オペラの解説2011年04月14日 23時48分39秒

今夜は、ほっとしています。というのは、3月の末締切りなのにずっと遅れていた仕事を済ませたから。それは、新国立劇場の《コジ・ファン・トゥッテ》公演の解説した。

知悉している作品なので困難というわけではないのですが、なかなか手がつきませんでした。それは、このプロダクションがミキエレットという人の新演出で、ナポリでの出来事が、現代のキャンプ場で起こる出来事として設定されているからです。

こういう演出への好き嫌いはともかくとして、困るのは、解説をどう書けばいいかということです。たとえば、あらすじ。「ナポリのカフェテラスで、老哲学者ドン・アルフォンソと2人の士官が論争している」と始めていいのでしょうか。それとも、「キャンプ場で、オーナーのドン・アルフォンソが、遊びにやってきた2人の大学生と論争している」と始めるべきなのでしょうか。併記する紙面はないとすれば、あるいは中をとって、「年長のドン・アルフォンソが、2人の若者と論争している」とごまかしておくのがいいのでしょうか。

原曲通りに説明をしたのでは、解説と現実が食い違ってしまいます。かといって演出通りに説明したのでは、モーツァルトがキャンプ場のオペラを書いたのかと思われかねませんし、演出家の功績(?)がどこにあるかもわからなくなる。むずかしいのです。こういう演出は最近多いですから、解説する方はみなさん、苦労されておられるのでしょうね。

解説者としてはやはり、本来どういうものであるかを解説したいので、原則その筋で仕上げ、適否をお尋ねしました。脱稿後、NHKへ。復活祭特集後半の録音です。

放送を通じて出会った知られざるすぐれた作曲家として、ハマーシュミットとドーレスが、印象に残っています。今回それに、エルレバッハが加わりました。ルードルシュタットの宮廷楽長を務めていたエルレバッハのカンタータは、バッハを準備するものとしてとてもよく書けていて、再評価の機運もむべなるかなです。放送は4月27日です。

これで、短期的にみて遅れている仕事はなくなりました。やらなきゃ、やらなきゃというのは、精神的によくありません。

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