今月の「古楽の楽しみ」 ― 2016年08月04日 11時23分11秒
今月はオリンピックと重なりますので、放送は8日(月)と10日(水)の2日間になります。そこで、バッハの《平均律第2巻》のリレー演奏を充てることにしました。
《平均律第2巻》は、2011年と12年に取り上げました。しかしどちらも週企画の付録でしたので、ご紹介できたのは一部の曲だけです。そこで、まだやっていない曲を優先し、ここ数年の新録音を集めてみました。
月曜日は、オール・チェンバロです。
クリストフ・ルセ 1,2
ケネス・ワイス 7,8
クリスティーネ・ショルンスハイム 9,10
リチャード・エガー 11,12
輝きにあふれたルセ、繊細なワイス、構成力のあるショルンスハイム、思索的なエガー。同じリュッカース系統の楽器を使いながらも個性の異なる演奏を通じて、チェンバロによるバッハの奥の深さを感じていただけるとうれしいです。
火曜日は、オール・ピアノです。
フリードリヒ・グルダ 15,16 (←これだけ古い録音)
アンドラーシュ・シフ 17,18 (新録音の方)
野平一郎 19,20
ウラディーミル・アシュケナージ 21,23
少し時間が余ったので、サプライズ(というほどではないが)を用意しました。それは番組でどうぞ。
《平均律第2巻》は、2011年と12年に取り上げました。しかしどちらも週企画の付録でしたので、ご紹介できたのは一部の曲だけです。そこで、まだやっていない曲を優先し、ここ数年の新録音を集めてみました。
月曜日は、オール・チェンバロです。
クリストフ・ルセ 1,2
ケネス・ワイス 7,8
クリスティーネ・ショルンスハイム 9,10
リチャード・エガー 11,12
輝きにあふれたルセ、繊細なワイス、構成力のあるショルンスハイム、思索的なエガー。同じリュッカース系統の楽器を使いながらも個性の異なる演奏を通じて、チェンバロによるバッハの奥の深さを感じていただけるとうれしいです。
火曜日は、オール・ピアノです。
フリードリヒ・グルダ 15,16 (←これだけ古い録音)
アンドラーシュ・シフ 17,18 (新録音の方)
野平一郎 19,20
ウラディーミル・アシュケナージ 21,23
少し時間が余ったので、サプライズ(というほどではないが)を用意しました。それは番組でどうぞ。
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今月の「古楽の楽しみ」 ― 2016年07月05日 23時23分35秒
合唱コンクールに行くとじつに多いのが、〈グローリア〉による自由曲です。賛美のテキストが、現代でなおたくさん作曲され、歌われているんですね。バッハ周辺の探訪を兼ねて、今月は「ドレスデンのグローリア」という特集を組みました。
11日(月)
グレゴリオ聖歌 キリエ&グローリア ソレム聖歌隊
シュッツ リタニア ラーデマン指揮 ドレスデン室内合唱団
ハスラー ミサ《ディクシト・マリーア》から ヘレヴェッヘ指揮
ハイニヒェン ミサ曲第11番から、第12番から ラーデマン
2つのオーボエのための協奏曲ホ短調 フィオリ・ムジカーリ
(〈キリエ〉が先行してこその〈グローリア〉ですので、まず〈キリエ〉から出発しました。ちょうど、ソレム聖歌隊の全集を安く入手。これを使いました。シュッツはラーデマンの全集に含まれるもので、典礼グローリアではなく、リタニアです。偽作説もある曲ですが、美しさにうっとりしてしまいます。
ハスラーはドレスデンで最後を飾った人ですが、ドレスデン・グローリアの盛期は、まさにバッハの時代。その先陣を切ったハイニヒェンのグローリア2曲と、器楽曲を最後に置きました。なかなかの曲で、バッハに似ているところがけっこうあります。)
12日(火)
ロッティ 《聖クリストフォリのミサ曲》から パーマー
《叡智のミサ曲》から ヘンゲルブロック
ヘンデル トリオ・ソナタト短調、同ホ長調から アンサンブル・ディドロ
(ハイニヒェン時代の花形は、ヴェネツィアからやってきたロッティでした。彼のミサ曲は、ゼレンカの編纂によってドレスデンに伝えられています。ヘンデルの作品は、ドレスデンの祝祭のために書かれたのではないかと推測されているもの。ヘンゲルブロック以外は最新録音です。)
13日(水)
バッハ 《ロ短調ミサ曲》から ラーデマン
(ドレスデン・パート譜によるラーデマンの演奏をご紹介し、残り時間に、自筆スコア版との比較を入れました。二重唱のスコア版はラーデマン盤の付録から、バス・アリアと最終合唱は、ガーディナーです。)
14日(木)
ゼレンカ 《御子のミサ曲》から ベルニウス
《父なる神のミサ曲》から〈ドミネ・フィリ〉 ベルニウス
ナウマン ミサ曲第18番から コップ指揮 新ケルナー歌唱協会
(締めはやっぱりゼレンカ。最後に、古典派のナウマンを加えました。)
11日(月)
グレゴリオ聖歌 キリエ&グローリア ソレム聖歌隊
シュッツ リタニア ラーデマン指揮 ドレスデン室内合唱団
ハスラー ミサ《ディクシト・マリーア》から ヘレヴェッヘ指揮
ハイニヒェン ミサ曲第11番から、第12番から ラーデマン
2つのオーボエのための協奏曲ホ短調 フィオリ・ムジカーリ
(〈キリエ〉が先行してこその〈グローリア〉ですので、まず〈キリエ〉から出発しました。ちょうど、ソレム聖歌隊の全集を安く入手。これを使いました。シュッツはラーデマンの全集に含まれるもので、典礼グローリアではなく、リタニアです。偽作説もある曲ですが、美しさにうっとりしてしまいます。
ハスラーはドレスデンで最後を飾った人ですが、ドレスデン・グローリアの盛期は、まさにバッハの時代。その先陣を切ったハイニヒェンのグローリア2曲と、器楽曲を最後に置きました。なかなかの曲で、バッハに似ているところがけっこうあります。)
12日(火)
ロッティ 《聖クリストフォリのミサ曲》から パーマー
《叡智のミサ曲》から ヘンゲルブロック
ヘンデル トリオ・ソナタト短調、同ホ長調から アンサンブル・ディドロ
(ハイニヒェン時代の花形は、ヴェネツィアからやってきたロッティでした。彼のミサ曲は、ゼレンカの編纂によってドレスデンに伝えられています。ヘンデルの作品は、ドレスデンの祝祭のために書かれたのではないかと推測されているもの。ヘンゲルブロック以外は最新録音です。)
13日(水)
バッハ 《ロ短調ミサ曲》から ラーデマン
(ドレスデン・パート譜によるラーデマンの演奏をご紹介し、残り時間に、自筆スコア版との比較を入れました。二重唱のスコア版はラーデマン盤の付録から、バス・アリアと最終合唱は、ガーディナーです。)
14日(木)
ゼレンカ 《御子のミサ曲》から ベルニウス
《父なる神のミサ曲》から〈ドミネ・フィリ〉 ベルニウス
ナウマン ミサ曲第18番から コップ指揮 新ケルナー歌唱協会
(締めはやっぱりゼレンカ。最後に、古典派のナウマンを加えました。)
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今月の「古楽の楽しみ」 ― 2016年06月03日 06時35分18秒
今月はプレ・バッハの器楽曲をやろうと思い、考えたあげく、形式ジャンル別にバッハまでの足取りをたどる、という形にまとめました。バッハの先までいく日もあります。
6日(月)は、パッサカリアとシャコンヌ。以下のような構成です。
1.ビーバー:パッサカリア/レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン)2015年最新録音
2.ブクステフーデ:シャコンヌハ短調/ビーネ・ブリンドルフ(オルガン)
3.パッヘルベル:シャコンヌニ短調(トッカータニ短調とともに)/小糸恵(オルガン)2014年最新録音
4.バッハ:パッサカリアハ短調/小糸恵(オルガン)
5.ヘンデル:シャコンヌト長調/オリヴィエ・ボーモン(チェンバロ)
7日(火)はトッカータです。
1.カプスベルガー:トッカータ3曲/ポール・オデット(リュート、キタローネ)
2.フローベルガー:トッカータ第9番/クリストフ・ルセ(チェンバロ)
3.スウェーリンク:トッカータハ長調第3番、ト短調第4番/ラインハルト・ヤウト(オルガン)
4.ブクステフーデ:トッカータヘ長調/ビーネ・ブリンドルフ(オルガン)
5.バッハ:トッカータとフーガニ短調BWV565/ロレンツォ・ギエルミ(オルガン)→超有名曲の初登場
6.トッカータニ短調BWV913/グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)
8日(水)はフーガ。
1.ブクステフーデ:フーガト長調、ハ長調/ブリンドルフ(オルガン)
2.ラインケン:フーガト短調/シモーネ・ステッラ(オルガン)
3.パッヘルベル:フーガト短調/クラウディオ・ブリツィ(クラヴィオルガン)
4.ブットシュテット:フーガホ短調/マウリツィオ・クローチ(オルガン)
5.バッハ:小フーガト短調、レグレンツィの主題によるフーガ/ヴォルフガング・シュトックマイヤー(オルガン)
6.ヘンデル:《6つのフーガまたはヴォランタリー》から2曲/オリヴィエ・ボーモン(チェンバロ)
7.モーツァルト:フーガト短調K.401/トマス・トロッター(オルガン)
8.モーツァルト:2台のクラヴィーアのためのフーガハ短調K.426/トン・コープマン、ティニ・マトー(チェンバロ)
9日(木)はファンタジア。
1.ギボンズ:ファンタジアニ短調/グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)
2.スウェーリンク:ファンタジアイ短調第3番/グスタフ・レオンハルト(オルガン)
3.フローベルガー:ファンタジア第4番「ソ・ラ・レ」/グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)
4.バッハ:ファンタジアハ短調BWV1121/トン・コープマン(オルガン)
5.バッハ:半音階的ファンタジアとフーガBWV903、ファンタジアハ短調BWV906/鈴木雅明(チェンバロ)
6.テレマン:無伴奏ヴァイオリン・ファンタジア第1番/エンリコ・オノフリ(ヴァイオリン)
7.テレマン:無伴奏フルート・ファンタジア第6番/ジェド・ウェンツ(トラヴェルソ)
8.C.P.E.バッハ:ファンタジアニ長調Wq.117-14/ミクローシュ・シュパーニィ(クラヴィコード)
けっこう時間がかかりましたが、流して楽しんでいただけるといいなと思います。どうぞよろしく。
6日(月)は、パッサカリアとシャコンヌ。以下のような構成です。
1.ビーバー:パッサカリア/レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン)2015年最新録音
2.ブクステフーデ:シャコンヌハ短調/ビーネ・ブリンドルフ(オルガン)
3.パッヘルベル:シャコンヌニ短調(トッカータニ短調とともに)/小糸恵(オルガン)2014年最新録音
4.バッハ:パッサカリアハ短調/小糸恵(オルガン)
5.ヘンデル:シャコンヌト長調/オリヴィエ・ボーモン(チェンバロ)
7日(火)はトッカータです。
1.カプスベルガー:トッカータ3曲/ポール・オデット(リュート、キタローネ)
2.フローベルガー:トッカータ第9番/クリストフ・ルセ(チェンバロ)
3.スウェーリンク:トッカータハ長調第3番、ト短調第4番/ラインハルト・ヤウト(オルガン)
4.ブクステフーデ:トッカータヘ長調/ビーネ・ブリンドルフ(オルガン)
5.バッハ:トッカータとフーガニ短調BWV565/ロレンツォ・ギエルミ(オルガン)→超有名曲の初登場
6.トッカータニ短調BWV913/グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)
8日(水)はフーガ。
1.ブクステフーデ:フーガト長調、ハ長調/ブリンドルフ(オルガン)
2.ラインケン:フーガト短調/シモーネ・ステッラ(オルガン)
3.パッヘルベル:フーガト短調/クラウディオ・ブリツィ(クラヴィオルガン)
4.ブットシュテット:フーガホ短調/マウリツィオ・クローチ(オルガン)
5.バッハ:小フーガト短調、レグレンツィの主題によるフーガ/ヴォルフガング・シュトックマイヤー(オルガン)
6.ヘンデル:《6つのフーガまたはヴォランタリー》から2曲/オリヴィエ・ボーモン(チェンバロ)
7.モーツァルト:フーガト短調K.401/トマス・トロッター(オルガン)
8.モーツァルト:2台のクラヴィーアのためのフーガハ短調K.426/トン・コープマン、ティニ・マトー(チェンバロ)
9日(木)はファンタジア。
1.ギボンズ:ファンタジアニ短調/グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)
2.スウェーリンク:ファンタジアイ短調第3番/グスタフ・レオンハルト(オルガン)
3.フローベルガー:ファンタジア第4番「ソ・ラ・レ」/グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)
4.バッハ:ファンタジアハ短調BWV1121/トン・コープマン(オルガン)
5.バッハ:半音階的ファンタジアとフーガBWV903、ファンタジアハ短調BWV906/鈴木雅明(チェンバロ)
6.テレマン:無伴奏ヴァイオリン・ファンタジア第1番/エンリコ・オノフリ(ヴァイオリン)
7.テレマン:無伴奏フルート・ファンタジア第6番/ジェド・ウェンツ(トラヴェルソ)
8.C.P.E.バッハ:ファンタジアニ長調Wq.117-14/ミクローシュ・シュパーニィ(クラヴィコード)
けっこう時間がかかりましたが、流して楽しんでいただけるといいなと思います。どうぞよろしく。
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今月の「古楽の楽しみ」 ― 2016年05月07日 07時56分56秒
ご案内しましたように、今月はバッハのヴァイオリン協奏曲特集です。有名曲ながら第1番、第2番ともにまだ取り上げたことがなく、周辺曲と併せて特集することにしました。ポリシーは、全部ヴァイオリニストを変えること、21世紀の新しい録音で揃えることです。
9日(月)は、3曲のオリジナルをまずご紹介します。
第1番イ短調:ユリア・フィッシャー+アカデミー
第2番ホ長調:ミュレヤンス+フライブルク・バロック・オーケストラ
2つのヴァイオリン用ニ短調:平崎真弓+カルミニョーラ+コンチェルト・ケルン
余った時間に、第1番のフィナーレをオルガン独奏(ボッカッチョ)で聴きました。これがたいへん面白く、時間調整ができて、変化もつけられる。結局、3度にわたって使いました。
10日(火)は、チェンバロ協奏曲から復元されたヴァイオリン協奏曲。
イ長調BWV1055:イブラギモヴァ+アルカンジェロ
ト短調(復元の調性)BWV1056:ポッジャー+ブレコン・バロック
ニ短調BWV1052:ミドリ・ザイラー+ベルリン古楽アカデミー
2つのヴァイオリン用BWV1043のフィナーレ:ボッカッチョのオルガン(弾けるものですねえ)
11日(水)は復元された作品を、複数のソロ用を中心に。
ニ長調BWV1053:ムローヴァ+ダントーネ
3つのヴァイオリン用ニ長調BWV1064:サッソ+インシエーメ・ストルメンターレ・ディ・ローマ(ソロは3つのヴァイオリンですが、合奏の側でオーボエとファゴットが活躍するように復元されており、新鮮です)
オーボエとヴァイオリン用ハ短調BWV1060:カフェ・ツィンマーマン
12日(木)は他楽器のソロが入るコンチェルト。
フルート、ヴァイオリン、チェンバロ用イ短調BWV1044:テル・リンデン+アリオン・バロック・オーケストラ
第2番BWV1042の第1楽章:ボッカッチョのオルガン
ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調:ベルナルディーニ+バット
同第5番ニ長調の第2楽章:同
活気のある、リズミカルな作品がたくさん。元気な朝をお届けします!
9日(月)は、3曲のオリジナルをまずご紹介します。
第1番イ短調:ユリア・フィッシャー+アカデミー
第2番ホ長調:ミュレヤンス+フライブルク・バロック・オーケストラ
2つのヴァイオリン用ニ短調:平崎真弓+カルミニョーラ+コンチェルト・ケルン
余った時間に、第1番のフィナーレをオルガン独奏(ボッカッチョ)で聴きました。これがたいへん面白く、時間調整ができて、変化もつけられる。結局、3度にわたって使いました。
10日(火)は、チェンバロ協奏曲から復元されたヴァイオリン協奏曲。
イ長調BWV1055:イブラギモヴァ+アルカンジェロ
ト短調(復元の調性)BWV1056:ポッジャー+ブレコン・バロック
ニ短調BWV1052:ミドリ・ザイラー+ベルリン古楽アカデミー
2つのヴァイオリン用BWV1043のフィナーレ:ボッカッチョのオルガン(弾けるものですねえ)
11日(水)は復元された作品を、複数のソロ用を中心に。
ニ長調BWV1053:ムローヴァ+ダントーネ
3つのヴァイオリン用ニ長調BWV1064:サッソ+インシエーメ・ストルメンターレ・ディ・ローマ(ソロは3つのヴァイオリンですが、合奏の側でオーボエとファゴットが活躍するように復元されており、新鮮です)
オーボエとヴァイオリン用ハ短調BWV1060:カフェ・ツィンマーマン
12日(木)は他楽器のソロが入るコンチェルト。
フルート、ヴァイオリン、チェンバロ用イ短調BWV1044:テル・リンデン+アリオン・バロック・オーケストラ
第2番BWV1042の第1楽章:ボッカッチョのオルガン
ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調:ベルナルディーニ+バット
同第5番ニ長調の第2楽章:同
活気のある、リズミカルな作品がたくさん。元気な朝をお届けします!
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今月の「古楽の楽しみ」 ― 2016年04月05日 09時27分28秒
スタッフで会合をもっていた時、アーノンクールの追悼番組をやったらどうか、という話が持ち上がりました。さっそく興味を覚えて私が引き受け、4日間の番組に構成しました。なにぶん長命で、大きな発展を遂げた音楽家です。新たに聴き直してみると気がつくことがいろいろあり、たいへん面白い経験をしました。ぜひ聴いてください。
11日(月)は、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとの初期の録音を振り返りました。古い楽器を集めては修理し、音を出して、というのをやっていた頃です。「マクシミリアン1世の宮廷音楽」からイザークを2曲、「フックス作品集」から《ロンドー》。初期の録音は青年らしく端正で、私の記憶していたイメージとはかなり違う印象でした。皆さん、どうでしょう。
私はアーノンクールの歴史的貢献はモンテヴェルディをもって第一とする、と思っているので、1968年の《オルフェオ》旧盤から、いくつかの場面を出しました。ういういしく新鮮で、とてもいいと思います。キャシー・バーベリアンや、若き日のマックス・ヴァン・エグモントも忘れがたいです。最後に73年の《ポッペアの戴冠》から、セネカの死の場面を加えました。
12日(火)は、アーノンクール自身の音が聴ける室内楽を中心に。バッハのカンバ・ソナタ第1番から始めて、ブリュッヘンとの共演によるヘンデルのトリオ・ソナタ、フリードリヒ大王のフルートを使ったヴィヴァルディの協奏曲《夜》、シェフトラインとの共演によるテレマンのオーボエ・ソナタというプログラムにしました。
13日(水)は、レオンハルトと曲を折半して録音したバッハ・カンタータ全集の回顧。初期のおずおずした取り組みから、アーノンクールらしい修辞学的テキスト解釈が発展していく様子がわかるように編集しました。全曲録音は彼にとって、また奏者にとって大きな学習過程であったと実感します。選んだのは第1番の冒頭合唱曲(ホルンがまだ・・)、前半の珠玉である第68番、後半から、真価のよくあらわれた第179番です。
14日(木)は、大指揮者となってレパートリーを大きく広げた後期から、折にふれて発表された古楽のライヴ録音、およびモーツァルトを取り上げました。バッハの《クリスマス・オラトリオ》、ヘンデルの《メサイア》と《アレクサンダーの饗宴》、モーツァルトの初期交響曲と《レクイエム》、最後にバッハの《マタイ受難曲》という選曲は、まるでリクエスト名曲集ですね(笑)。
雄大でドラマティックになった後期の演奏、古楽としてどうなのかという思いを抱いてもいましたが、こうやって聴いてみると、研究に基づく大局観がつねに先行していて、やっぱりたいしたものだと感服しました。皆様の好みでお確かめください。
11日(月)は、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとの初期の録音を振り返りました。古い楽器を集めては修理し、音を出して、というのをやっていた頃です。「マクシミリアン1世の宮廷音楽」からイザークを2曲、「フックス作品集」から《ロンドー》。初期の録音は青年らしく端正で、私の記憶していたイメージとはかなり違う印象でした。皆さん、どうでしょう。
私はアーノンクールの歴史的貢献はモンテヴェルディをもって第一とする、と思っているので、1968年の《オルフェオ》旧盤から、いくつかの場面を出しました。ういういしく新鮮で、とてもいいと思います。キャシー・バーベリアンや、若き日のマックス・ヴァン・エグモントも忘れがたいです。最後に73年の《ポッペアの戴冠》から、セネカの死の場面を加えました。
12日(火)は、アーノンクール自身の音が聴ける室内楽を中心に。バッハのカンバ・ソナタ第1番から始めて、ブリュッヘンとの共演によるヘンデルのトリオ・ソナタ、フリードリヒ大王のフルートを使ったヴィヴァルディの協奏曲《夜》、シェフトラインとの共演によるテレマンのオーボエ・ソナタというプログラムにしました。
13日(水)は、レオンハルトと曲を折半して録音したバッハ・カンタータ全集の回顧。初期のおずおずした取り組みから、アーノンクールらしい修辞学的テキスト解釈が発展していく様子がわかるように編集しました。全曲録音は彼にとって、また奏者にとって大きな学習過程であったと実感します。選んだのは第1番の冒頭合唱曲(ホルンがまだ・・)、前半の珠玉である第68番、後半から、真価のよくあらわれた第179番です。
14日(木)は、大指揮者となってレパートリーを大きく広げた後期から、折にふれて発表された古楽のライヴ録音、およびモーツァルトを取り上げました。バッハの《クリスマス・オラトリオ》、ヘンデルの《メサイア》と《アレクサンダーの饗宴》、モーツァルトの初期交響曲と《レクイエム》、最後にバッハの《マタイ受難曲》という選曲は、まるでリクエスト名曲集ですね(笑)。
雄大でドラマティックになった後期の演奏、古楽としてどうなのかという思いを抱いてもいましたが、こうやって聴いてみると、研究に基づく大局観がつねに先行していて、やっぱりたいしたものだと感服しました。皆様の好みでお確かめください。
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今月の「古楽の楽しみ」 ― 2016年03月03日 18時16分00秒
今月は、バッハの《マタイ受難曲》です。この番組7年間やって来ましたが、《マタイ》を通して取り上げるのは初めて。このところ初稿の演奏・録音が盛んなので、初稿BWV244bをメインにしてみました。ちょっと、凝りすぎたかもしれません。
7日(月)は、リチャード・エガー指揮、エンシェントの2014年新録音で、第1部のゲツセマネの園の場面(第20曲のテノール・アリア)まで。エヴァンゲリストのギルクリストとアルトのコノリー、いいですね。その前に、ヤーコプス指揮(2012年)で、改訂稿の冒頭合唱曲を聴きました。
8日(火)は、同じエガーの演奏で第1部最後まで。初稿は短いコラールで終わってしまうので、ヤーコプス盤で第29曲を補いました。この曲、本当にいいなあと思うようになっています。
ここで演奏をシーモア~ヨークシャーの2013年に変え、第2部の第30曲から第40曲までを。これはリフキン方式によるもので、ソリストを2グループ使っています。
初稿は、第2部最初のアルト・アリア(30)がバス・アリア(!)になっているのが驚きです。そこで9日(水)は、30をアルトでまず聴き直しました。演奏は2009年のクイケン(これもリフキン方式)、アルトはノスカイオヴァーです。それからシーモアに戻り、56のバス・アリア《来るのだ、甘い十字架よ》までを。初稿はリュート伴奏ですが、音型としてはリュートはぴったりです。歌い手がリュートにしっかり合わせなくてはなりませんが、ハーヴィーなのでばっちりでした。その後に、お馴染みのガンバ伴奏の稿を補いました。ガンバは弟の方のクイケン、バスはクラッベンです。
10日(木)は、シーモアの演奏を、〈ああゴルゴタ〉から最後まで。エヴァンゲリストのダニエルズが弱いのがかなり残念です。最後に、改訂版のゴルゴタ以降を、ヤーコプスからの抜粋で聴いて終わりました。
初稿は必ずしもお薦めできませんが、話の種に、どうぞよろしく。
7日(月)は、リチャード・エガー指揮、エンシェントの2014年新録音で、第1部のゲツセマネの園の場面(第20曲のテノール・アリア)まで。エヴァンゲリストのギルクリストとアルトのコノリー、いいですね。その前に、ヤーコプス指揮(2012年)で、改訂稿の冒頭合唱曲を聴きました。
8日(火)は、同じエガーの演奏で第1部最後まで。初稿は短いコラールで終わってしまうので、ヤーコプス盤で第29曲を補いました。この曲、本当にいいなあと思うようになっています。
ここで演奏をシーモア~ヨークシャーの2013年に変え、第2部の第30曲から第40曲までを。これはリフキン方式によるもので、ソリストを2グループ使っています。
初稿は、第2部最初のアルト・アリア(30)がバス・アリア(!)になっているのが驚きです。そこで9日(水)は、30をアルトでまず聴き直しました。演奏は2009年のクイケン(これもリフキン方式)、アルトはノスカイオヴァーです。それからシーモアに戻り、56のバス・アリア《来るのだ、甘い十字架よ》までを。初稿はリュート伴奏ですが、音型としてはリュートはぴったりです。歌い手がリュートにしっかり合わせなくてはなりませんが、ハーヴィーなのでばっちりでした。その後に、お馴染みのガンバ伴奏の稿を補いました。ガンバは弟の方のクイケン、バスはクラッベンです。
10日(木)は、シーモアの演奏を、〈ああゴルゴタ〉から最後まで。エヴァンゲリストのダニエルズが弱いのがかなり残念です。最後に、改訂版のゴルゴタ以降を、ヤーコプスからの抜粋で聴いて終わりました。
初稿は必ずしもお薦めできませんが、話の種に、どうぞよろしく。
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今月はヘンデル三昧で ― 2016年02月04日 22時50分09秒
今月の「古楽の楽しみ」、再放送よりは新しい企画をということで、オール・ヘンデルを作りました。 op.3のコンチェルト・グロッソを聴き進めながらいろいろな作品を混ぜていく、という趣向です。当初器楽曲のみと考えていましたが、結局、声楽曲もいくつか入りました。にぎやかな朝になります。
2月8日(月)は、 op.3-1変ロ長調から出発します。ターフェルムジークの活発な演奏で。次がユトレヒト・テデウム。イギリスにおけるヘンデルの地歩を固めた作品です。これはプレストン~エンシェントを使いました。最後はオルガン・コンチェルト op.4-4です。来日中のギエルミの演奏です。
9日(火)は、 op.3-2変ロ長調から。演奏はモルテンセン~EUバロック・オーケストラの新録音です。次に、《ユトレヒト・テデウム》の姉妹作、《ユトレヒト・ユビラーテ》。演奏は同じくプレストンにしました。次に op.3-3ト長調を、ホグウッド~ヘンデル&ハイドン・ソサエティで。最後を、アランのオルガンとフライブルク・バロック・オーケストラの演奏するオルガン協奏曲 op.4-2で締めました。
10日(水)は、 まずヘ長調op.3-4をピノックで。ピノックの演奏は、やはり一番安心して聴けますね。生き生きして、品格があります。次に、ピノック編の《パッサカリア、ジーグとメヌエット》。これはトリオ・ソナタからの編曲なのですが、とてもいい曲です。彼の《王宮の花火の音楽》のCDに入っています。
次に同じくピノックで、協奏曲ヘ長調HWV331(演奏は間に op.3-5のアダージョを挿入)。「古楽の楽しみ」のテーマソングは《水上の音楽》と認識されていると思いますが、じつはこのHWV331、パロディ作品なのです。次にニ短調 op.3-5を若き日のアーノンクールで聴き(ちょっと作りすぎのような)、《戴冠式アンセム》の〈あなたの御手が強められ〉で結びます。演奏はモルテンセン。
11日(木)は、残るニ長調 op.3-6を、ミンコフスキの元気のいい演奏で。オーボエ協奏曲ト短調(ピノック)、協奏曲《アレクサンダーの饗宴》(ベルリン古楽アカデミー)、ハープ協奏曲(ローレンス=キング)と進み、締めは〈シバの女王の登場〉(ピノック)にしました。この日のみ、オール器楽となりました。
ヘンデルの音楽は、とにかくにぎやか。スピーカーから飛び出そうなそのエネルギーを浴びて、元気を出していただければと思います。
2月8日(月)は、 op.3-1変ロ長調から出発します。ターフェルムジークの活発な演奏で。次がユトレヒト・テデウム。イギリスにおけるヘンデルの地歩を固めた作品です。これはプレストン~エンシェントを使いました。最後はオルガン・コンチェルト op.4-4です。来日中のギエルミの演奏です。
9日(火)は、 op.3-2変ロ長調から。演奏はモルテンセン~EUバロック・オーケストラの新録音です。次に、《ユトレヒト・テデウム》の姉妹作、《ユトレヒト・ユビラーテ》。演奏は同じくプレストンにしました。次に op.3-3ト長調を、ホグウッド~ヘンデル&ハイドン・ソサエティで。最後を、アランのオルガンとフライブルク・バロック・オーケストラの演奏するオルガン協奏曲 op.4-2で締めました。
10日(水)は、 まずヘ長調op.3-4をピノックで。ピノックの演奏は、やはり一番安心して聴けますね。生き生きして、品格があります。次に、ピノック編の《パッサカリア、ジーグとメヌエット》。これはトリオ・ソナタからの編曲なのですが、とてもいい曲です。彼の《王宮の花火の音楽》のCDに入っています。
次に同じくピノックで、協奏曲ヘ長調HWV331(演奏は間に op.3-5のアダージョを挿入)。「古楽の楽しみ」のテーマソングは《水上の音楽》と認識されていると思いますが、じつはこのHWV331、パロディ作品なのです。次にニ短調 op.3-5を若き日のアーノンクールで聴き(ちょっと作りすぎのような)、《戴冠式アンセム》の〈あなたの御手が強められ〉で結びます。演奏はモルテンセン。
11日(木)は、残るニ長調 op.3-6を、ミンコフスキの元気のいい演奏で。オーボエ協奏曲ト短調(ピノック)、協奏曲《アレクサンダーの饗宴》(ベルリン古楽アカデミー)、ハープ協奏曲(ローレンス=キング)と進み、締めは〈シバの女王の登場〉(ピノック)にしました。この日のみ、オール器楽となりました。
ヘンデルの音楽は、とにかくにぎやか。スピーカーから飛び出そうなそのエネルギーを浴びて、元気を出していただければと思います。
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今月の「古楽の楽しみ」 ― 2016年01月07日 23時49分05秒
今月は、バッハのカンタータ特集です。カンタータはおりおりやっていますが、なにぶん傑作の森ですから、やっていない曲の方がはるかに多い。たとえばもっとも有名な第147番は、温存しているうちに今に至ってしまいました。これが、今回の切り札。第182番も初めてで、既出の作品は第1番だけです。
147、182を含むテーマとして、「マリアの祝日」を設定しました。しかしバッハ時代のマリアの祝日は、計3日しかありません。1日足りないので、ヨハネの祝日を組み合わせることにしました。演奏は曲ごとに変え、なるべく新しいものを使います。カンタータの新しい録音は結構あるのに、国内では紹介されないままになっているからです。
11日(月)は、ヨハネの祝日用カンタータ。第167番をガーディナーで聴き、そこで使われているルターのコラール《われらの主キリスト、ヨルダンの川に来たり》をオルガンと合唱で取り上げた後、このコラールに基づく第7番を、ローランド・ウィルソンの新録音で聴きます。リフキン方式(ソリスト4人が合唱も担当する)による演奏ですが、そのシェアはますます増加しています。
12日(火)は、お告げ(受胎告知)の祝日用作品。第182番、第1番は、どちらも著名作に属するものです。第182番には、スイスのザンクト・ガレン・バッハ財団の演奏を使いました。ルドルフ・ルッツの指揮のもと、急ピッチで全曲録音を行っているグループです。そのきびきびした演奏は、一聴に値すると思います。第1番には、次世代のエース、ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮のドレスデン室内合唱団とベルリン古楽アカデミーを選びました。これは2011年のライプツィヒ・ライヴです。
13日(水)は訪問の祝日特集。ここに第147番、そして第10番(ドイツ語マニフィカト)を置きました。第147番の演奏は、マグダレーナ・コンソートの最新録音です。バスのピーター・ハーヴィーが指揮を執り、エリン・マナハン・トマス、ダニエル・テイラー、ジェイムズ・ギルクリストというそうそうたる顔ぶれで、重唱(リフキン方式)が組まれています。「今」にふさわしい、いい演奏です。第10番は、ローラント・ビューヒナー指揮のレーゲンスブルク大聖堂聖歌隊で。ソプラノのリュデーンさん(←旧知なので)が、さすがの歌唱を聴かせてくれます。
14日(木)は、清めの祝日。一番有名なのは第82番ですが、それはもう取り上げましたので、第83番、第125番を選びました。演奏は第83番がBCJ、第125番がヘレヴェッヘです。これのみ1900年代の演奏です(とてもいいと思います)。両曲に出てくるシメオン・コラールを合唱とオル、ガンで聴きますが、オルガンにはヴァルヒャのモノラル録音を使ってみました。しみじみと心に迫ります。
どうぞお楽しみください。
147、182を含むテーマとして、「マリアの祝日」を設定しました。しかしバッハ時代のマリアの祝日は、計3日しかありません。1日足りないので、ヨハネの祝日を組み合わせることにしました。演奏は曲ごとに変え、なるべく新しいものを使います。カンタータの新しい録音は結構あるのに、国内では紹介されないままになっているからです。
11日(月)は、ヨハネの祝日用カンタータ。第167番をガーディナーで聴き、そこで使われているルターのコラール《われらの主キリスト、ヨルダンの川に来たり》をオルガンと合唱で取り上げた後、このコラールに基づく第7番を、ローランド・ウィルソンの新録音で聴きます。リフキン方式(ソリスト4人が合唱も担当する)による演奏ですが、そのシェアはますます増加しています。
12日(火)は、お告げ(受胎告知)の祝日用作品。第182番、第1番は、どちらも著名作に属するものです。第182番には、スイスのザンクト・ガレン・バッハ財団の演奏を使いました。ルドルフ・ルッツの指揮のもと、急ピッチで全曲録音を行っているグループです。そのきびきびした演奏は、一聴に値すると思います。第1番には、次世代のエース、ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮のドレスデン室内合唱団とベルリン古楽アカデミーを選びました。これは2011年のライプツィヒ・ライヴです。
13日(水)は訪問の祝日特集。ここに第147番、そして第10番(ドイツ語マニフィカト)を置きました。第147番の演奏は、マグダレーナ・コンソートの最新録音です。バスのピーター・ハーヴィーが指揮を執り、エリン・マナハン・トマス、ダニエル・テイラー、ジェイムズ・ギルクリストというそうそうたる顔ぶれで、重唱(リフキン方式)が組まれています。「今」にふさわしい、いい演奏です。第10番は、ローラント・ビューヒナー指揮のレーゲンスブルク大聖堂聖歌隊で。ソプラノのリュデーンさん(←旧知なので)が、さすがの歌唱を聴かせてくれます。
14日(木)は、清めの祝日。一番有名なのは第82番ですが、それはもう取り上げましたので、第83番、第125番を選びました。演奏は第83番がBCJ、第125番がヘレヴェッヘです。これのみ1900年代の演奏です(とてもいいと思います)。両曲に出てくるシメオン・コラールを合唱とオル、ガンで聴きますが、オルガンにはヴァルヒャのモノラル録音を使ってみました。しみじみと心に迫ります。
どうぞお楽しみください。
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今月の「古楽の楽しみ」 ― 2015年12月07日 15時52分31秒
今月は、バッハのヴァイオリンとチェンバロのためのソナタBWV1014~19を、若干のヴァイオリンと通奏低音のためのソナタを加えて特集しました。新しい録音もずいぶん出ていましたので、演奏が重ならないように幅広く構成しました。
12月14日(月)は、第1番ロ短調BWV1014をバンキーニで、第2番イ長調BWV1015をカルミニョーラで。残った時間に、通奏低音付きのソナタト長調BWV1021をトリオ・ソネリーで、同じくホ短調BWV1023を、エレーヌ・シュミットで。この日は全部バロック・ヴァイオリンです。
15日(火)は、第1番のモダン・ヴァイオリン演奏から。奏者はフランク・ペーター・ツィンマーマンです。次はバロック・ヴァイオリンに戻り、第3番ホ長調をアンドルー・マンゼで。ここでラレード+グールドによるその第2楽章をはさみました。有名な第4番ハ短調BWV1017は、ムローヴァ+ダントーネで(バロック・ボウ、バロック・ピッチ)。
16日(水)は、第4番をラレード+グールドでもう一度聴き、そのシチリアーノ編曲(byストコフスキー)と、アダージョ編曲(by小糸恵)を紹介しました。第5番ヘ短調BWV1018は、古楽側の往年の名演、クイケン+レオンハルト。最後に通奏低音付きのソナタヘ長調BWV1022を、ヘーヴァルトの新録音で。
17日(木)は、複数の稿で遺されている第6番ト長調を、初稿BWV1019aと改訂稿BWV1019で比較しました。前者がポッジャー+ピノック、後者がブンディース+高田泰治です。最後に、BWV1020ト短調のソナタ(偽作)を、ゲーベルのバロック・ヴァイオリン演奏で加えました。普通フルートで演奏されますが、ヴァイオリンもなかなかいいですね。
というわけで、ピリオド対モダン、古い録音対新しい録音の大混戦、という感じの構成になりました。でも、それぞれに面白いです。モダンの名手がバロック奏法を理解して採り入れた場合、さすがに立派な結果が生まれるように思います。
12月14日(月)は、第1番ロ短調BWV1014をバンキーニで、第2番イ長調BWV1015をカルミニョーラで。残った時間に、通奏低音付きのソナタト長調BWV1021をトリオ・ソネリーで、同じくホ短調BWV1023を、エレーヌ・シュミットで。この日は全部バロック・ヴァイオリンです。
15日(火)は、第1番のモダン・ヴァイオリン演奏から。奏者はフランク・ペーター・ツィンマーマンです。次はバロック・ヴァイオリンに戻り、第3番ホ長調をアンドルー・マンゼで。ここでラレード+グールドによるその第2楽章をはさみました。有名な第4番ハ短調BWV1017は、ムローヴァ+ダントーネで(バロック・ボウ、バロック・ピッチ)。
16日(水)は、第4番をラレード+グールドでもう一度聴き、そのシチリアーノ編曲(byストコフスキー)と、アダージョ編曲(by小糸恵)を紹介しました。第5番ヘ短調BWV1018は、古楽側の往年の名演、クイケン+レオンハルト。最後に通奏低音付きのソナタヘ長調BWV1022を、ヘーヴァルトの新録音で。
17日(木)は、複数の稿で遺されている第6番ト長調を、初稿BWV1019aと改訂稿BWV1019で比較しました。前者がポッジャー+ピノック、後者がブンディース+高田泰治です。最後に、BWV1020ト短調のソナタ(偽作)を、ゲーベルのバロック・ヴァイオリン演奏で加えました。普通フルートで演奏されますが、ヴァイオリンもなかなかいいですね。
というわけで、ピリオド対モダン、古い録音対新しい録音の大混戦、という感じの構成になりました。でも、それぞれに面白いです。モダンの名手がバロック奏法を理解して採り入れた場合、さすがに立派な結果が生まれるように思います。
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今月の「古楽の楽しみ」 ― 2015年11月08日 22時30分26秒
アインシュタインに『音楽における偉大さ』という本があります。その趣旨は、日本でも音楽室に並んでいる大作曲家のステイタスを検証すること。そこで疑われている一人が、グルックです。たしかに、一昔前「オペラ改革者」として有名だったグルックが、このところ、あまり聴かれていないように思います。
そこで、「古楽としてのグルック」という番組を作りました。モーツァルト、ハイドンに次ぐ企画ですが、グルックはC.P.E.バッハと同じ1714年生まれ、ハイドンより18歳も年長ですから、時代的には、そんなにおかしくありません。しかし作風は、明らかに古典派のものです。
スタート(16日、月)はやはり、《オルフェオとエウリディーチェ》から。ちょうどアルゼンチンのカウンターテナー、フランコ・ファジョーリがエキルベイと共演した最新盤が発売されましたので、それを使いました。ウィーン稿によっています。
1日ぐらい器楽を入れたかったのですが、あいにくグルックは、器楽がとても少ないのです。そこで17日(火)は、バレエ曲がいくつも挿入されている《オルフェオとエウリディーチェ》のフランス語版を、挿入曲を中心に取り上げることにしました。有名な〈メロディ〉は、ここに出てきます。演奏は、ミンコフスキ。余白に、バレエ音楽《ドン・ファン》の一部を、ヴァイルの演奏でプラスしました。
18日(水)は、ウィーンからパリに進出したグルックが大成功を収めた作品、《オーリドのイフィジェニー》です。この曲はフルトヴェングラーやクレンペラーが指揮した序曲で知られていますが、その《アウリスのイフィゲニア》は、ワーグナー編曲のドイツ語版。ロマン的に潤色されています。もちろん放送では、ガーディナーのフランス語版を使いました。
19日(木)は、最後期の作品で傑作の誉れ高い《トーリドのイフィジェニー》を、ミンコフスキの演奏で。まぎらわしいタイトルですが、《オーリド》の後日談です。神話的に古風な《オルフェオ》とは大きく異なる、緊迫感にあふれた作品になっています。
こうして集めてみると、なかなかすごいです。ディレクターがずいぶん感心していたので、間違いないと思います。ただ一点気がついたのは、グルックの旋律が、ほとんど順次進行であること。音階の連続が多いです。音を散らす人って、特別に才能があるんでしょうね。ヘンデルしかり、ワーグナーしかりです。
そこで、「古楽としてのグルック」という番組を作りました。モーツァルト、ハイドンに次ぐ企画ですが、グルックはC.P.E.バッハと同じ1714年生まれ、ハイドンより18歳も年長ですから、時代的には、そんなにおかしくありません。しかし作風は、明らかに古典派のものです。
スタート(16日、月)はやはり、《オルフェオとエウリディーチェ》から。ちょうどアルゼンチンのカウンターテナー、フランコ・ファジョーリがエキルベイと共演した最新盤が発売されましたので、それを使いました。ウィーン稿によっています。
1日ぐらい器楽を入れたかったのですが、あいにくグルックは、器楽がとても少ないのです。そこで17日(火)は、バレエ曲がいくつも挿入されている《オルフェオとエウリディーチェ》のフランス語版を、挿入曲を中心に取り上げることにしました。有名な〈メロディ〉は、ここに出てきます。演奏は、ミンコフスキ。余白に、バレエ音楽《ドン・ファン》の一部を、ヴァイルの演奏でプラスしました。
18日(水)は、ウィーンからパリに進出したグルックが大成功を収めた作品、《オーリドのイフィジェニー》です。この曲はフルトヴェングラーやクレンペラーが指揮した序曲で知られていますが、その《アウリスのイフィゲニア》は、ワーグナー編曲のドイツ語版。ロマン的に潤色されています。もちろん放送では、ガーディナーのフランス語版を使いました。
19日(木)は、最後期の作品で傑作の誉れ高い《トーリドのイフィジェニー》を、ミンコフスキの演奏で。まぎらわしいタイトルですが、《オーリド》の後日談です。神話的に古風な《オルフェオ》とは大きく異なる、緊迫感にあふれた作品になっています。
こうして集めてみると、なかなかすごいです。ディレクターがずいぶん感心していたので、間違いないと思います。ただ一点気がついたのは、グルックの旋律が、ほとんど順次進行であること。音階の連続が多いです。音を散らす人って、特別に才能があるんでしょうね。ヘンデルしかり、ワーグナーしかりです。
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