7月のイベント2012年07月05日 00時31分51秒

in Japanです(笑)。

7日(土)10:00は、朝日カルチャー新宿校のバッハ/世俗カンタータ講座。知名度の少ない曲をやっていますが受講生に恵まれ、活気を呈してきました。今月はBWV202、204、209。ソプラノのソロ・カンタータの特集です。

11日(水)は、客員教授の肩書をいただいている大阪音大で講義です。「研究と実践の協同--私の体験」というタイトルで、音楽学と演奏の接点を考えます。18日(水)はピティナで、バッハのピアノ曲の演奏法について講義・・・するはずなのですが、ホームページに掲載されていませんね。どうなっているんだろう。

20日(金)19:00は、宮崎市民プラザのオルブライト・ホールで、シムウェル(大薗)英華さんのピアノ・リサイタルのレクチャーをします。曲目は月光ソナタと、バッハ/ブラームスの《シャコンヌ》、《展覧会の絵》(彼女が修士論文で研究した作品)。かつて仲間たちとともにリサイタルを支援したことのある、賛嘆の的だった方のコンサートです。いらっしゃれる方は、応援してください。

28日(土)13:00は、朝日カルチャー横浜校のエヴァンゲリスト講座。今月のテーマは鍵盤用のパルティータです。最近日程が不規則な「たのくら」(楽しいクラシックの会、立川)は29日(日)の10:00から。「若きワーグナー」と題して、初期の作品を採り上げます。どうぞよろしく。

感動的な《マタイ受難曲》2012年07月05日 23時49分02秒

1日の日曜日、三澤洋史指揮、東京バロック・スコラーズ(TBS)による「21世紀のバッハ」シリーズの一環として演奏された《マタイ受難曲》を、すみだトリフォニーで聴きました。作品のすばらしさがひたひたと迫ってくる趣の演奏で、ここしばらく聴いた《マタイ》では最高のものであったというのが、私の実感です。

というのも、合唱のテキスト理解が断然深く、それが豊かな共感として、合唱曲を、コラールを包んでいたから。TBSはアマチュア合唱団としては高いレベルの力量をもっていますが、それと同時に、作品に対する研究の姿勢が行き届いているのです。私の講演会シリーズを熱心に受講したと言うとなあんだと言われてしまいそうですが、そこで培った本質への理解は、力量の高さと結びついたとき、演奏の質を高めずにはおきません。何しろ、佐藤研さんのような第一線の聖書学者の講演も設定され、受難とは、イエスとはという事柄に、鮮明なイメージを形成して演奏に臨んだのです。果たせるかな演奏に反映された成果のみごとさに、佐藤さんと、思わず顔を見合わせてしまいました。

このように内側からの高まりを演奏に結びつけるのが、三澤さんのやり方です。TBSの一部をなすオーケストラがこうした合唱とまったく違和感なくまとまっていたのも、なかなかないこと。三澤さんは「ロマンティックな解釈だとお叱りを受けるのではないかと思っていた」とおっしゃいましたが、これだけバッハの作品世界が掘り下げられ、最後の合唱が感動を込めて歌われれば、まったく文句はありません。本来声楽家である三澤さんがチェンバロを弾いて指揮され、全体の大きな流れを仕切られたことにも驚きました。

畑儀文さんの福音書記者の貫禄もたいしたものでしたが、《マタイ》は初体験とおっしゃった國光ともこさん(ソプラノ)の新鮮な感動にあふれた歌唱には心を射抜かれました。終了後、打ち上げ。その場で心からの賛辞を述べられるほど、嬉しいことはありません。リップサービスはしない、私ですので。