純粋という価値2016年03月12日 00時24分55秒

11日(金)、新国立劇場の新制作、ヤナーチェクの《イェヌーファ》を観ました。いい曲ですねえ。台本はいたたまれないほどに悲しく進行しますが、そこに付されたヤナーチェクの音楽が、まことに純粋無垢、真実味にあふれているのです。

このごろになって、純粋とか純真とかいう価値に、すごく心を動かされるようになったと感じています。もちろん、積み重ねや克服の上にあらわれてくる純粋さで、プリミティヴがいいということではありません。

コヴェントガーデンの《魔笛》(私のイチオシ)でタミーノを歌っているヴィル・ハルトマンに出会ったのは、嬉しい驚きでした。彼を含め、すばらしい公演だったと思います。

〔付記〕同日行かれた知人が新国最近の傑作、と激賞しておられました。私も同感。指揮者のトマーシュ・ハヌス氏を柱にヤナーチェク・シリーズをやって欲しいですね。

信濃の国2016年03月06日 09時32分35秒

藤原正彦さんの週刊誌コラムに、『信濃の国』のことが書いてありました。明治33年に作られ後に県歌となったこの歌は、「県の統一を図る」ためのものであり、「以来信州人が集まると、他県の人の迷惑などお構いなくこの歌を大声で歌う」と。

私もこの歌に大きな思い入れがあるのですが、歌う機会、来ましたね。「すざかバッハの会」2月例会で開いたコンサート(28日)の、アンコールでした。地元出身、この歌のエキスパートである近藤圭さんが、朗々たるバリトンで音頭を取り、会場も一緒に歌いました。

中学、高校の校歌は忘れても、『信濃の国』は忘れません--と言いたいところなのですが、6番の歌詞を半分忘れていたのに愕然。「吾妻はやとし やまとたけ」と始まるのです。作詞 浅井洌、作曲 北村季晴。名曲だと思います。

このコンサートは、昨11月に立川で開いたコンサートの再演でした。2回できるのは演奏者にとっての福音で、とくに若い人たちには、ありがたい向上の機会となります。今度は後半の《タンホイザー》抜粋にエリーザベトの《殿堂のアリア》が入ったのが大きく、山口清子さんの清純な歌声を楽しみました。

第3幕の詩情は、ワーグナーの独壇場。〈ワルキューレの騎行〉もいいが、こういう抒情的な側面を知ってほしいと思います。ともあれ、ささやかでも、いっしょに作れるのが楽しみ。須坂の方々、ありがとうございました。写真は左から、近藤圭さん、大峡喜久代さん(すざかバッハの会会長)、私、久元祐子さん、山口清子さん。



軽やかな一日2016年02月06日 08時00分41秒

寒かった3日(水)は、朝日カルチャーを終えた後、水戸芸術館へ。遠方の往復は辛いなあとも思うのですが、私の根っこに、久しぶりの町を歩きたいという気持ちと、何かおいしいものを食べたいという気持ちがあります。

でもそううまくはいきません。ぎりぎりの到着となり、ラーメンを5分で食べて(待ち時間10分)、19時ぴったり走り込むことに。コンサートはロレンツォ・ギエルミ氏のオルガン・リサイタルで、私が解説を書きました。

ここのオルガンはエントランスホールにしつらえられており、客席からはオルガニストの演奏ぶりを、至近距離から見ることができます。響きもいいですが、細部まで手に取るように聞こえるので、オルガニストはたいへんかもしれません。

ギエルミ氏は絶好調。卓越したテクニックが冴え渡りました。明るくノリがよく、軽妙でさえあるオルガンです。ヴィヴァルディ=バッハのコンチェルトなど、彼の独壇場。会場もぎっしり埋まっており、私に声をかけてくださる方もおられました。

行き帰りに、駅で買った小川洋子さんの『ことり』という小説を読みました。小鳥を愛する兄弟の話が、淡々と綴られている本。え、これで1冊いくのかなといぶかしみながら読み始めましたが、まもなく呪縛され、視界がにじんで読めなくなることもしばしば。初めて読むタイプの小説で、心が清められました。

若さはつらつ!2015年12月04日 08時59分49秒

もちろん私のことではありません。11月29日にたましんRISURU小ホールで開催されたコンサートのネーミングです。後ろに、「オペラの愉しみ」とついています。「楽しいクラシックの会」(たのくら)年一回のコンサートの、2015年版です。

「たのくら」例会では3年間ワーグナーをやってきて、いまオペラの歴史に入っています。そこで、ワーグナーに焦点を当てたオペラのプログラムを作りたいと思い、ハンブルクから帰国されたバリトン歌手、近藤圭さんに出演を依頼しました。彼が大学院の修了コンサートでヴォルフラムを歌われたことを覚えていたからです。お相手は山口清子さん(ソプラノ)、伴奏は久元祐子さんと決まり、前半をヘンデルとモーツァルト、後半を《タンホイザー》抜粋を中心とするプログラムを選びました。

ヘンデルのアリア3曲で始まり、モーツァルトのヘンデル風大ピアノ・ソナタK.533の第1楽章を橋渡しとして、《ドン・ジョヴァンニ》の二重唱とアリア4曲へ。近藤さんの風貌と美声、スマートな舞台マナーはまさにドン・ジョヴァンニそのもので、二重唱など、こわいぐらいです(笑)。満場、とくに女性客を魅了。この恵まれた素質と生来のまじめさで、ぜひ大成してほしいと思います。

山口清子さんは、先日の二期会《ダナエの愛》に、ゼメレ役でデビューした方。私はまったくの初対面でしたが、いやたいしたもの、脱帽です。声に澄んだ広がりがあり、歌の中に、お名前通りの清らかさがあるのですね。とても純情で、ちょっとお茶目なツェルリーナ、という印象でした。

後半は、ヴェーゼンドンク歌曲集の《天使》(山口さん)をまず置いてから、《タンホイザー》へ。第1幕、第2幕のヴォルフラムのソロの後、第3幕〈巡礼の合唱〉をピアノで演奏し、〈エリーザベトの祈り〉から〈夕星の歌〉へ、長い間奏も含めて続ける、という構想でプログラミングしました。

〈巡礼の合唱〉から〈夕星の歌〉にかけては詩情溢れる音楽が広がり、《タンホイザー》のもっとも美しいところです。間奏はまことに単純な音だけで作られていますが、久元祐子さんの弾くベーゼンドルファーの潤いのある響きがすばらしく、大いに感激。これを聴くだけでも、意味のあるコンサートだったと思います。

〈夕星の歌〉の後奏をト長調のままエンディングにしてもよかったのですが、じっさいのスコアは切れ目なしに不気味な「呪いの動機」を出す。タンホイザーがにじり寄っていて、〈ローマ語り〉へと続いていくからです。この流れをどうしても切りたくなかったので、「呪いの動機」まで行って終わってください、とオファーしました。これがあるかないかで、ずいぶん印象が変わってきます。

リハーサルと本番を通じて感じたのは、若い人たちが作品にまじめに向かい、全力投球している姿はいいなあ、ということです。前後とても疲れていましたので、元気をいただきました。ありがとう。



バッハホールで響くバッハ2015年10月23日 09時29分16秒

18日(日)は、宮城県加美町の、中新田バッハホールへ。《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ》のコンサートの解説を担当するのですが、いつになく緊張しているのは、この日の出演者が大御所の前橋汀子さんで、初対面であるため。全6曲の演奏は正味2時間を超えますから、演奏者の負担はまことに大きく、お客様も楽ではありません。要点を絞り簡潔に、と心に刻んで舞台に立ちました。

前橋さんが恐縮にもサイン入りCDをもって挨拶に来てくださり、簡単な打ち合わせ。私がナビゲーションする場合にはいつも演奏者へのインタビューを試みていて、それが(いずみホールのオルガン・シリーズのように)演奏者とお客様をつなぐ役割を果たすと思っているのですが、前橋さんは、当然ながら演奏に集中したい、というご意向です。そこで、一応インタビューなしで終わることに決め、もし話てもいいというお気持ちになられたら、舞台から私を呼んでください、ということにしました。

演奏は前半4曲(ソナタ1、パルティータ1、ソナタ2、パルティータ3)、後半が2曲(ソナタ3、パルティータ2)。前橋さんはゆるみない気迫でまず1曲弾かれました。いったん舞台から下がって一息入れられるだろうと思ったら、そのまますぐ、2曲目に入られるではありませんか。とうとうそのまま4曲目まで行って、前半が終了しました。唖然とする集中力です。

後半のスピーチに出ると、客席が大きく盛り上がっているのがわかります。皆さん、集中して聴いておられるのです!長年《無伴奏》を弾き込んでおられる前橋さんですから、すべての音に神経が行き届き、それらが克明に、しかし豊かな潤いをもって届いてくる。そして全体が、高貴な美意識に貫かれています。それが手に取るように聞こえてくるのは、中新田バッハホールのすばらしい音響とバッハにふさわしい雰囲気のおかげ。それで演奏がどのぐらい引き立てられたかわかりません。

《シャコンヌ》が圧倒的な高揚のうちに弾き終えられ、万雷の拍手。さてどうなるかと思ったら、前橋さんは笑顔で私に合図してくださり(うれしい!)、私の差し出すマイクで、感動のこもったメッセージを客席に送ってくださいました。いや、私がこれまで聴いたうちでも1、2を争う、すばらしい《無伴奏》でした。


写真右端は、バッハホールを建設された本間元町長、左端は、ホールによる町おこしに力を入れられている、猪俣現町長です。このホール、本当にいいところなので、皆さん、ぜひ応援してあげてください。東北新幹線の古川から入ります。

歌とピアノの「楽しっくクラシック」?2015年10月21日 22時11分59秒

17日(土)、「たのくら」でヘンデルのオペラについて話した後、同じ立川にある、セレモアの総本社へ。この日開催されている大感謝祭の中にコンサートが組み込まれており、その司会・解説を頼まれているのです。標記はそのタイトル(?は私の付加)。

出演は国立勢で、ソプラノの名花高橋薫子さん、20年ぶりに再会したメゾの日野妙果さん(在ウィーン)、ピアノの久元祐子さん。私の出演が決まったのは、もう企画ができあがってからでした。

つまり、90分の制限時間に盛りだくさんのプログラムが組まれていて、解説する時間がない(笑)。日本歌曲、外国歌曲、オペラ・アリアがドビュッシーの《月の光》をはさんで並び、歌でする世界の旅、という趣です。そこで旅行案内に各曲の歌詞内容をからませて超スリムにナビゲーションし、時間内にぴったり収めることができました。要点をおさえて短く、というのが、やはり一番いいようです。

セレモア構内にある武蔵野ホールは、せいぜい数十人のお客様しか収容できません。しかし鍵盤楽器がたくさん備えられており、この日は、スタインウェイとエラールの歴史楽器を使い分けるぜいたく(久元さんならでは)。マイクなして空間を掌握できますから、ナビゲーションのやりやすいこと、この上なしです。

至近距離から音を浴びている感じになりますので、名曲が、身体に響いてくる。《ムゼッタのワルツ》が涙なしに聴けなかったのはプッチーニが好きだからかと思ったら、次の《ああ、そはかの人か~花から花へ》が涙ますますだったのは、聞き慣れた曲だけに、自分でも驚きました。高橋さんが汚れない品格で歌われたからにちがいありません。日野さんも美声に貫禄が加わり、外国語がすっかり身についておられました。写真は左から、久元さん、高橋さん、日野さんです。


私以上に涙を流して聴いておられる女性がおられ、お話ししたところ、立川に小さなホールを建て、近々オープニングをなされるとか。終了後見学に伺いましたが、使わせていただけそうです。またあらためて、ご案内いたします。

含蓄深いシュトラウス2015年10月04日 11時21分23秒

9月30日から、いずみホールのモーツァルト・シリーズ2015が始まりました。トップバッターはハーゲン四重奏団です。今年の特集は1787~1791なので、室内楽で焦点を当てるべきは、弦楽五重奏曲。しかしあらかたの名グループは「四重奏団」ですから、川本嘉子さんを加えて1曲だけ五重奏曲(ハ長調K.515)をやっていただき、あとは《プロシャ王》と《ハイドン・セット》から1曲ずつ、というプログラムを組みました。

要するに比較に収斂したわけですが、前半の精妙な四重奏を聴きながら、五重奏との対比は十二分に出そうだ、と予想しました。果たせるかな後半は、「ヴィオラ+1」による重量感と表現の広がりが歴然と感じられ、大きな盛り上がりに。お客様からも、五重奏曲をもっと聴きたい、というリクエストが寄せられました。やっぱり、モーツァルトの後期は五重奏曲です!でもなかなか、アレンジがむずかしいのです。

10月1日に新国立劇場の《ラインの黄金》、3日に東京二期会のシュトラウス《ダナエの愛》と回ってみると、日本もオペラの国だなあ、と思います。《ダナエの愛》は過去に演奏会形式上演が一度あるだけだそうなので、事実上の日本初演。シュトラウス晩年の含蓄深いオペラをこの歳で初めて知ることができ、感無量です。

知られざる大作を取り上げるだけでも蛮勇を奮わなければならないのに、これだけのレベルの上演に仕上げるのはさぞたいへんだっただろうと、ついつい、見えない部分の努力を想像してしまいます。たいしたものですね。

準・メルクルさんの指揮でみずみずしく流れるオーケストラの上で、佐々木典子さんがみごとなドイツ語で潤い豊かに歌われた終幕を何度も思い起こしながら、帰路につきました。

見たことのない光景2015年09月03日 00時32分32秒

サントリー芸術財団の主催する「サマーフェスティバル」で、長木誠司さんの監修により、シュトックハウゼンの《シュティムング》が演奏されました(8月29日ブルーローズ、音楽監督ユーリア・ミハーイ)。

6人の歌い手が車座になるステージが中央にあり、それを囲むように、客席が配置されています。残り少ない席に座って音が出るまで、15分ぐらいあったでしょうか。客席は水を打ったように静まりかえり、緊張が支配しています。どんな作品だろう、それがどう演奏されるのだろう、と「固唾を吞む」感じでしょうか。

曲は、倍音を生かした声のスペクトルが、80分ぐらい継続されていくというもの。微細な変化を伴いながらも、えんえんと続いていきます。ところが、客席の「固唾を吞む」モードが、最後まで衰えないのです。終了後も、一種呪術的な呪縛が残存。これには驚きました。

6人の歌い手の方々はさぞ困難な訓練を重ねたことでしょうが、私の席から正面に見えた太田真紀さんなど、進むにつれて輝きを増してゆくのです。今年のベスト公演の1つだろうと思います(他に声楽は工藤あかね、金沢青児、山枡信明、松平敬の皆さん、そして音響が有馬純寿さん)。

翌30日(日)は、芥川作曲賞の選考演奏会。ノミネートされた3曲のオーケストラ演奏を聴いたあと、3人の審査員による審査が、公開で行われる。いや、面白かったのなんの。

ノミネート曲の作曲家はごく若い方々でしたから、名のある方々の踏み込んだ批評を、縮み上がるような思いで聴いていらしたことでしょう。しかしそのストレスには、数倍の見返りがあると思います。議論自体がとても勉強になるし、私を始めとする聴衆が、作品に親しみ、心に焼き付けますから。

審査は激戦で、ファーストチョイスが3すくみになった時には、客席から拍手が。賞史で初めてのことだそうです。私が気に入ったのは、辻田絢菜さんの《ヴォルパーディンガー》という作品。池辺さんと同じ感想をもちました(受賞は坂東祐大さん)。とにかくすごく面白いので、皆様、ぜひ足を運ぶことをお勧めします。

山越え2015年03月09日 06時35分30秒

この週末、トークの仕事が続きました。

6日(金)は、ご案内した楽しいクラシックの会主催のコンサート。西山まりえ、櫻田亮という魅力的なお二人のステージを、皆さん満喫されたこととと思います。櫻田さんは美声冴え渡る絶好調で、西山さんの優雅にして行き届いた伴奏との相性も抜群。アルビノーニのカンタータがすばらしい締めくくりになりました。これからの共演にご注目ください。このコンビは昨年末須坂で誕生したもので、発信地としての須坂の役割が、ますます大きくなっています。

第一関門を通過しても喜んでいられなかったのは、第二関門が容易でなかったからです。7日(土)は、NHKで番組を収録しました。その番組は「古楽の楽しみ」ではなく、「おぎやはぎのクラシック放談『マタイ受難曲』」というもの(!)。《マタイ受難曲》を一人でも多くの人に聴いてもらいたい、という加納宏茂プロデューサーの情熱から生まれた番組です。

おぎやはぎのお二人、同僚の光浦靖子さんが放談担当で、司会が田中奈緒子さん、ゲストが亀川徹さん(芸大教授)。私の役割は、マタイ受難曲など聴いたこともない、という方々に曲の良さをわかっていただき、好きにさえなっていただく、という案内係です。もちろん、平素クラシック番組をお聴きにならない方に聴いていただきたい、という願いが込められています。

これは正直、自信が持てませんでした。構成を考えてもわれながら半信半疑で、プレッシャーというよりストレスを感じる数日。いざ始まると、いただいた台本ありやなしやというスケールで、アドリブが展開されます。私はすっかり泡を食ってしまい、うろうろ、まごまご状態で途中まで終了しました。

でもだんだん、噛み合ってきたのですね。落ち着いて観察すると、お三方の放談は、好きなことを言っているようでいて、番組の方向性をちゃんと抑えている。その的確さは、プロとしか言いようのない、見事なものです。おかげで、《マタイ受難曲》に共感しつつ耳を傾けるという目標に到達できたと思います。

20日(金)の16:05から放送ですが、ぜひお聴きくださいと言うのは気恥ずかしいです(笑)。とはいえいい経験をさせていただき、達成感を味わうことができました。

8日(日)は、「たのくら」の例会と、「錦まつりコンサート」を立川で。小笠原美敬さん(バス)、久元祐子さん(ピアノ)のご出演で世界の歌とピアノ曲を楽しみ、ハードな3日間を完走しました。山越えという印象のある、エネルギーを要する週末でした。多くの方にお世話になり、ありがとうございました。

リフシッツ、巨匠の指揮2015年02月13日 07時37分09秒

11日(水)、日帰りで大阪へ。いずみホール・モーツァルト・シリーズ今年の最終回、リフシッツのコンチェルト弾き振り(第15番変ロ長調、第23番イ長調およびハフナー交響曲)を聴くためでした。シリーズ期待のコンサートのひとつです。

ピアノが中心、というイメージを抱いて出かけましたが、結果は違いました。リフシッツが指揮に本格的に取り組んでいたため日本センチュリー交響楽団の演奏がひじょうに立派で、2つのコンチェルトは、ピアノ付き交響曲(!)を聴くよう。ハフナー交響曲も、斬新かつスリル満点の演奏になりました。

聞くところによると、リフシッツはリハーサルにあたって自分がどんな音楽をやりたいかをはっきり述べ、その実現を目指して、細かい練習を行ったそうです。それにオーケストラが共感して、こうした演奏ができあがったとか。う~ん、納得です。

ただその反動も少し。ピアノ・パートの存在感が総じて薄らいだことと、男性的なアプローチの反面、技巧的なパッセージが技巧的に聞こえてしまうことはどうなのかと感じました。しかし第23番の第2楽章、第3楽章に至って、本格的なコラボが実現。アンコールで弾かれた長大なハ短調ファンタジー(名曲なのに今年のプログラムに含められなかったもの)では、独奏への豊かな集中が見られました。

指揮者的な傾向のピアノだとは思っていましたが、指揮者として活躍したら面白そう。頼んでみたいです。