3つの楽章を、鈴木秀美~リベラ・クラシカで。最後にヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調から第1楽章を、寺神戸+クイケンで。名曲ばかりですが、とくに協奏交響曲、偉大な作品ですね。全身が熱くなります。

24日(水)は《フィガロの結婚》の抜粋。もちろん、クルレンツィス指揮、ムジカエテルナの演奏です。現代的なグランド・スタイルとはまったく異なるアンサンブル重視のコンセプトで、その問題意識には、教えられること大。オペラ・ファンの方々にも、聴いていただきたいと思います。

25日(木)は、最後期の作品を中心に。フリーメーソン葬送音楽をブリュッヘンで、クラリネット協奏曲のバセットクラリネット版(新全集の復元稿)をW.マイヤー+アーノンクールで、未完の最終作、ホルン協奏曲ニ長調(従来の第1番)をモンゴメリとエイジ・オブ・インライトゥンメントで、《レクイエム》から私の好きな〈ドミネ・イェーズー・クリステ〉を、ブリュッヘンで。最後期の響きの感覚が、ピリオド楽器を通じてこそよみがえることを実感しました。とりわけ、長いこと忘れていたブリュッヘン/池袋ライヴのすばらしさに、驚かされました。追悼として捧げたいと思います。

いい演奏が、たくさんあります。モーツァルトがもっともっと、こういう演奏で聴かれるといいと思います。

今月の「古楽の楽しみ」2014年08月14日 23時56分18秒

8月25日(月)から28日(木)まで放送される、今月の「古楽の楽しみ」。ご好評をいただいていると聞く「リレー演奏」方式で、《ロ短調ミサ曲》を取り上げました。今日3日目、4日目の収録を行いましたが、作品のすばらしさは圧倒的で、こみ上げる感動を抑えながらの収録となりました。

CDの何を使うかはじっくりと考え、手持ちしていなかった輸入盤数点を加えて選考しました。その過程で痛感したのは、汎用型の大指揮者・著名指揮者の録音がよりよいわけでは決してない、ということです。やはり専門的な内容理解や、バッハ演奏への習熟が鍵を握ります。また、購入に迷われるときには、新しい方をお選びになるのも一案です。この難曲に対する演奏水準が、相当に向上しているからです。

25日(月)は、〈キリエ〉から〈グローリア〉の4曲目までをヘンゲルブロックの指揮で聴き、残り時間で、〈キリエ〉の冒頭を、古今の演奏で比較しました。対象は世界初録音のコーツ(1929)、定番のリヒター(1961)、最新のバット(2009)です。

26日(火)は、〈グローリア〉を冒頭からヤーコプスの指揮で聴き直し、残り時間で、ヴィンシャーマン~ドイツ・バッハ・ゾリステンの岡山での録音から、〈グローリア〉の合唱曲部分を聴きます。

27日(水)は〈ニカイア信条〉。ここで選んだのは、通しがロバート・キング指揮、テルツ少年合唱団のもの、比較が、アーノンクールによる中央の合唱曲3つと、ベーリンガー指揮、ヴィンツバッハ少年合唱団による最後の合唱曲2つです。2つの少年合唱団に囲まれると、アーノンクールの1986年の演奏には、大人の作為が感じられます。ヴィンツバッハ少年合唱団はあまり知られていないと思いますが、優秀ですね。

28日(木)は〈サンクトゥス〉以下。ここに、21世紀の録音を集めました。ミンコフスキ(2008)と、フェルトホーフェン~オランダ・バッハ協会(2006)です。どちらもいい演奏ですが、スタジオでは、軽快で躍動感のあるフェルトホーフェンの演奏に、最大の支持が集まりました。

放送の中でも言ったのですが、昔は「《ロ短調ミサ曲》という曲はない、個々の楽章があるだけだ」というスメント説の影響もあってか、《ロ短調ミサ曲》は残念ながら後半に力が弱まる、と言われていました。恥ずかしながら、私も長いこと、そう思っていたのです。今ではもちろん、そうは思っていません。《ロ短調ミサ曲》は、終わりに近づくにつれてますます感動深くなると、確信しています。そのためか、放送も、21世紀の演奏を使った4日目に、クライマックスが来ているように思います。もちろん、3日間があってこその、4日目であるわけですが・・・。

「古楽の楽しみ」でヘンデルを2014年07月18日 09時38分57秒

再放送をはさんで少し間隔の空いた「古楽の楽しみ」。昨日、今月分の2回目の収録をしました。今月はヘンデルです。

4人で大まかな分担をして放送していますが、イギリスは担当を決めず、自由にやろうということになっていました。しかし全体として取り上げが少ないという話になり、私もこれからは積極的にやっていこうと決心。その第一弾として、「キャノンズのヘンデル」という特集を組みました。

ヘンデルがロンドンのオペラ活動から離れ、キャノンズのブリッジス(後のシャンドス公爵)の邸宅で活躍していたのは1717~18年。バッハのケーテン時代と対応しています。この時期が重要なのは、英語による作品がまとまって書かれていること。百合の咲く谷間のようなイメージでしょうか。英語作品にトリオ・ソナタをからめる形で、プログラムを組みました。

28日(月)は、牧歌劇《エイシスとガラテア》。演奏はちょっと古いですがガーディナーです。29日(火)はシャンドス・アンセムの《鹿が谷川を慕いあえぐように》と、その音楽と関係をもつ、2つのトリオ・ソナタ( op.2と op.5から1曲ずつ)。演奏はアンセムがレイトン指揮のもの、トリオ・ソナタはザ・ブルック・ストリート・バンドとレコール・ドルフェです。

30日(水)は、シャンドス・アンセム《主は私の光》と、2つのトリオ・ソナタ。アンセムの演奏はザ・シックスティーン、トリオ・ソナタはザ・ブルック・ストリート・バンドとロンドン・バロックです。31日(木)はオラトリオ《エステル》。ジョン・バットの新録音を使いましたが、バットが好調で、エンジン全開。ご期待ください。

ヘンデルの音楽というのは、何を聴いても「これは一度聞いたことがあるぞ」と思わせる親しみやすさがあります(=当時、いい音楽の必要条件とされていたこと)。じつは初めて、ということもあれば、じっさいに別の作品でインプットされていることも多い。いずれにしろ気持ちがよく朝向きでもありますので、またぜひやろうと、アシスタントと話し合いました。

もうひとつ、旧約聖書に基づくヘンデルのオラトリオは、新約聖書に基づくバッハの教会音楽とは相当に遠いところにあるとも実感。これは本質的な問題なので、別の機会に述べたいと思います。

次週の「古楽の楽しみ」2014年05月31日 11時22分42秒

連載中ですが放送が迫ってきてしまいました。そこで、来週のご案内を割り込ませます。

バッハのリレー演奏を楽しんでくださる方が多いので、来週は、《フランス組曲》に挑戦しました。アシスタントはピアノをやられた方々で興味津々のご様子でしたが、いつもクールに務めてくださる技術の方が「じつに面白いですねえ」とおっしゃったのには嬉しくなりました。以下に概要を記しておきます。

6/2(月) 
第1番ニ短調 全曲:ギエルミ2011(チェンバロ)、グールド1972(ピアノ)
第2番ハ短調 全曲:バッケッティ2011(ピアノ)、サラバンド~メヌエット:レオンハルト1975(チェンバロ)

6/3(火)
第3番ロ短調 全曲:コルネリア・ヘルマン2012(ピアノ)、アングレーズ+メヌエット:曽根麻矢子2004(チェンバロ)
第4番変ホ長調 全曲:鈴木雅明1999(チェンバロ) 異稿BWV815aから:リヒテル1991(ピアノ)

6/4(水)
第5番ト長調 全曲:コープマン1993(チェンバロ) リレー演奏(ピアノ):シフ1991→井上直幸2000→アンデルジェフスキ1998
組曲イ短調BWV818a ボーモン1998(チェンバロ)
第6番ホ長調からプレリュード、アルマンド:西山まりえ2004(チェンバロ)

6/5(木)
第6番ホ長調 全曲:ファジル・サイ1998(ピアノ) リレー演奏(ピアノ):ホルショフスキー1991→へブラー1979→ラローチャ1971
組曲変ホ長調BWV819a ピヒト=アクセンフェルト1991(チェンバロ)
第5番ト長調からガヴォット、ブーレー: バックハウス1956(ピアノ)

新旧をとりまぜて紹介していますが、ごく新しい演奏からですと、チェンバロではギエルミがすばらしく、ピアノでは新感覚のバッケッティ、正統的なヘルマンが楽しめると思います。

「古楽の楽しみ」新年度2014年03月29日 10時09分12秒

NHK・FM朝6:00からの「古楽の楽しみ」が、6年目を迎えることになりました。長くて5年、という認識でやっていましたので、さらに続けられるとは思いませんでした。なにしろ渋い番組。テーマによってはよほどの通人しか知らない曲を毎朝1時間、ということもあるわけですから、こんなに時間をいただいて、ありがたいかぎりです。皆様のご支援と、番組スタッフの支えのおかげです。

新年度は華やかに迎えたいと思い、《ブランデンブルク協奏曲》のリレー演奏を取り上げました。4月7日(月)は第1番です。ホグウッド指揮で初稿、アバド指揮のモーツァルト管とカフェ・ツィンマーマン(ピリオド楽器)で通常稿と、3つを聴き比べます。くどいかなとも思いましたが、全然違いますので、初めて聴く方はびっくりなさるでしょう。

4/8(火)は、第2番と第3番です。第2番はベルリン古楽アカデミーの全曲を聴き、第3楽章を、ミュンヒンガーで聴き比べ。トランペットの違いがテーマになりますが、このミュンヒンガー1972には、ニコレやヴィンシャーマンが参加しています。

第3番は短いので、全曲を2種聴きます。フルトヴェングラー指揮、ベルリン・フィルの1930年ライヴと、エイジ・オブ・インライトゥンメント管弦楽団。これまた、まったく違います。残った時間で、第1楽章の編曲を2つ流します。カンタータ第174番のシンフォニア(BCJ)と、スウィングル・シンガーズのスキャットです。

4/9(水)は、第4番と第6番。第4番はイ・ムジチ1984でまず全曲を聴き、その第2楽章を、ブッシュ1935とリヒター1967で聴き比べます。さらにフィナーレを、チェンバロ協奏曲への編曲版で。演奏はアポロ・アンサンブル(フランス・ピッチ使用)です。そのあと第6番をラ・プティト・バンドで聴いて、この日は終わります。

4/10(木)は、第5番。まずペライアのピアノ弾き振りで全曲を聴き、ピリオド2種で反復します。第1楽章がコープマン、第2・第3楽章が小林道夫~松本バッハ祝祭アンサンブルです。最後に第6番に第3楽章を、フライブルク・バロック・オーケストラの新録音(フランス・ピッチ使用)で聴いて特集を終わります。

14年度も趣向をこらしますので、早起きの方、どうぞよろしく。