旧著の見直し2008年01月30日 23時05分25秒

翻訳のむずかしさについて書いたのは、拙著『マタイ受難曲』(東京書籍)が増刷していただけることになり、全体を見直して、訳にも多少の修正を行ったためです。細かいことがいくらでも書いてある本で、途中で退屈し、居眠りしてしまいました(笑)。大勢の方がよくこれを読んでくださっているものだと、驚くやら、ありがたいやら。一般の方には不必要なことも多いかと思いますが、執筆も学者の職責のうちなので、学術書として認めていただくために、どうしても専門的な情報の記述は必要なのです。好きなだけ書いていい、と言ってくださった東京書籍に感謝します。

年と共に文献は増えますし、CD、DVDも出てきます。今回、ページ構成を動かさない範囲で、なんとか、補遺を滑り込ませました。CDでは一貫してレオンハルト盤を推薦していますが、今回聴き直して、アーノンクールの3度目の録音が、じつにすばらしいという印象をもちました。最高の歌手をずらりと揃えながら、指揮者の統率で、言葉のメッセージに強く集中した演奏になっています。たいへんな貫禄。純粋古楽の様式ではもはやありませんが、古楽とモダンの接点を追究したいと思っている私には、とても勉強になりました。

足らざる情報、欠けている勉強を何とか補いつつ、前進しています。

コメント

_ コモぴ~♪ ― 2008年03月05日 16時35分48秒

2000年に福岡でご著書「マタイ受難曲」にサインをいただきました。
今でも、大変詳しくわかりやすい内容をありがたく拝読させていただいております。やはり宗教的側面やドイツ語であるということなど、いくら音楽がよくても理解しにくい部分が多いこの曲をこんなに解説していただけるのは本当にうれしいことです。

リヒターの映像版がDVD化され、ショルティ盤がタワーレコードで再販されたりと、初版のころとは状況が好転しています。今後も何度も読み返したいと思っています。

そういうことだったのですね。最近本屋では見かけなくなっていました。増刷はぜひ購入したいです。さらにお勧めのアーノンクール3回目もw

_ I教授 ― 2008年03月06日 01時39分54秒

コモぴ~さん、ありがとうございます。励みになります。当然ソフトバンク応援ですよね(笑)。

_ yuiki ― 2008年04月22日 22時00分48秒

はじめまして。
バッハの音楽にのめり込み始め、遂に大作「マタイ受難曲」に手を出したはいいんですが、初めてのくせに何を思ったか輸入盤を購入してしまい(本音:安かったから)、壮大なバッハ音楽は堪能しつつも肝心の内容がほぼ「なんのこっちゃ」なユイキと申します。
解説書に、と探していた教授の本が増刷されるとのことで、とても嬉しく思います。いつ頃書店に並ぶのでしょう。楽しみです。

ちなみに私が購入したのはポール・マクリーシュ指揮のものです。
(理由:よく調べないうえでのジャケ買い)
教授のお書きになった本で勉強して、他の方の名演にも浸ってみたいです。

_ I教授 ― 2008年04月23日 23時09分52秒

yuikiさん、書き込みありがとうございます。マクリーシュ盤は、私の推奨するリフキン方式(合唱がソロ編成)によるものです。今、同方式による公演を企画しています。本は、もう出ていると思いますよ。

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