絶品!ギエルミ氏2009年08月28日 23時51分05秒

いずみホールのバッハ・オルガン作品連続演奏会。第6回の出演者は、初のイタリア人、ロレンツォ・ギエルミ氏でした。トリオ・ソナタのCDが好きで世界最高峰、という印象を抱いていた私は、楽しみであった反面、不安でもありました。イタリア語でインタビューはできませんし、どの程度コミュニケーションを取れるか、心配していたのです。

お会いしたとたんに、心配解消。日本人ほどの背丈で、いかにも頭のよさそうなギエルミ氏は、オルガン技術者とはフランス語で、ホールのスタッフとは英語で、私とはドイツ語で流暢にお話になります。何の不安もない、バイリンガル。リハーサルは要領よく進められましたが、じつに明晰なスタイルで貫かれ、オルガンが、これまで聴いたこともないほど、すっきり響きます。線が生き生きと絡み合い、音色選びのセンスも最高。そのことを申し上げると、自分はオルガーノ・プレーノでわーっと響かせるのが好きではなく、つねに繊細な音作りを心掛けている、とのこと。さすがのコメントです。

休憩後のインタビューでステージにお呼びすると、意外や、小走りに出てこられました。愛嬌のあるお話をしばらくされた後、手を振りながら、小走りに退場。知性派なのに、軽いノリなんですよね(笑)。洗練された演奏は後半ますます透明度を高め、アンコールのスカルラッティのソナタは最高でした。

毎回こうした演奏が続きますので、このシリーズ、本当に多くのお客様に来ていただいています。ホ短調のプレリュードとフーガに《18のコラール》の抜粋をはさむ、という今回のプログラムはきわめて渋いものだと思いますが、客席が大きく盛り上がったのはたいへん嬉しいことでした。前売りの予約も最高を記録しました。ありがとうございます。