温かさに包まれる2013年03月10日 22時09分47秒

3月8日、いずみホールにおける「日本のうた」。午後2時からというシニア向けのコンサートでしたが、ご高齢の方にもたくさん足を運んでいただき、心の芯から温まるようなコンサートになりました。夜になっても、温かな幸福感がずっと残ったのはなぜでしょう。それは何より、お客様からいただいたものだというのが、出演者たちの一致した見解です。終了後、ステージで撮った写真。左から花岡千春さん(ピアノ)、中井亮一さん(テノール)、菅英三子さん(ソプラノ)、私、三原剛さん(バリトン)です。


明治も大正も昭和も、民謡に由来する歌はみな良かったけれど、痛感したのは、山田耕筰のすばらしさです。あまり歌われない民謡編曲もじつに非凡だし、耕筰オリジナルの《松島音頭》は、ずっと心に住みついて、離れません。歌い手3人の合作する名調子はアンコールの最後にも繰り返されて、大いに盛り上がりました。ステージ上で司会する私にとって、「日本のうた」は鬼門です。どうしても、涙が出てしまうからです。司会に涙は禁物、と心に命じてやっているのですが、なつかしの名歌が共感をこめて歌われたりすると、ダメですね。

演奏は皆さん、とても清潔だったなあ。キャリアを積むと演奏家にはどうしても慣れが出て、それによって成功する場合もそうでない場合もあると思うのですが、今回は皆さんキャリアをもちながらも、ベストを尽くして勉強してくださる姿勢があり、歴史を遡る企画として、ありがたかったと思います。応援をいただきましたので、この企画、続けて参ります。