ヒューマニズムの傑作2011年10月16日 00時15分16秒

長いこと、「院オペ」(大学院オペラ)に付き合ってきました。チラシの推薦文を書き、当日の解説を書く、というのがノルマですが、近年は中心的な出演者たち、すなわちオペラ専攻の大学院生たちの論文指導をしていましたので、他人ごとではなくなってきていました。今年の学年は打ち上げのたびにカラオケに行くなどして仲良くしていただけに、少なからぬ身内意識をもって、聴きに行った次第です。

まず驚いたのは、二重丸で期待していた伯爵夫人役の尾形志織さんが体調不良で休演、とのニュース。みんなこの舞台に精魂を込めて作ってくるのですから、これは気の毒としか、言いようがありません。でも、こういうときこそ、私のツキの理論です。ツキを温存した人は、これからいいことが、たくさんあるはずです。

《フィガロの結婚》は、内外の実演、CD、DVDで、何度聴いたかわかりません。解説も講演も授業も、繰り返しやった作品です。それだけに、どこかでやっているから聴きに行こう、とはもうあまり思わなくなっているのですが、でもやっぱり、すばらしい作品ですね。ヒューマニズムという言葉は、この作品のためにあるかのよう。多大の時間をかけ、勉強に勉強を重ねて今日を迎えた学生たちの演奏には心に訴えるものがたくさんあり、感動をもって聴きました。2日目は行かれませんので、これが「院オペ」との付き合いの、最後になりました。

立場上、みんな良かったという感想になってしまいますので、自由なご意見は、コメントでお願いいたします。

コメント

_ たのもー ― 2012年01月01日 00時26分51秒

年を越してしまいましたが、遅まきながら感想を少々。

主役ソプラノの方の休演はお気の毒でした。先生がお書きになられたように、ツキの理論を信じましょう!

院オペを、ずいぶん長いこと観てきたと思いますが、数年前から出演者(特に女性)のメークが変ってきたように思うのは、気のせいでしょうか。
(以前は、タカラヅカっぽかったのが、ナチュラル系になった感じ。G大に似てきた?)

歌唱については、専門家が多々控えているので、口をはさむのは慎みますが、演出で気付いたことを1つだけ。
3幕の感動的なスザンナのアリア歌唱の際、舞台中央にいる「スザンナに扮している伯爵夫人」が口パクで歌い、その陰で、「伯爵夫人に扮しているスザンナ」が実際に歌うという趣向。試みとしては、とても面白いと思いましたが、スザンナ役歌手の方には気の毒な感じがしました。せっかくの見せ場が、ふいになっちゃいますよね、、、
聴衆(観衆)としても、3幕の聴き所なのに、視線が中央の伯爵夫人とに分散して、歌に集中できない。
オペラ演出の難しさですね。果たして、この試みが定着するのかどうか。(歌手の方のご意見も伺いたいですね)

もう1つ、花娘役の種谷さんの、カーテンコールでのはつらつした笑顔に、オペラとは別の感動を覚えました。(^ω^)来年の《ドン・ジョヴァンニ》が楽しみです。

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