ヨーロッパ通信2014(4)/金持ちケンカせず?2014年04月13日 15時35分50秒

コンセルトヘボウの音響効果は、どの席にも充実した響きがしっかり届いてくる、すばらしいものです。おまけに、2日連続の《マタイ受難曲》公演では、ビールもワインもシャンパンも、フリー・ドリンクとしてサービスされている。でもそこはがまんして、コーヒーをいただきました。写真は、コンセルトヘボウから眺める国立美術館です。


11日(金)の《マタイ》は、フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮のコレギウム・ヴォカーレ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団という注目の公演。旅行を企画した段階ですでにチケットは売り切れ、スタッフの努力で聴けるようになったという経緯がありました。

で、その公演がどうだったかということですが・・・。コレギウム・ヴォカーレの合唱はさすがに機動力があり、ソリストも、カウンターテナーのダミアン・ギヨンを筆頭に高レベル(他にキャロリン・サンプソン、ペーター・コーイなど、エヴァンゲリストはマクシミリアン・シュミットでイエスはトーマス・バウアー)。コンセルトヘボウ管は音色の明るい華やぎにモダン楽器らしさを感じさせるものの、バッハ演奏の要点を抑えて違和感がないのは、さすがです。

こうしてよりぬきの美しい響きが、心地よく前を過ぎていきます。でもなぜか、心に訴えて来ない。私の見るところ、理由は2つ。1つは、演奏の方向性が美しい音楽には向かっていても、受難とは、本当には向き合っていないようだ、ということ。もう1つは、金持ちケンカせずと言っては言い過ぎかもしれませんが、高い完成度に充足して、さらに上を求める真摯さが伝わってこない、ということ。ですからつい、「この演奏はもう知っているな」という感じになってしまうのです。

最後に。アムステルダム旧教会でうっかり踏みそうになった、スウェーリンクの墓石をご覧に入れます。99番という番号がついていました。