車内で笑う2013年11月12日 10時18分01秒

移動時間が連日あるので、文庫本は必携。相変わらず、篠田節子を読んでいます。ただ、店頭にあるものが限られており、未読のものを入手するには、ある程度探さなくてはなりません。圧倒的な筆力の持ち主なので、もっと読まれていいのに、と思っています。

『神鳥--イビス』も迫力満点でしたが、『讃歌』には考えさせられました。なぜなら、挫折の後ひっそりと活動していた元天才弦楽器奏者が注目され、彼女を主人公にしたテレビ番組が全国的な感動を呼んで一躍スターになる、という、われわれの世界でいかにもありそうなストーリーだからです。しかし彼女がブレイクするのは、小説の、まだ始めの方。以下続くのは、一歩ずつ明らかになる、隠れた真実です。

とても面白く、参考にもなりました。ただ、全体を考察し意味づける最後のあたりは、その世界を本当に知らないと突き詰められない部分で、取材では限界があるとも思いました。

少し著者を広げなければと思い、新しい(←自分にとって)女性作家2人に照準を定めました。ひとりは佐藤愛子さんです。とりあえず『お徳用 愛子の詰め合わせ』という文春文庫を選び、読み始めました。このエッセイ集が、じつに面白いのです。

私はユーモアを好むことにおいては人後に落ちないのですが、どんなに面白いなあと思っても頭でそう思うだけで、表情は変わりません。無表情で読んでいます。ですから、テレビでタレントが手を叩きながら相互爆笑しているのを見ると、これってなんなの、と思ってしまいます。ところが、佐藤さんの本には、まだ始めの方なのに、南武線の中で思わず2回、吹きだしてしまいました。じつに上質のユーモアです。

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