反省2011年10月23日 23時56分29秒

音楽大学につとめていて良かったと思うのは、演奏家の先生方と親しくなれたことです。いろいろな分野に友人ができましたが、ある声楽の先生はいつも、「礒山先生は歌科(うたか)的気質の持ち主だから」とおっしゃいます。これは、私の歌好きをご存知で言ってくださっているのだと思いますが、あるいは、理知と感情のバランスにおいて、私がある程度感情に寄っている、という意味を含んでいるのかもしれません。周囲の方々に、私はどう映っているのでしょう。

自分では知的抑制に富むイメージを目指しているのですが、音楽に涙するケースがめっきり多くなり、自信がなくなってきました。私は演奏なり、スピーチなりに接してそのすばらしさに感銘することしばしばで、その一部を当欄でご紹介したりしているのですが、そうした多感なプラス反応は、同時に、マイナス反応をも生み出します。相手を甘く見たもの、自覚の足りないものに対して抱くネがディヴ感情は、自分でもいやになるほど大きいのです。で、基本平静、いいものに感動、そうでないものにも動ぜず、という境地に入れたらいいなあ、と思っています。

何より人間、怒っちゃだめですね。先日、前のスケジュールが長引いて私の練習を休んだ人たちに激怒してしまったのですが、大人気なかったという反省の念しきりです。どうして、信頼すべき人たちが休むのにはそれだけの理由があると思うことができなかったのか。まだ自分ダメですね。そういう部分を抑制しつつ、なお、「歌科的」というお言葉をいただけるように努力したいと思います。