ロ短調学会(6)2008年01月08日 14時24分52秒

参加者用バッグ
11月2日。まず受付へ足を運びます。若く、感じのよいスタッフから、冊子やパンフレットがたくさん入った、洒落たバッグをもらいました(写真)。これは、発表をする人だけがもらえるお宝です。時刻となり、富田教授の挨拶を皮切りに、いよいよシンポジウムが始まりました。(まさお君が公式ホームページのリンクを張ってくれましたので、詳細はそちらをご覧ください。)

セッションは、全部で9つ。今回の工夫は、2~3人の発表者のあとに「レスポンス」というコーナーが設けられ、その担当者が発表の意義を自分なりにまとめながら質問を投げかけ、それをきっかけに、ディスカッションに入るようになっていたことでした。

たとえば、歴史的背景を幅広く扱うセッションでは、リーダー格のクリストフ・ヴォルフ氏がレスポンスを担当して、主流の立場からの意味づけと、問題点の洗い出しを行う。これはとても、理解の助けになります。

1日目の白眉は、ワルシャワ大学のシモン・パチコフスキ氏の発表でした。《ロ短調ミサ曲》の成立は、ご承知の通り、バッハがドレスデンの宮廷作曲家の称号を、即位したばかりの新ザクセン選帝侯に請願したこととかかわっています。したがって、《ロ短調ミサ曲》を論じるためには、ドレスデンの研究が欠かせません。

しかるに先代のザクセン選帝侯(フリードリヒ・アウグスト1世)はポーランド王を兼ねており、息子の2世がその王位を継承できるかどうかは大問題で、まもなく、国際的な継承戦争が起ったほどでした。したがって、ドレスデンの研究には、ポーランドの研究が欠かせないのです。その意味で期待されるのはポーランドのバッハ研究であるわけですが、従来は言葉の問題もあり、それがあまり紹介されていませんでした。しかしパチコフスキ氏の参加によって、それが興味深い進展を遂げていることが明らかになりました。(続)

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