ロ短調学会(2)2008年01月04日 09時04分13秒

運が良かったのは、国立音楽大学が2006年に創立80周年を迎え、その記念事業として、『演奏の80年史』という資料が編纂されていたことです。付属図書館の染谷周子・杉岡わか子のお二人によって、昭和6年の初演に関する資料(チラシ、プログラム、写真、指揮者の回想など)が蒐集されていた。これをありがたく使わせていただき、調査による肉付けを行って、《ロ短調ミサ曲》受容史に関する論文を作成しました。

しかし、これを英語にしなくてはならない。口頭発表のためにも、英語の準備は肝要です。急に上手になれるはずはないが、何か、いい方法はないだろうか。私が選んだのは、英文の作成をネイティブの方にお願いし、それを暗記して発表に臨む、というやり方でした。

外国語の勉強は丸暗記に限る、というのはかねてからの持論ですが、昔読んだ外国語勉強法の本に、海外の学会に行くたびにその言葉の論文を1つ暗記する、という方法が紹介されていることを思い出しました。そこで、日本語にして40枚ほどの論文を、歩きながら、お風呂に入りながらetc暗記し、ほとんどすらすら言えるまでにしました。この方法は絶対お薦めです。自分の論文にかかわる語彙が頭に入りますし、種々のイディオムも、自分の発想に即して覚えることができるからです。日常会話の暗記も少しやりましたが、力のほとんどは、論文の暗記の方に注ぎました。

もちろんその程度では、全然足りません。日が迫るにつれ、気が重くなってきました。主催者側の準備はすばらしく進行しています。発表される論文を集めた冊子が作成されて、ネット上で配布されました。参加者に事前に読んでもらい、ディス火ションを充実させよう、という趣向です。書き手には有名な人が揃っていますし、感心するほどの力作揃い。なにしろ、注が100以上(!)付いた論文が2つあるのです。私は人にプレッシャーをかけるのが好きだとよく言われますが、その報いがしっかり来たようでした。(続)