今月の「古楽の楽しみ」2012年09月04日 09時57分52秒

8月が「追悼音楽」という重い企画でしたので、9月は軽く楽しめるものにしたいと思い、テレマンの特集を組みました。テレマンの作品はこれまでもある程度取り上げてきましたが、ご存じのような多作家なので、音源もたくさんあります。やってみて、最近の古楽器演奏の高まりが、テレマンの音楽を着実にひたしていると実感しました。

10日(月)は30代(すなわちアイゼナハ/フランクフルト時代)の作品から、まずカンタータ《いざ来ませ、異邦人の救い主よ》。1860曲ある教会カンタータの第1174番(!)で、5曲ある同名カンタータの第1曲です。もちろんルターのコラールが使われています。もう1つは、イ短調のリコーダー組曲。有名な作品ですが、シュテーガーとベルリン古楽アカデミーによる演奏が、ポーランド色も取り入れつつ、怒涛の勢い。昔よく聴いた演奏とは別の曲のようです。

11日(火)は、テレマンの楽器の使い方に焦点を当てました。最初に、オーボエとファゴットを管楽器とする管弦楽組曲ロ短調第1番。次に、そこにフルートが加わるホ短調第3番(抜粋)。演奏はプラートゥム・インテグルム(ロシアのピリオド楽器アンサンブル)です。後半は金管を主役とし、アンサンブル・ソナタニ長調(コンチェルト・メナンテ演奏)と、《ターフェルムジーク》第3集から、2つのホルンが入る変ホ長調のコンチェルト(ムジカ・アンフィオン演奏)。いずれも楽器がよく生かされた作品で、演奏して楽しく、聴いて楽しいものです。

12日(水)は、小編成の室内楽曲を並べました。まずイ短調第5番(ポーランド風)とト長調第7番のトリオ・ソナタ(弦)を、コンチェルト・メランテの演奏で。このアンサンブル(ピリオド楽器)は、半分がベルリン・フィル、半分がベルリン古楽アカデミーの奏者なのだそうですね。ベルリン・フィルのバロック演奏もここまで来たかと、隔世の感をもちました。トリオ・ソナタからは、木管によるニ短調第4番を、イル・ガルデッリーノの演奏で加えました。

後半はソロ。《信頼のおける音楽の師》のファゴット・ソナタヘ短調(シンタグマ・アミーチ演奏)で開始し、次に、無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジアホ短調(佐藤俊介演奏)、残った時間に、無伴奏ガンバのためのニ長調のソナタから、第2楽章を入れました(クイケン演奏)。

どうしても器楽曲が中心となりますが、13日(木)には、声楽曲を紹介することにしました。まず短いモテットを2曲、《死者は幸いである》と《われらが神は堅き砦》。演奏はヘニッヒ指揮のマクデブルク室内合唱団です。次に1730年の《マタイ受難曲》から、最後の晩餐と、十字架・埋葬の場面。フリーベルガー指揮、シュレーグル音楽ゼミナールの演奏がもう1つですが、音楽的には美しい作品です。1746年と58年の《マタイ》の音源もあったのになぜ1730年の作品を選んだかについては、いずれ改めて書きたいと思います。

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