前代未聞の激戦2010年08月30日 08時58分08秒

全日本合唱コンクール埼玉大会の審査を、3日間行いました。昨日の高校の部はとりわけハイレベルで、前代未聞の激戦となりました。

「前代未聞」という言葉を使うのには理由があります。審査結果が、完全に割れたからなのです。5人の審査員の1位が全部別、2位も全部別で、1位と2位の合計が、10校(重複なし!)。3位まで広げても、計12校。これほどばらばらになったのは、私の知るかぎり、初めてです。

結果発表には、全合唱団が3階席までをぎっしり埋め、かたずを飲む状況になりました。高校生は正直ですから、歓喜爆発のところ、下を向いてタオルに顔を埋めてしまうところ、明暗がくっきり分かれます。長い時間号泣していた生徒がいたのには驚きましたが、強豪校のまさかの落選、というケースだそうです。

33もの出場校が甲乙付けがたい状況で午前から夕方まで演奏し続けますと、同一の基準で聴き通し、きれいに順位を振り分けることは、至難の業です。私は今回、前回の反省をもとに、2つの基準を守ろうと努めました。それは、聴いた直後につけた点数をあとからの記憶で修正しないこと、互角だと思われたらかならず先に演奏した方を上位にすることです(時間差の影響はきわめて大きいので)。

それでもかなり、反省が残りました。審査員の心理として、自分の採点に同調してくれる人がいるか、いないかというのは、精神的な健康に影響します。ひとりでは、不安になるわけです。私はよくそれを経験しますが、今回は、第一級の顔ぶれの先生方が皆さんそれを経験されたようにお見受けしました。結局そのような形で一定のバランスを取るのが、審査というものだと思います。評価の観点はさまざまですからね。

いずれにしろ、高校の合唱活動がさかんなさまに接し、勇気づけられました。