作曲家の演奏 ― 2009年03月25日 23時53分39秒
私には、理にかなった演奏への好みがあります。ひとつひとつの音の意味が的確に捉えられ、しっかりした方向性をもって弾き表されている演奏に接すると、喜びと共感を覚えます。反面、そこがあいまいになったまま効果に走っている演奏には、不満を覚えることしばしばです。
こういう傾向ですと、自分が作曲をする人の演奏に、特別の敬意をもって耳を傾けることになります。野平一郎さんが、まさに好例です。こうした好みのしからしむるところだと思うのですが、毎日新聞の「今月のCD選」の1位には、高橋悠治さんの弾く冬のロンド/戸島美喜夫ピアノ曲集」(ALM)という1枚を選びました。
演奏されている7つのピアノ曲は、アジアなどの民俗的な素材をパラフレーズしたごく簡素な作風のものなのですが、音の意味を追究したクリエイティヴな演奏によって、たいへん興味深く聴くことができます。2位には、ピアノも名手だという若手ヴァイオリニストユリア・フィッシャーの、バッハ/ヴァイオリン協奏曲集を入れました。快活にはずむ演奏で、曲の良さを素直に出していると思います。
3位にしたラトル~ベルリン・フィルのラヴェル《子供と魔法》も傑出した演奏なのですが、ここまで来るとちょっとしたことに文句をいいたくなります。コジェナーの主役がまったく子供に聞こえない、というその1点です。
新譜が減っていることもあり、来月からDVDも含めることになりました。ちょうと本を書いていますから、好都合です。
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