ハイドンの愉しみ2009年08月20日 23時54分39秒

没後200年を迎えたハイドンの音楽、皆さん、楽しんでおられますか?けっして盛り上がっているようには思えませんよね。大音楽家として知られ、尊敬されていても、人気はもうひとつ盛り上がらないように見受けられますが、それは、日本だけではありません。ウィーンのハイドン記念館も閑散としていて、トイレさえないのには往生しました。

外国のことはともかくとして、ハイドン人気が日本でもうひとつなのは、日本の音楽ファンが音楽を情緒的に聴く傾向があるからではないかと思います。音楽に感動を求めるスタンスを捨て、あたかもからくり屋敷を探検するような好奇心で音に耳を傾ければ、ハイドンほど面白い音楽も、そうありません。

そう思ったのは、ノリントン指揮、シュトゥットガルト放送交響楽団のDVD(ヘンスラー)を見たから。第96番《奇跡》、第101番《時計》、第1番の3つの交響曲が、ユーモアとウィットの固まりのように演奏されていて、こういう音楽を楽しむゆとりをもちたいな、と思いました。

ハイドンの輸入DVDでは、アンドラーシュ・シフが解説しながらピアノを弾いているフンガロトンのDVDが圧巻です。頭が指に直結しているように見事にコントロールされたピアノで、形を作りながら形をこわし、形をこわしながら形を作っていくハイドンの楽想が生き生きと表現されています。

コメント

_ REIKO ― 2009年08月21日 19時40分08秒

日本のクラシック音楽ファンって、9割近く(←数字に根拠はありませんが・・・)が、いわゆる「19世紀ロマン派好き」なのでしょうね。
例外がバッハとモーツァルトで。
「大きいことはいいことだ」的価値観の曲やサウンドで、弦楽器がレガートで情感たっぷりに歌い、最後は大袈裟に盛り上がる曲に感動!というパターンです。

で、それが「標準」になってしまうと、それ以外のパターンの曲が、ピンと来ないんだと思います。
ハイドンもその例に漏れず。
比較するのをやめて、色々な作曲家や時代の曲と、まっさらな気持で向き合えば、皆それぞれに面白い&良いところがあると思うのですが・・・。
演奏にしろ曲にしろ、「比較」でしか聴けない人が、クラシック・ファンには多い気がします。
・・・で、自分がなじんだものと違っていると、すぐに違和感を感じて、ダメ出ししちゃうんですね~!
古楽(器・アーティスト)嫌いの人も、まだまだたくさんいますし・・・。

_ I教授 ― 2009年08月21日 22時44分29秒

じつに正確なご指摘だと思います。私もその路線から出発していて、古楽になじむのには時間がかかりました。大事なのは、新しい演奏を積極的に聴いて、そのよさを見つけていくことだと思います。それがあって、古いものの価値ももっとよくわかるようになるのではないでしょうか。

_ 柴田 ― 2009年08月22日 09時34分46秒

そのシフ+ハイドンのDVDは面白そうですね。探してみようと思います。ちなみにタイトルは何というのでしょうか? ま、何種類もないかとは思いますが。

私のクラシック音楽に対するアプローチは、まったく逆というか、昔はクラシック=フルオーケストラだと思っていたので、まったく興味がないというか、どちらかと言うと嫌いでした。ジャズでもビッグバンドとか、ロックでもハードロックとかヘビメタは苦手です。大音量で押し付けてくるようなのはだめなんですね。それが二十数年前に「古楽」というものがあるのを初めて知り、にわかに魅了されました。歌でも楽器でも1パートに複数の人が必要な音楽は興味の対象から外れます。いまだにほとんどバッハ以前しか聴けません。聴いてもハイドンくらいまででしょうか。モーツァルトは一部を除いてもう...

_ I教授 ― 2009年08月22日 23時52分49秒

フンガロトンのDVDで、”Haydn piano works”というタイトルです。非音量主義、柴田さんは私よりずっと先輩でいらっしゃいますね。このことについては最近面白いことがあったので、また本欄に書きたいと思います。

_ 柴田 ― 2009年08月23日 00時24分36秒

DVDのタイトル、さっそくありがとうございます。

いやいやとんでもありません。当時の無知な私を古楽に目覚めさせ、人生を豊かにするきっかけ、頼もしい案内となったのが、先生の書かれた数々のレコードやCDの解説であり、御著書であったことは疑いのないことで、これまでに何度も申し上げてきた通りです。私は幸運にも、そうした機会に恵まれ、最初にそこから入ることができたというだけの話です。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック