圧巻のモンテヴェルディ2012年07月17日 23時56分28秒

梅雨明け猛暑の17日(火)。聖心女子大の前期最後の授業を済ませた私は、タクシーを拾って、サントリーホールへ。今日は渡邊順生さんのサントリー音楽賞受賞記念コンサート(モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》)があるのです。私は公演自体には関与していませんが、解説と字幕の担当。リハーサルで、字幕をチェックしておかなくてはなりません。

なにぶん失敗の許されないコンサートなので、期待と心配が半ばしていました。なあんだ、となったら最悪です。リハーサルを聴くうちに心配は募り、これで本当に大丈夫だろうか、といぶかしみつつ、本番を迎えました。広い会場に、思いがけず多くのお客様が詰めかけておられます。

しかし本番は、全然違ったのです。声楽、器楽ともに細部までみごとな様式感で仕上げられ、まとまりも気迫も十分。安堵の思いはたちまち、この大傑作への感嘆へと転化しました。詩篇もいいが、はさまれるモテットがすばらしいですね。〈私は黒いNigra sum〉以降は、涙を抑えかねる状況。櫻田亮、谷口洋介のテノール2枚が強力で、両者でかわされるエコーが、随所で作品を引き立てます。ソプラノのセリーヌ・シェーンさんも、パルランドに個性を感じさせる歌でした。でも誰がどうということではありません。みなが一体となって、作品に向かっているのです。

休憩時間に、また終了後にいろいろな方とお話しし、展開される至純の美に心洗われたのは私だけではないとわかりました。渡邊さんの受賞に華を添えたのみならず、サントリーにとっても私にとっても嬉しい、熱い盛り上がりのあるコンサートでした。またモンテヴェルディ病が再発しそうです。