今月の「古楽の楽しみ」2011年10月09日 18時01分10秒

NHKFMの「古楽の楽しみ」、今週が、私の担当分です。今週のテーマは「ドイツ・バロックのカトリック音楽」。最後に、バッハの《ロ短調ミサ曲》が登場します。

10日(月)は、デュッセルドルフの宮廷楽長、ヴィルデラーとそのオルガニスト、グルーアの宗教曲を取り上げます(おまけにレオポルト1世)。冒頭にヴィルデラーのミサ曲ト短調を出しますが、これはバッハ《ロ短調ミサ曲》のキリエのモデルになった作品ですので、比較してごらんになると、興味深いかと思います。

11日(火)は、ザルツブルク宮廷で鳴り響いた音楽、ということで、ビーバーのミサ曲とマニフィカト、ムファットのソナタ、カルダーラのマニフィカト。カルダーラの作品はバッハが筆写し部分的に編曲したことが知られており(BWV1082)、演奏もそれを含めています。

12日(水)はバイエルン選帝侯のミュンヘン宮廷の音楽。ケルル、ペーツ、ベルナベーイ、マイヤーの作品、というとずいぶん地味な感じですが、音楽のレベルは高く、他の宮廷に劣りません。

13日(木)と14日(金)は、バッハの《ロ短調ミサ曲》後半部です。13日は、同曲後半部の直接の先駆と考えられるカンタータ第191番(ミサ曲の〈グローリア〉の短縮版)をまず聴き、次に《ロ短調ミサ曲》の〈ニカイア信条〉(←従来「ニケーア信経」と呼ばれてきましたが、今回の訳本からニカイア信条に改めました)。演奏は前者がガーディナー、後者がユングヘーネル(カントゥス・ケルン)です。ユングヘーネルの演奏は古楽的透明感が卓抜で、この曲の上位に来る演奏でしょう。

14日は、《ロ短調ミサ曲》の第3部(ザンクトゥス)と第4部(オザンナ以降)を聴き、マニフィカトで締める、という趣向にしました。マニフィカトの演奏はピエルロです。

バッハのラテン語教会音楽の重要性が顕著に主張される中、このような放送を企画しました。お楽しみいただければ幸いです。