ヨーロッパ通信2014(11)/図書館にて ― 2014年04月22日 23時28分43秒
図書館ではまず入館証を作ってもらい、資料を依頼。入館証の写真をお見せしようかと思いましたが、サインの公開は問題もありそうなので、やめておきます。使用料は、2日使える1日パスで、6ユーロです。
ドイツの図書館というと敷居が高いと思われるでしょうが(私にもそういう気持ちはありましたが)、じっさいには利用者本位に、親切に対応してもらえます。私の対象はDVDに所蔵されている文献なので、ネット検索のような手続きで閲覧することができました。読んだのは、バッハ時代のトーマス学校長で高名な神学者だったエルネスティに関する博士論文です。
一通り目を通し、私の期待したような内容はないことを確認しましたが、どんなことをこれから調べてゆくべきかのヒントは得ました。研究にはやはり、継続が大切です。
2日間かけるつもりが1日で済んでしまいました。夜はもうひとつ都市を稼ごうと思い、近距離列車で行けるダルムシュタットを訪れました。貧乏性のなせる業です。
ダルムシュタットは戦争で破壊され、旧市街をもたない都市。訪れたのは、現代音楽つながりというより、バッハの同時代人、グラウプナーの本拠地の空気を吸いたかったからでした。想像通り、見るところはあまりなく、関心は、レストランの物色に向かいます。ちょっと洒落たイタリアンがあったので、入ってみました。
ドイツにはたくさんのイタリア料理店がありますが、その経営には、辛いものがあると思えてなりません。経営者がイタリア人でも、ドイツ人の味覚に合わせた料理を出さなくてはならないからです。結果として私は、ドイツで食べたイタリア料理を、おいしいと思ったことがありません。入ったお店はいかにもイタリア風の雰囲気作りだったので、同情心をもちつつ、注文しました。嬉しかったのは、大好きなモンテプルチアーノの赤ワインが置かれていたことです。
注文を取りに来たのは、ドイツ語もおぼつかない、イタリア人のママさん。良さそうな人です。そこで生ハムとメロン、カラマリという定番の注文をしたところ、どちらもない、とのこと。そこでミネストローネを注文しました。すると、サラダはどうか、スパゲッティはどうか、と尋ねてきます。どうやら、このお客は払う、と思ったようなのですね。
なかなかおいしかったので、思いつくイタリア語で賛辞を連ね、支払いへ。当然チップを払うつもりでしたし、事実払ったのですが、10ユーロ札であるべきおつりに5ユーロ札を出してきたのにはびっくりしました。もちろん指摘し、あ、うっかりしました、ということにはなりましたが・・。
かつて学習したイタリア語会話の最初の方に、おつりを誤魔化すという章があったことを思い出しました。いいお店では、あったのですけれど。
ヨーロッパ通信2014(10)/ワロン地方を満喫 ― 2014年04月21日 23時52分24秒
ヨーロッパ通信2014(9)/フランデレンからワロンへ ― 2014年04月18日 14時45分32秒
ヨーロッパ通信2014(8)/ベルギーを歩く ― 2014年04月17日 14時49分05秒
私は光栄「大航海時代」の、熱烈なプレーヤーでした。船を買って各国の港を周り、貿易をしたり、酒場に行ったりするのが大好き。世界の港の名前もずいぶんそれで覚え、地図の感覚も身につけることができました。
ですから、電脳空間でしばしば立ち寄ったアントヴェルペンの土を踏めたのは、嬉しさひとしお。内陸ですが、大きな川を、船が上ってくるのですね。美術館に行くと船の絵が多くあり、当時の帆船の精緻さに驚かされます。街は整然としていて、教会、とくに大聖堂に、抜きん出た印象がありました。外観は壮麗、中に入ればルーベンスの祭壇画というのですから、ドイツの教会はとてもかないません。ちなみに撮った写真は、デジカメの中に入っております。
ひと通り散策を終えて、ヘントへ。予約したホテルの情報がメールの中にあり、地図で場所を確認できません。仕方がないので駅からタクシーに乗り、旧市街にあるホテルに到着しました。
歩いてみてびっくり。市の中心部は、天を突くような聖堂、鐘楼、市庁舎が密集して偉容を競い、異次元の空間を作り出しているのです。ぜひ、写真を御覧ください。
あれ、デジカメをなくしたんじゃなかったのか、ですって?確かになくしました。やむなく、スマホで撮ることにしたのです。今まで、スマホでは写真の撮り方がよくわからず、何より、ファイルをアウトプットする方法がわかりませんでした。でもやってみるとできるし、デジカメなしで済むという利点がある。解像度も、ネット用には十分です。なくして、かえって良かったのかもしれません--あれ、これって、ツキの理論そのものじゃありませんか。
ヨーロッパ通信2014(7)/一人旅始まる ― 2014年04月16日 15時35分54秒
ヨーロッパ通信2014(6)/暗転・・・その後 ― 2014年04月15日 13時18分45秒
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ヨーロッパ通信2014(4)/金持ちケンカせず? ― 2014年04月13日 15時35分50秒
ヨーロッパ通信2014(3)/アルクマールの幸せ ― 2014年04月12日 14時39分29秒
11日(金)は、アムステルダムからバスで北に小一時間走り、チーズの本場として知られるアルクマールを訪れました。金曜日でチーズ市が開かれていますが、私は乳製品アウトなので、それには興味がありません。写真は立派なチーズ計量館。
アルクマールで楽しみだったのは、聖ローレンス教会のオルガン・コンサートを聴けることでした。ただし大小どちらのオルガンを使うかはわからない、とアナウンスされていました。できれば、大オルガンを聴きたい。なぜならこの楽器はフランツ・カスパル・シュニットガーの名器で、ヘルムート・ヴァルヒャを始めとする代々の名オルガニストが、コンサートに、録音に使ってきたものだからです。
じつに堂々たる構えの大教会でした。中は意外にガランとしているのは、アムステルダムの旧教会と似ています。しかし折悪しく、改装工事が進行中。コンサートが行われる様子はなく、大小どちらがいいどころの話ではありません。私のツキもここまでか、と萎れた心境になりました。
ところが、捨てる神あれば拾う神あり。専属オルガニストであるフランク・ファン・ヴァイクさんが、小・大2つのオルガンについて自ら説明し、演奏もしてくださるというのですね。長身のとても友好的なファン・ヴァイクさん、サイドにある小さい方のオルガンから、熱を込めて説明を始められました。1511年に設置されたこの楽器はミーントーン調律だというので、まず、音階上の和音の不揃いを実験。次にスウェーリンクの作品を3曲。ペダル付きのプレリュードと、エコー・ファンタジー、そして《いと高き神にのみ栄光あれ》による変奏曲。小さなグループなのに全力投球で演奏してくださるお人柄に、まず感銘。
次に大オルガンです。外見の美しさといい、たたずまいの壮麗さといい、堂々たるオルガン。ファン・ヴァイクさんは、この楽器との出会いがオルガニストになったきっかけであり、世界のシュニットガー・オルガンの中でも最高のもののひとつだと誇り高くおっしゃり、バッハの作品を演奏してくれることになりました。パルティータ《ようこそ、慈悲深きイエスよ》とヘ長調のプレリュードBWV540という、すごい選曲。父アルプのオルガンほどの冴えは感じませんが、ゴシック建築の空間に反響するパイプの音が地上にやわらかく降り注ぐ雰囲気は、コンサートホールでは味わえないもの。そのパワーを総動員して演奏されたヘ長調プレリュードでは、バッハのオルガン音楽の巨人的なスケールを、あらためて実感しました。
本当に嬉しい体験でした。不肖私の運気はますます上昇しているように思えてならないのですが、いかがでしょう(汗)。
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