新・あれ、バッグがないっ!(1)2014年05月27日 13時43分05秒

フランクフルトでノートパソコン入りのバッグとお別れしてから、40日ほど経ちました。ルーターともお別れしましたので、タブレットもお蔵入り。不便が募ってきたので、環境の再構築を思い立ちました。

5月23日(金)を待ったのは、その日がパナソニック・レッツノートの夏モデル発売日だったから。いくつもノート・パソコンを使いましたが、レッツノートの性能が抜群と認識しているので、多少高くとも、購入することに迷いはありませんでした。5年ぶりの買い換えです。前機種の性能がとても良く、ずっと使い続けていたのです。

バッテリーの持ちよりも軽さ優先、オフィス不要、という方針で、CS-FXのエントリー・モデルを購入。解約していたWiMAXに入り直しました。入ると「5万円安くなる」という触れ込みでしたが、毎月の払いは多くなるのですね。それでも2年間で1万円安くなるということなので、5万円引きのコースにしてもらいました。

さっそく、環境を構築。欠かせないのは、ブラウザ=Chrome、メーラー=Thunderbird、クラウド=Dropbox、そして最近使い始めて便利さ痛感のEvernote。ノートパソコン、タブレット、スマホのすべてを4つのアプリで統一し、携帯用のルーターもバッグに忍ばせて、私は意気揚々と、大阪に出発しました。月曜日のコンサートのリハーサルが、日曜日の夜にあるのです。(続く)

成田からご挨拶2014年04月07日 22時25分49秒

成田のホテルに入りました。皆さんは日本で働いておられると思いますが、私は明日、オランダに発ちます。

今回はなぜか、劇的な出来事が起こるような気がしません。順調に、オランダ、ベルギー、ドイツあたりを旅行して参ります。国際用のルーターを借りましたので、順調ぶりをご報告できると思います。

日本でも、ここしばらく、いろいろな出来事がありました。目立つなあと思うのは、「逆ギレ」という現象です。3人ぐらいすぐ思い浮かびますが、共通点は、自分に甘く他人に厳しいという、精神構造。良くないですね。こういう世の中になると、バッハのカンタータのメッセージが光ってきます。そこでは繰り返し、まず自分自身を振り返れ、と教えているからです。

旅行前に仕事を済ませるため、緊張した数日間でした。このパターンだけは、変わりません。では、次はオランダから!

不ヅキの堆積2014年03月20日 16時48分52秒

水曜日の朝9時半。恐ろしい電話がかかって来ました。10時から、朝日カルチャー新宿校の授業がある、というのです。

私のカレンダーでは、その日の授業は午後1時から。午前中のワーグナーは、その日はないと思っていました。変だという気はしましたが、そんな話を担当者としたような記憶もありました。それは、過去にあったことの錯覚でした(汗)。

さあ、弱った。すぐ出ても大幅に遅れてしまうし、第一、準備がしてありません。受話器を握って、茫然自失です。しかし午後もあるのだから、休むわけにはいかない。覚悟を決め、いくつかの映像をかき集めて、家を出ました。

呼んだタクシーが来ない!大通りへの出口を工事中なのです。やっと来て、別の道から大通りに出、少し気持ちが落ち着きました。タクシーの前を走っているのは、トラック。ところがそのトラックから、荷物が落ちてきたのですね。工事現場の通せんぼに使う、円錐形の器具です。

タクシーは急ブレーキをかけて、左の車線に脱出し、事なきを得ました。でも、もし後ろからクルマが来ていたらーーこの文章は書かれていなかったかもしれません。

駅に着くと電車が遅れていて、国分寺で乗り換えるはずの特快が、先に通過。というわけでさんざんでしたが、なんとか40分遅れで教室に駆け込みました。講座の皆さん、ごめんなさい。

これだけ悪いツキが堆積すると、その後が楽しみになります。午前、午後、夜と仕事を終えた帰り道は、どうだったか。

中央線が人身事故で超満員。帰宅まで、2時間半かかってしまいました。この帳尻は、どこで合うのでしょう。理論構築のために、知りたいと思います。🙏

切られお富2014年03月19日 00時45分44秒

17日(月)は、国立劇場に歌舞伎を見に行きました。出し物は、《菅原伝授手習鑑》から車引の場、そして《處女翫浮名横櫛》から、2つの場面です。後の方、お読みになれますか。「むすめごのみ うきなのよこぐし」だそうです。とうてい読めませんが、すばらしい日本語ではあります。

ご紹介した酒井順子さんの本に、日本の文化はわび・さびと言われているけれど、本来は派手好みのものだと三島由紀夫が言っている、と書いてありました。たしかに、どちらの場面も舞台や衣装の色彩にしろ役者の所作にしろ、華麗そのもの。しかし、花、華、艶といったイメージの視覚に対して、三味線と長唄による音楽は、諸行無常の詠嘆を宿しています。そのミスマッチに、日本文化を解く鍵があるのではないか、と考えたりします。

私は西洋のクラシック音楽を追究してきましたが、本質的には日本文化の讃美者です。ですから、こうした公演に接するたびに、日本の伝統的な価値観が失われてはいけない、と思います。圧倒的なグローバリズムの中で、歌舞伎を見る人が減らないでほしいと思うばかりです。

中村時蔵の「切られお富」に感服。春日八郎の《お富さん》を私はカラオケのレパートリーにしているのですが、その歌詞の意味するところを、この日初めて理解しました(汗)。この歌が大ヒットした私の子供の頃には、皆さんわかっておられたのだと思います。

人前で踊る2014年03月10日 11時27分06秒

8日(土)は音楽三昧の一日でした。まず「楽しいクラシックの会」例会で、ワーグナー《神々の黄昏》の第3幕。ブリュンヒルデを歌うアン・エヴァンスの精根尽くした演唱に圧倒され、まず涙。この会でワーグナーをやるのは冒険かなと思い、一人去り、二人去りという情景も思い描いていたのですが、結果は逆で、月ごとに盛り上がってきました。4月からの年度は《トリスタン》《マイスタージンガー》《パルジファル》をやって、プロジェクトを完遂することになりました。

午後は同じ立川の錦学習館で、3月の「錦まつり」に会が提供するコンサート。今年は「メゾソプラノってすばらしい!」と題し、岩森美里さん、久元祐子さんにご出演をいただきました。企画として定着し、多くのお客様が楽しんでくださいます。

信頼する方々のご出演なので左うちわで、という目論見だったのですが、思いも寄らぬ事態に。岩森さんの歌うメドレーにバリ島の《おデブの坊や》という曲があるのですが、なんと、それに合わせて踊ってほしい、と頼まれたのです。私はそういうプレゼンテーションがまったくの苦手。死んでもいやだ、と申し上げたかったのですが、岩森さんに頼まれるとなぜか抗弁することができず、お役に立ちますっ、となってしまうのですね(汗)。

やりましたが、さぞお見苦しかったと思います。でも歌はすばらしかったですね。声がお人柄の深いところから湧き出ていて、あえて言えば、存在の悲しみに触れるようなところがあります。久元さんが学習館のくたびれたピアノを見違えるように鳴らされるのは、プロの至芸。人の出会いからこのようなコンサートを実現できて、感涙です。

終了後ただちに池袋まで移動し、カンタータ/受難曲コンサートのリハーサル。若い方々の出演ですが、実践と研究の共同を実現すべく、みっちり練習しました。今日これから、そのコンサートがあります。踊りはありません。

雄大な人形浄瑠璃2014年02月25日 19時47分10秒

20日(金)。都内で会議を終えてから、国立劇場へ。夕食も珍しくそばを食べて、伝統芸能に備えました。この日は小劇場で、文楽の公演があるのです。有名な『本朝廿四孝』から、十種香の段、奥庭狐火の段が、後半のプログラムになっています。字幕も完備されていて、勉強に役立ちます。

面白いですね。主役が人形であることを最大限生かすために、独特の様式が育成されていると観察しました。まことに華麗、かつ、きわめて劇的。大夫の浄瑠璃が大模様を張る雄弁で、しかも人により、大きく違います。私は松本で育っていますので、諏訪を舞台にした奥庭狐火の段に、とりわけシンパシーを感じました。熱心なファンが、大勢。今度は大阪で応援したいと思います。

「遅れ」じゃないでしょ!2014年02月21日 08時05分28秒

15日(土)は、大雪のため、長野新幹線が全面運休になりました。これは翌日超満員になるなと思い、あらかじめ、指定券をゲット。日曜日の須坂に備えました。雪はもう、降っていません。

16日(日)。朝ネットで運行状況を調べると、「長野新幹線は遅れが出ています」と表示されています。どの情報も同じで、詳細はわかりません。須坂からも「動いているようです」と連絡が来ましたので、どのぐらい遅れているのかな、と思いつつ、武蔵野線で大宮に向かいました。

ところが。東京から乗ってくるはずのまさお君から情報が入り、長野新幹線は死んでいる、というのです。ともあれ、大宮まで行くことにしました。

到着したのは11時近くでしたが、大宮駅のホームでは、8時の長野新幹線が止まったまま。そもそも除雪ができておらず、軽井沢までは行かれないことが判明したのです。当分、状況は変わらないようです。

これでは、講演会は中止にせざるを得ません。集まった方々には申し訳ないことをしましたが、急遽モーツァルトの《レクイエム》のDVD(アバド指揮、「今月のCD」で紹介します)を鑑賞されたそうで、いい時間になったことでしょう。私も家に戻り、久々の休養をとりました。おかげで、月曜日を活用して仕事ができました。

しかし、これだけ情報化が進み、「運行状況」関連のサイトも林立しているというのに、長野新幹線は不通、という情報が回らなかったのはなぜでしょう。不思議でなりません。

がんばった2日間2014年02月06日 23時57分15秒

3日(月)が、在宅日でした。この日は本当にがんばったので、日記代わりに、書いてしまいます。

やったこと。「古楽の楽しみ」2日分の企画確定と、アシスタントへのCD送付。2つの大学の採点(1つは四年生のみ)。朝日新宿校の水曜日2コマ分の準備。某学会から頼まれていた仕事。これだけこなせるのだから、やはり元気だということですよね。いつもこうできるわけではありませんが・・・。今週を乗り切れる光が見えて、充実感をもてました。

4日(火)は、雨が雪に変わる、寒い日。ICUの授業から、1日が始まりました。帰り道に寂しい駅前のお店でうな重の「上」を頼んだのですが、甘いタレで気分が悪くなってしまい、家に帰ってダウン。後で楽しいことのある日って、ダメですね。

なんとか起き、山梨に忘れてきたデジカメが届いていたのでそれをもち、NHKに向かいました。「らららクラシック」の収録です。

「ららら」の瞬間出演は3回目ですが、今度は無伴奏チェロ組曲第1番が対象。最近取り組んでいた作品なので、まずます対処できました。NHKから、渋谷「ラ・ゴローザ」へ。芸大ゼミの打ち上げが、この日だったのです。その模様は、あらためてご紹介いたします。

困った犬2014年01月28日 23時53分33秒

当家の愛犬、陸ちゃん(マルチーズとヨーキーのミックス、オス、5歳)。最近、困ったことを覚えてしまいました。

当家は台所が狭いので食事は部屋に配達されるのですが、いつも陸ちゃんが先導してきます。扉を叩いたりひっかいたりするのが、ご飯ですよ、の合図。開けると勇躍して入ってきますから、ドッグフードでお引き取り願って、食べ始めます。

ところが最近、用事がないのにノックするようになってしまったのですね。バタン、ガリガリとやり始めるといつまでもやっているので、仕方なく入れてやる。喜んで入ってくると膝に乗って舐めたり、部屋を物色したりします。

これがひんぱんなので、仕事に差し支えるようになってきました。しかしドッグフードを与えて追い出すのも、覚えられたら逆効果になってしまいます。何か、いい方法はないものでしょうか。隙間があると上手に開けて入ってきますが、閉めたことは一度もありません。閉めてくれれば、相当違うんですけどね。こういう社会倫理は、犬にはないようです。

なんと残念な2014年01月20日 22時14分13秒

いまネットで、クラウディオ・アバド死去の報に接しました。なんと残念なことでしょう。最近は、彼こそ当代最高の指揮者であり、芸術家であると思っていましたので。

今日は、聖心女子大の今年度最後の授業でした。モーツァルトの生涯を追う授業で、当然、《レクイエム》が中心。そこで、アバド~ルツェルン祝祭のDVDを観たのです。底知れぬ訴えかけをもったすごい演奏で、終わった後の永久に続くかと思われる沈黙が、すべてを物語っていました(聴衆も、たいしたもの)。アバドの身振りからは格別なものを感じないし、練習がいいという話も聞かないのに、どうしてあんなすばらしい演奏ができるんでしょうか。結局人格の力ということなのだろうか、と思っていたところです。

最近発表される録音はどれも神様の音楽でした。もっと聴きたかったです。