暑中の合唱コンクール2012年08月26日 10時52分56秒

金曜、土曜と、埼玉県合唱コンクール。金曜日が中学校の部、土曜日が大学と高校の部でした。埼玉県の合唱レベルは高く、高校の場合、昨年の全国大会に出場したシード校が、5校もあるのです。関東大会の出場枠が、さらに8校ある。当然激戦で、審査員泣かせです。

いつも思うことですが、コンクールの審査は、音楽に対する価値判断の困難さを集約するような性質のものです。さまざまな着眼点のどこに注目するかで、結果はまったく違ってくる。たとえば、県代表として関東大会や全国大会で戦える団体を選ぼう、という考え方を頭の片隅に置けば、それだけでもう相当、審査は影響を受けます。私はそういう発想を持ちませんでしたが、持つことも、もちろん正当です。

今回審査委員長をさせていただいて印象的だったのは、委員の先生方が苦心し、悩み、たえず自己批判しながら採点しておられる姿でした。合唱にキャリアのある先生方もけっして独断的ではなく、そういう点では自分とまったく同じだと知ると、勇気づけられます。5人で補い合う、ということです。

私の採点はすでに公表されていますから、多少コメントしても大丈夫ですよね。浦和高校グリークラブの豪快かつユーモラスな男声合唱が1位に輝いたことにはまったく異存がありませんが、私の個人的なこだわりも含めて、その上に2校置きました。ひとつは、詩と音楽の関係の一分の隙もない把握を通じて優雅の極みを歌い出した川越女子高、もうひとつは、ラテン語のテキストを生き生きと躍動させた伊奈学園です。今回はラテン語の曲を歌った合唱団が相当あったのですが、歌詞内容の把握は正直のところあいまいに思える場合が多く、そこがきちんと勉強されるとどれほど効果があるかを、あらためて実感しました。32校のこうした競い合いのあとに、5つのシード校が演奏しました。

今日(日)はサントリーの芥川賞選考会に出席し、そのあと大阪に向かいます。