CD推薦盤2013年05月24日 07時10分05秒

今月はたくさんいいものがありましたが、特選盤に選んだのは、「アルゲリッチ&フレンズ ルガーノ・フェスティヴァル・ライヴ2012」(EMI、5,000円)です。

毎年この時期に発売される3枚組ですが、今年もいいですね。なにしろ最初にモーツァルトの4手ソナタ(K.381)があり、これがピリスとアルゲリッチの連弾で、まことにすばらしいのです。平素あまり関心のない曲でしたが、この曲こんなに良かったのか、と思わせるのが、演奏の真髄です。

以降、なじみのない曲も多いですが、どれも、わくわく感を失わずに聴き通すことができます。アンサンブルからにじみ出る愉悦感に、聴き手が巻き込まれてしまうからです。アルゲリッチがこうした活動へとシフトしたこと、成功でしたね。偉大なる先見の明です。

ピリスの新録音がいくつかあり、シューベルトのソナタ、とくに最後の変ロ長調(グラモフォン)が名演奏です。淡々とした運びから、「祈り」のオーラが立ち昇ってきます。

忘れられないのが、菅きよみ、若松夏美、成田寛、鈴木秀美によるモーツァルト/フルート四重奏曲集(アルテ・デラルコ)。清澄な響きと細やかな連携で、モーツァルトの青春をまっすぐ伝えてくれます。

常連の皆様絶賛の東京クヮルテットの旧録音が、まとめて出ました。久しぶりに初期の顔ぶれによるハイドンの op.76を聴き、すっかり魅了されました。