思い出のソプラノ2009年08月19日 22時14分21秒

ヒルデガルト・ベーレンスさん、草津で亡くなったんですね。夕刊で知りました。レヴァインとメトロポリタン歌劇場の記念碑的な《リング》は、彼女のブリュンヒルデなくしてはありませんでした。巨人的なブリュンヒルデでなく、女らしさのいきわたる役作りが印象的でした。

今、持っているだけだったDVDに少しずつ目を通しているので、一世代前の歌い手たちと再会します。ベーレンスさんと別の意味でいいソプラノだったなあ、と思うのは、チェコ(スロヴァキア)のガブリエラ・ベニャチコヴァーさん。ジョルダーノの《アンドレア・シェニエ》を見たのですが、全盛期のドミンゴ、カプッチッリにはさまれて、じつにしっとりとした、やさしいマッダレーナを歌っています。

サイトウ・キネン・フェルティバルでヤナーチェクの《イェヌーファ》が上演されたとき、主演した彼女のステージが「イェヌーファ千回目」とアナウンスされ、度肝を抜かれたことを憶えています(百回の間違いじゃないか、と思いました)。千回と言えば、1週間に1回歌っても20年近くかかるわけですよね。世界中の《イェヌーファ》上演に呼ばれていた、ということでしょう。ポップ、グルベローヴァといった後輩に比べると地味な存在かもしれませんが、心のある、いい歌い手でした。

コメント

_ Clara ― 2009年08月19日 23時48分06秒

ヒルデガルト・ベーレンスの訃報、突然のことでビックリしました。
ネットで調べてみたら、昨日のことだとか。
昨年、草津の国際音楽祭に来日していたことを知り、今年のプログラムにも、演奏会と公開レッスンが、予定されていましたので、かなり食指が動いたのですが、チケットの手配はしないままでした。
もう20年も前になりますが、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで、小澤征爾指揮、ヒルデガルト・ベーレンス/クリスタ・ルートヴィッヒというキャストで、演奏会形式の「エレクトラ」を聴き、何とも迫力のある舞台を堪能しました。
演奏会後のパーティで、ご本人達を目の前にしながら、サインも貰わず、テーブルに並んだご馳走の方に気を取られていたことを思い出します。まさに猫に小判でした。
まだお元気で、昨年も草津に来日、日本のクラシックファンを楽しませてくれていたのですね。急のことで、残念です。合掌。

_ I教授 ― 2009年08月20日 00時35分26秒

その《エレクトラ》、一生の宝ですね。chu-intermezzoも、シュトラウスが専門なので、見たかったでしょうね。

_ chu-intermezzo ― 2009年08月21日 08時51分01秒

ベーレンスさん、学生の頃(たしか7年前だったような)NBSのガラコンサートで聴けるはずだったのですが急病でキャンセル。
私は結局一度も生で聴けないまま・・・でした。

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