今月の特選盤2013年01月24日 09時01分20秒

フォルテピアノが、面白くなってきましたね。楽器の修復・復元能力も進化しているのでしょうが、新世代奏者の活躍が目立ってきました。

中でもすごいなあと思うのは、南アフリカ生まれだという、クリスティアン・ベザイテンホウト。彼がフォン・デア・ゴルツ率いるフライブルク・バロック・オーケストラと組んだメンデルスゾーン少年期のピアノ協奏曲イ短調/ヴァイオリンとピアノのための協奏曲ニ短調のCD(ハルモニアムンディ)を、今月のベスト・ワンに選びました。

本来ロマンティックな持ち味のピアノに比べて、フォルテピアノはクラシック、と分類したくなります。しかしこのCDでベザイテンホウトの弾くグラーフ・モデルのフォルテピアノは感性に密着してみずみずしく、ロマン性にあふれているのです。天才少年メンデルスゾーンが才気満開で繰り広げる音たちが、変幻自在のきらめきを放っています。ここまで、できるものなのですね。

今月はいいものが結構ありました。トーマス・ヘルが詩情豊かに弾くリゲティの「ピアノのためのエチュード」(ハルモニアムンディ)、新録音と旧録音の組み合わせですが堂々たる貫禄で楽しませる、福田進一さんのピアソラ作品集(デノン)、好調を持続するロータス・カルテットのシューベルト/弦楽五重奏曲(ライヴノーツ)などなど。