2つの二重唱 ― 2009年03月31日 22時56分32秒
3月30日(月)は立川アミューの大ホールでコンサートを開きました。国立音大と立川市が提携・協力を進める契約をかわしたため、それを記念してのコンサートでした。以前このブログでご紹介した金沢/新潟のコンサートを多少手直しして披露しましたので、一定の成果は見込んでいましたが、同時に大きな責任もかかっていましたから、気合いも特別入ったステージでした。
大勢のお客様に来ていただき、わが大学より抜きのアーチストが全力を尽くしてくださって、熱く盛り上がるコンサートになったのは何よりでした。時節柄、重い花粉症で本領を発揮できなかった方がおられたのはお気の毒でしたが、声楽と室内アンサンブルの親密なアンサンブルはわれわれならではで、私も、お客様と感動を共にしました。
後半は《魔笛》のハイライト。最後に、第2幕のフィナーレから、2つの二重唱(タミーノ+パミーナのセレブ・コンビによる気高い曲想のもの、および、パパゲーノ+パパゲーナのお似合いコンビによるくだけた曲想のもの)を並べて聴いていただくという趣向を設けました。直前のトークで、いずれ劣らぬ超名曲なのだが、音楽の書き方はまったく異なっている、皆さんはどちらをよりお好みになるか、と客席に問いかけました。
私が好きなのは前者です。パミーナが笛の由来を説明するあたりなど、涙なくしては聴けない、というほど好きです。そのことを申し上げ、ちなみに当夜のピアニストで対話や模範演奏もしてくださった久元祐子さんは後者がお好きです、と付け加えて、お客様の判断に委ねました。そして、〈パ・パ・パの二重唱〉が最後に大きく盛り上がって、コンサートはお開きとなりました。
ところが私の勘違いで、久元さんもセレブ二重唱の方がお好きなのだそうです。この場で、謹んで訂正させていただきます。マネージメントを仕切った安藤博さん(←批評家でもある)も同意見。私の好みは、必ずしも少数派というわけではないようです。モーツァルトが本当に自信をもっていたのは、どちらの二重唱だったのでしょうか。
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