カウントダウン8--感動の初練習2009年06月06日 23時14分24秒

学会講演は、私個人としてはもっとも緊張を要するものでした。しかし全体として考えれば、本当に重要なのは今日です。なぜなら今日芸大で、第2グループ(日本側)の最初の声楽リハーサルが行われたからです。日本側の演奏をリフキン先生がどう受け止めるか、また、しっかり噛み合った練習ができるかどうか、事前には予測できませんでしたので、さまざまに異なる結果を想定しながら、練習に赴きました。

お人柄を反映したなごやかな練習の過程で、今回の《マタイ受難曲》がどんなものになるかが見えてきました。それは、荘厳な《マタイ》でも強烈な《マタイ》でもなく、思いやりのある、やさしい《マタイ》です。先生が要求することの中心は、音楽が自然な流れをもつこと、言葉が明晰に、会話のように生かされること、お互いがよく聴き合って、自発性のあるハーモニーを作ることなどでした。そうすると本当に、見違えるように美しくなってゆくのですね。細部までていねいに吟味されてゆく練習に立ち会いながら思ったのは、この公演でステージに乗る4人の歌い手は、なんと幸せな人たちなのだろう、ということでした。

いい始まり方をして、ある程度の自信が出てきました。第1グループ(アメリカ側)の歌手たちも、今日、元気に来日です。