8月上旬のイベント2010年07月30日 11時52分48秒

今夜、大学で、渡邊順生さんが講演。チェンバロ、リュート・チェンバロ、クラヴィコードなど楽器4台を持ち込み、演奏とお話を存分に楽しませていただきました。阿部雅子さんのソプラノ付き。渡邊さんに対する賛辞はもうずいぶん書いているのでいまさらですが、演奏に「思索」の深さがあり、それが古楽器の静謐な響きの中で探求されている様子はすばらしく、感動をもって聴きました。

私はこの会が大学の授業だとばかり思っていたのですが、なんと、音楽研究所の企画であると判明。それなら皆様にご案内すべきでした。申し訳ありません。というわけで聴衆は少なかったのですが、数がオールマイティなのは、政治の世界。音楽の世界には、少数の人で占有するという喜びも存在します。だからこその、クラヴィコードです。

それはそれとして、8月上旬のイベントをご紹介します。1日(日)はすざかバッハの会(14:00、須坂駅前のシルキーホール)。私の音楽講座第4回で、「優れた詩に曲がつくと~ドイツ・リートの魅力」というテーマです。「歌曲作品研究」の授業で長年培ってきた歌曲論をお話しします。歌曲のお好きな方、お待ちしています。

7日(土)は楽しいクラシックの会(10:00、立川市錦町地域学習館)。「宴の前はオルガンで」と題し、最近増えてきたオルガン音楽の映像を鑑賞しますが(終了後恒例のビヤパーティがありますので)、それに先だって、「ミニミニコンサート」を開催します。ここ2年間はドクターコースの学生さんをご紹介していますが、今年もその流れで、川辺茜さん(ソプラノ)、高橋幸恵さん(メゾソプラノ)にご出演いただきます。歌曲のコーナーではシューマンの二重唱と、それぞれ専攻されているシューベルト、シェーンベルク。そのあとはオペラのコーナーで、パーセルの《ディドとエネアス》から2つの場面を取り上げた後、ワーグナーの《エルザの夢》で締めくくります。ピアノは三好優美子さん。飛び入り歓迎です。

くにたちiBACHコレギウム発表会2010年07月18日 23時57分06秒

20日(火)の18:00から、国立音楽大学SPC(正門から入って突き当たりを左折したところにある建物)で行われる発表会の詳細をご案内します。指揮は大塚直哉さん、すべてピリオド楽器による器楽演奏付きで、大西律子(ヴァイオリン)、尾崎温子(オーボエ)、西澤央子(通奏低音)さんらが出演されます。結構豪華な名曲集なので、よろしければお出かけください。どなたでもお聴きいただけます。

1.カンタータ第39番《飢えた者にパンを分けてあげなさい》のアルト・アリア(第3曲) 高橋幸恵(博、Ms)/2.カンタータ第147番《心と口と行いと生活が》のソプラノ・アリア(第5曲) 川辺茜(博、S)/3.カンタータ第82番《私は満ち足りている》のバス・レチタティーヴォとアリア(第2・3曲) 千葉祐也(修、B)/5.カンタータ第105番《主よ、裁かないでください》のソプラノ・アリア(第3曲) 高橋織子(博、S)/6.《クリスマス・オラトリオ》のテノール・アリア(第41曲) 小堀勇介(修、T)/7.《マタイ受難曲》のアルト・レチタティーヴォとアリア(第5・6曲) 鈴木夏季(修、Ms)/8.同 ソプラノ・レチタティーヴォとアリア(第12・13曲) 原田智代(修、S)/9.同 ソプラノ・アリア(第49曲) 山崎法子(博、S)

10.カンタータ第78番《主よ、あなたは私の魂を》のバス・アリア(第6曲) 小林啓倫(修、B)/11.同 二重唱(第2曲) 古澤綾乃(S)、湯川亜也子(Ms)/12.カンタータ第179番《心せよ、神を畏れることが偽善とならぬように》のソプラノ・アリア(第5曲) 坂本久実(修、S)/13.カンタータ第110番《私たちの口は笑いで満ち》のテノール・アリア(第2曲) 宮西一弘(修、T)/14.カンタータ第198番《侯妃よ、どうか光をもう一筋》のソプラノ・レチタティーヴォとアリア(第3曲) 阿部雅子(博、S)/15.モテット《主に向かって新しい歌をうたえ》第1曲 全員

7月のイベント2010年07月08日 22時28分06秒

遅いご案内になりました。今月はいろいろあります。それぞれの詳細は各ホームページでご確認ください。

10日(土) 日本音楽学会の特別例会。14:00から明治学院大学で、皆川達夫先生が箏曲《六段》の成立に関する新しい発見について報告されます。勉強を続けておられるばかりか、発表もしてくださるお姿に頭が下がります。

13日(火) 18:00から国立音大で、富田庸さんが《ゴルトベルク変奏曲》の成立に関する講演をされます。音楽研究所ピアノ部門のイベントです。

14日(水) ご好評をいただいている、いずみホールのバッハ・オルガン作品連続演奏会。今回はスウェーデンのオルガニスト、ハンス・ファギウスの出演で、2曲のトリオ・ソナタを含む、精緻なプログラムが組まれています。私も、たいへん楽しみにしています。19:00からです。関西の方、ぜひお出かけください。

16日(金)は梅津時比古さんの「日本記者クラブ賞」受賞を祝う会があります。私は発起人をさせていただいており、祝辞も差し上げることになっています。おめでとうございます。

18日(日)は立川の「楽しいクラシックの会」(10:00から)。今月はテレマンの特集でいくことにしました。最近急激に増えている手持ちCDを活用します。

20日(火)は18:00から国立音大のSPCで、「くにたちiBACHコレギウム」のメンバーによる中間発表のコンサートがあります。事実上、メンバーによるアリア大会で、いま準備が盛り上がっています。ぜひお聞きいただければと思います。

24日(土)は朝日カルチャー横浜校の講座(13:00から)。今月は《ゴルトベルク変奏曲》です。放送でもやった聴き比べの、映像を含む拡大版を披露します。

以上、よろしくお願いします。

6月のイベント2010年06月11日 23時57分10秒

もう6月中旬。更新もいろいろ中途半端になっていますが、イベントのお知らせをまだしていません。今更ですが、簡単に。

今週の週末、土曜日は、藝術学関連学会連合のシンポジウムに出席します。詳細はこちらをどうぞ。http://wwwsoc.nii.ac.jp/geiren/

日曜日(13日)は、すざかバッハの会の例会です。今月は、クラシック音楽講座の第3回。「響いてくる風土-標題音楽に親しむ-」というテーマで行います。同じ企画の改訂版を、20日(日)の「楽しいクラシックの会」でもご紹介します。26日(土)の朝日カルチャー横浜校は、「成熟する世俗音楽」と題して、バッハのライプツィヒ時代におけるコンチェルト、ソナタ、カンタータをご紹介します。

たのもーさんのコメントについて、私感を少々。指揮者がいたらなあ、というご感想はよくわかることで、われわれの演奏の至らなさの的確なご指摘なのですが、指揮者のいないコンサートの経験も、もっともっと必要だと思っています。指揮者がいると「みんなが指揮者に合わせて演奏する」という形になりやすく、横の連携が希薄になることがしばしばあるからです。声楽の指導をすることが多い昨今ですが、オーケストラを聴く、ピアノを聴く、という価値観を重んじています。歌のパートのみを一生懸命歌い、あとはピアノがついてきてくれ、というスタンスの人、どうしても多いのです。

たのもーさん、安田祥子さんの声を絶賛しておられますが、私もまったく同感。のびのびとまっすぐに飛んでくる若々しい声で、最初のリハーサルのとき、鳥肌が立ちました。高橋織子さんの気品ある円熟した声とは、また別のよさです。昔はテノールやバリトンの声ばかり好きでしたが、最近は女性の美声にも、本当に惹かれるようになりました。

子供のケンカに親が出る2010年06月03日 23時50分46秒

《ヨハネ》の話が途中ですが、緊急のご案内をさせてください。

来週の火曜日(8日)の19:00から、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)で、「モーツァルト×オペラ=様々な愛のかたち」と題するコンサートを行います。音楽大学から企画を募って催される「レインボウ21」と題するシリーズの一環で、いまや国立音大の伝統ともなった、木管アンサンブル伴奏によるモーツァルトのオペラの公演です。

若手の公演に私が出て行くのは子供のケンカに親が出るようで気が引けるのですが、頼まれましたのでトークで乗ることにし、練習も、ある程度仕切っています。それなりに出来上がってきたのと、キャストの全員が私の指導下の学生・卒業生ですので、ぜひ親しい方々にはご支援をお願いしたく、ご案内させていただきます。おっしゃっていただければ、2000円からさらに割引します。

後半の《魔笛》は、ドクターコースの院生中心のキャスティング。パミーナが高橋織子さんで、パパゲーナは阿部雅子さん、3人の童子が、山崎法子+川辺茜+高橋幸恵さん。男声は、葛西健治君がモノスタートス。他に、卒業生の大川博君(パパゲーノ)と髙栁圭君(タミーノ)が出演します。

前半の《コジ・ファン・トゥッテ》は、修士2年で、今年秋の公演を準備している人たちです。こちらのレベルも相当で、安田祥子さん(フィオルディリージ)と小堀勇介君(フェルランド)の二重唱にご期待ください。他に、鈴木望(ドラベッラ)、照屋博史(グリエルモ)、千葉祐也(ドン・アルフォンソ)の諸君が出演します。みんな、がんばっています。

30分の快感2010年05月27日 23時48分49秒

今日、2年ぶりに胃カメラ。鼻からというのが増えているようですが、聖路加はまだ、口からでした。痛み止めの点滴を入れてもらいながらだと、楽ですし、終わった後の休養の気持ちがいい。聖路加でもっとも快適なシチュエーションが、この「胃カメラを抜いた後」の30分です。

点滴なしの胃カメラを少なくとも50回は経験した私としては、なるべくたくさんの方の胃にカメラを直接突っ込んでいただきたいと思っているのですが、最近は快適な方法が普及しているようで、残念です。「ウトウトしていたら終わったよ」などと言われると、本当は違うんだけどなあ、と、切歯扼腕です。

NHKに回り、6月最後の週の「バロックの森」後半3日分を収録。24日(木)はヨハネ祭の音楽の特集で、バッハのカンタータ第30番その他を取り上げました。これからしばらく、カンタータは、ガーディナーの新シリーズを使おうと思います。表現意欲が鮮明なのが、何より。

25日(金)は、前話で言及したパーセルの《ディドとエネアス》。3幕の初めだけ、省略しました。26日(土)はゲオルク・ベーム(リューネブルク)の、オルガン曲、チェンバロ曲、声楽曲の特集です。ベームの音楽って、親密で優雅さもあり、魅力的ですね。日本人の心に伝わるタイプのバロック音楽ではないかと感じます。

収録後職場に戻り、6月8日にサントリーホールで予定されているコンサートの練習に立ち会いました。またご紹介しますが、今指導しているドクターの学生が全員出演します。今日も多忙でしたが、体調は再び上昇機運になってきました。

5月のイベント2010年05月05日 22時54分06秒

連休が終わりますね。今月のスケジュールをお知らせします。

8日(土) 14:00から東京音大で、日本音楽学会の関東支部例会があります。お膝元からは小泉香さんが、湯浅譲二について発表します。同日の夜は18:30から東大和市民会館で、「オペラの楽しみ」という講演をします。詳細はこちらhttp://music.geocities.jp/higashiyamatochor/をどうぞ。

9日(日)は午後2時から国立の一橋大学佐野書院で、《ヨハネ受難曲》公演(渡邊順生+ジョン・エルウィス)のためのプレトークをします。実演付き。加えるに渡邊さんがご自慢のリュート・チェンバロを持ち込まれるという豪華版ですが、定員40名では、もう満員ですね、きっと。如水コンサート企画の主催です。

14日(金)から16日(日)までは、日本音楽学会の国際若手フォーラムが、慶応大学日吉キャンパスで開かれます。テーマは”Beyond Boundaries: A Perspective for the Future of Musicology ”で、こちらに案内がありますhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/msj4/ifym/index.html。どなたでも参加できますので、興味のおありの方はぜひご参加ください。

22日(土)13:00~は、朝日カルチャー横浜校のバッハ講座で、今月は「無伴奏チェロ組曲~変遷するイメージ」というテーマで行います。

29日(土)は上記《ヨハネ受難曲》の本番が横浜でありますが、その日のトークは朝岡聡さん。私は30日、日曜日の国立公演(一橋大学兼松講堂)の方に、プレトークで出演します(14:15より)。じつはこれがダブルブッキングでした。キャンセルの発生した方面の方々、まことに申し訳ございません。

続・4月のイベント2010年04月12日 22時47分33秒

須坂の講座は、音楽の基礎を学ぼうという趣旨ですから、素材を幅広く使います。ギュンター・ヴァントの《未完成》を出せたのも、そのため(なんというすばらしさ!)。終了後次々と質問の手が上がったのも、嬉しいことでした。

いつも思いますが、素朴な質問がいちばんいい質問です。こんなこと訊いたら恥ずかしい、と思うような質問が、じつは根本的な問題をはらむ、答えのむずかしい質問なのです。その意味で、素朴な質問が続出した昨日の講座は、話し手として、満足のいくものでした。

今月のお知らせ、続き。17日(土)にはいずみホールで、20周年記念シリーズのひとつ、ロッシーニ《ランスへの旅》の再演があります。詳細は、いずみホールのHP(http://www.izumihall.co.jp/)でどうぞ。24日(土)には、朝日カルチャー横浜校の新シリーズが始まります。「バロック音楽の名曲を聴く(補遺)~バッハ特集」が今回のテーマで、4月はその第1回「平均律クラヴィーア曲集~鍵盤による多彩な世界」をお送りします。13:00からです。

その夜は、東京バロック・スコラーズの主催による講演会。「ワイマールのバッハ」と題して、ワイマール時代のカンタータについてお話しします。国立オリンピック記念青少年センターで、18:30からです。詳細は会のHP(http://misawa-de-bach.com/)でどうぞ。翌日は「たのくら」、10:00からです。今月は、土日に全部仕事が入っている。休めません。

4月のイベント2010年04月10日 23時12分15秒

今、大阪からの帰りです。いずみホールで、創立20周年記念のガラ・コンサートがあり、終了後ホテル・ニューオータニで、祝賀パーティがありました。私は住友生命社長の次にスピーチしたのですが、ずらりと会場を埋めた金融界、実業界の方々に圧倒され、しどろもどろに。言葉に詰まる、要点は飛ばすで、60点のスピーチになってしまいました。日本語なら大丈夫と思っていましたが、甘かったですね。やっぱりきちんと準備しておくべきでした。

ご案内をしていなかったと思いますが、明日は須坂の音楽講座2回目です。「クラシック音楽理解の切り札、ソナタ形式」と題して、交響曲やソナタの主要楽章で圧倒的にシェアの高い、ソナタ形式の原理と聴き方をコーチします。14:00から。東京方面で興味のおありの方は、25日(日)の「楽しいクラシックの会」(立川市錦学習館、10:00~)でその改訂版をお話しする予定です。お尋ねはGustavさん<gustav@mtj.biglobe.ne.jp>までどうぞ。

他にもありますが追って。

見本到着2010年04月08日 20時14分58秒



こういう本になりました。写真やオビに関する情報を得ていませんでしたので、表紙がトーマス教会であることを初めて知りました。オビの言葉は、選び抜かれていますね。ありがとうございます。定価は、1,100円+税でした。ということは1,155円ということでしょうか。「直に買えば1,000円」でいけそうです。

まだよく読んでいませんが、鈴木秀美さんの名前が索引から落ちています。ごめんなさい。無伴奏のCDとのかかわりで、お名前を出しています。

「あとがき」の1節を、ご紹介代わりに引用します。「古い革袋はなるべく残し、酒はできるだけ新しいものにする、という作業が、原著の生命力を損わなかったかどうか。その判断は、読者にお委ねするほかはない。改訂は、章によっては、ほとんど書き直しに近いものとなった。その意味で文庫版は、私の現在のバッハ観をはっきり示すものとなったと言えるのだが、それが初版時のバッハ観と重なり合う面が想像以上に多いことも、また事実である・・・」

12日発売ですので、来週、店頭に並ぶと思います。どうぞよろしくお願いします。