ロ短調学会(7)2008年01月09日 12時26分31秒

j配布資料
パチコフスキ氏の発表は、2つの点で、私の目を開かせてくれました。ひとつは、宮廷作曲家称号の請願という広く知られた出来事が、どういう背景のもとに、どんな意味合いで行われたのか、ということ。もうひとつは、ポロネーズ舞曲の当時における広がりと、その象徴的意味についてです。

その詳細については機会を改めて報告することにし、先を急ぎましょう。11月3日は、終日、発表と討論が続きました。最初に「神学」のセッション(ロビン・リーバー他)、続いて「作曲と意味(2):数比」(ウルリヒ・ジーゲレ他)、「作曲と意味(1):美学」(ジョージ・スタウファー他)。そして「資料とエディション」(ハンス=ヨアヒム・シュルツェ他)。クリストフ・ヴォルフ氏のキーノート・ペーパー(作品研究の歴史と現状、諸問題に関する要領のよいまとめ)で夕食休憩となり、そのあとはレセプションとなりました。楽しい談笑の写真が公式ホームページに紹介されていますが、私は翌日の発表原稿が不十分だったのでホテルに戻り、改良に精を出しました。深夜、富田さんが訪ねてくださり、疲れもみせずに協力してくださったのには感謝。富田さんの献身的な働きへの賞賛と感謝は、すべての参加者の口に満ちあふれていました。

疾風のように、英語の飛び交う学会です。みんな、ものすごいスピードでしゃべる。指揮者のアンドルー・パロットさんなんか、超特急。不安になった私が長老のジーゲレ先生に「英語ができないので心配です」と申し上げると、「私もですよ」というお返事。たしかにドイツ系の先生には、英語は苦手とお見受けする方が案外おられました。それでも、質問の内容は的確にとらえて、最低限の対応をする。やはり、ヒアリングが一定のレベルにあることが、重要なようです。

(写真は、配布された資料。発表論文を集めた冊子、既存の研究を集めた冊子、プログラムとレジュメ集、諸外国の演奏記録を集めた冊子。)