つながった仕事2012年08月07日 23時57分01秒

風邪は相当よくなり、今日は座談会に出席しました。ご心配をおかけしてすみません。

オルガン・コンサートの後、『エヴァンゲリスト』と『マタイ受難曲』の初版本をもって長いこと待っていてくださった九州のお医者様とお話しました(コメントもいただいています)。びっくりしたのは、その方が、前日メールを交換した読者の方とまったく同じことをおっしゃったことでした。お二人とも、私の読者になってくださったきっかけは、1982年に私が『レコード芸術』誌に連載した「ミーメのミュンヘン日記」だそうなのです。

楽しく読んでいただこうと、若さにまかせて、軽いノリで書いた連載でした。学者がこういうものを書くことには賛否両論があり、研究に専念すべきだという意見も正論です。しかし私は実践や現場が人一倍好きなタチで、レコード/CDの仕事をたくさんやってきました。なにしろ美学に進学したきっかけが、「レコードの解説が1枚でもできれば本望だ」というものだったのですから。今でもCDを手にすると、ワクワク感があります。

そんな気持ちで手がけた小さな仕事がはるか現在につながっていることがわかり、とても嬉しい気持ちです。どんな仕事でも、どこかで、誰かが見てくれている。だからこそ若い方に、「先へつながるような仕事をすること」が大切だと申し上げているのです。