《マタイ》公演総括(1) ― 2009年06月23日 23時57分51秒
吹き抜けた嵐か、見果てぬ夢か--という2週間が終わって、そろそろ、公演を総括すべき段階にたどり着きました。私の立場から、総括を試みたいと思います。
多くの方の尽力をいただいて実現した、この公演。発端は、相模大野グリーンホールにおける「バッハの宇宙」シリーズの初めに遡ります。レクチャーの世話役になった相模原市民文化財団の後藤さんとおっしゃる職員の方が、最後に《マタイ受難曲》を上演したい、という希望をもらされました。私はもちろん、いいですね、やりたいですね、と申し上げましたが、その時点では、本当に実現しようとは、まったく思っていませんでした。
市の財団ですから、職員の方は、当然代わられます。それで潰えた企画の話も、よく聞きます。しかし相模原市民文化財団は、「バッハの宇宙」を6年間支えてくださったのみならず、都合4代にわたって、《マタイ》への夢を受け継いでくださったのです。すべては、この情熱に起因します。
今回の《マタイ》が「バッハの宇宙・最終回」と銘打たれていたのは、このためです。「バッハの宇宙」では種々マニアックなコンサートを積み重ねてきましたが、それを楽しみにしてくださる方々の輪が広がり、杜のホールはしもとの聴衆の骨格を作ったのだと思います。この機会に、ご出演いただいたすべての演奏家、ご来場いただいたすべての聴衆の方々に、御礼申し上げます。その延長線上にあったからこそ、2回のプレ・セミナー、2回の本番への盛り上がりが作り出されたのにちがいありません。(続く)
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