《魔笛》勉強中 ― 2009年10月03日 23時36分46秒
今学期は、金曜日の「作品研究」の授業で、《魔笛》を取り上げています。昨年は《フィガロの結婚》。今年は《ドン・ジョヴァンニ》にするか《魔笛》にするかかなり迷い、《魔笛》にしました。私にとっての究極的な作品はやはり《魔笛》であること、私自身がドイツ語の方が指導がしやすいことなどが理由です。
第1幕と第2幕を2つずつに分け、鑑賞の日と研究の日、そして幕ごとに、学生の演奏(および演奏指導)の日を設けることにしました。10種類の映像を所有していますので、鑑賞の日には、それを少しずつ見ます。昨日は第1幕後半を鑑賞する番でしたが、授業中であるとはいえ、作品のすばらしさに打ちのめされてしまいました。
第1幕だったら、皆さんは、どこに感動されますか?私は、フィナーレにおけるタミーノと弁者の対話です(これって、多数派なのか少数派なのか)。対話を導入する3人の童子の合唱も、美しさのかぎり。3人の侍女から笛と鈴の渡される五重唱、その鈴が使われて奴隷が踊り出すところも、いいですね。もちろん他のところもすべて超一流の音楽ですが、私はモーツァルトの晩年様式のあらわれているところに、とくに惹かれます。
作品がいいので、映像も高水準で揃っています。でも、昨日メインで聴いたコリン・デイヴィス指揮、コヴェントガーデン歌劇場のものが、隙のないキャストと正統的な演出で、随一ではないでしょうか。この盤でザラストロを歌っているのが、フランツ・ヨーゼフ・ゼーリヒというバス歌手です。
ティーレマン指揮の《パルジファル》を聴いたとき、この新しい歌手のグルネマンツがすばらしいのに驚きました。とくにディクションと、格調の高さ。どんな人かなあと思っていたので映像は興味津々でしたが、低音もよく出ますし、芸術性の高い歌唱でみごとですね。クルト・モルの後継者たるに十分で、これからは、この人の時代だと思います。
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