カウントダウン14--天使のピアノ ― 2009年05月31日 23時28分13秒
国立音大の最優秀卒業生のひとりで仲間のような形で交流させていただいている三好優美子さんが、CDを出されました。「天使のピアノ」というタイトルで、天使の装飾のある、古めかしいアップライト・ピアノが写真になっています。これ、滝之川学園という、日本最古の障害者施設に保存されている明治時代の、日本最古級のピアノなのだそうですね。修復して礼拝に使われているそうですが、同じ国立市に住んでいながら、あまり関心をもたずに来ました。
このピアノを使って、おなじみの小曲がたくさん収録されているというと、このピアノに思い入れのある人のための記録であるように、一見思えます。でもこの楽器、いい音がするのですね。物理的に考えると不思議なことですが、そのやわらかく心に染みいるような響きを聴いていると、どこか、この世のものとは思えない気持ちになります。
讃美歌から初めて、さまざまな小品の連なりを聴いていくうちに、このピアノを中心とした学園の愛の歴史が響いてくるような気がして、ある種の感動を覚えました。《乙女の祈り》なんて自分からは絶対に聴かない曲ですが、こういう曲が愛されてきたことが、自然に納得できるのです。見事な選曲であることが、聴いてみてわかりました。
三好さんは音楽的洞察力にすぐれた、基礎のしっかりした演奏家です。私は、いつも信頼しています。なお、カメラータから同じタイトルで、青柳いづみこさんが録音されたCDもリリースされています。言うまでもなく、こちらもすばらしい演奏の1枚です。
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