旧著の見直し2008年01月30日 23時05分25秒

翻訳のむずかしさについて書いたのは、拙著『マタイ受難曲』(東京書籍)が増刷していただけることになり、全体を見直して、訳にも多少の修正を行ったためです。細かいことがいくらでも書いてある本で、途中で退屈し、居眠りしてしまいました(笑)。大勢の方がよくこれを読んでくださっているものだと、驚くやら、ありがたいやら。一般の方には不必要なことも多いかと思いますが、執筆も学者の職責のうちなので、学術書として認めていただくために、どうしても専門的な情報の記述は必要なのです。好きなだけ書いていい、と言ってくださった東京書籍に感謝します。

年と共に文献は増えますし、CD、DVDも出てきます。今回、ページ構成を動かさない範囲で、なんとか、補遺を滑り込ませました。CDでは一貫してレオンハルト盤を推薦していますが、今回聴き直して、アーノンクールの3度目の録音が、じつにすばらしいという印象をもちました。最高の歌手をずらりと揃えながら、指揮者の統率で、言葉のメッセージに強く集中した演奏になっています。たいへんな貫禄。純粋古楽の様式ではもはやありませんが、古楽とモダンの接点を追究したいと思っている私には、とても勉強になりました。

足らざる情報、欠けている勉強を何とか補いつつ、前進しています。