30年ぶりの楽友協会合唱団2009年10月21日 23時19分11秒

今回のウィーン音楽祭 in Osaka、ひとつの話題は、楽友協会合唱団を招聘したことです。カラヤンのお気に入りだったこの合唱団は、1979年にカラヤンと一緒に来日して以来、まったく日本に来ていません。しかしウィーン音楽祭は楽友協会との提携で実施している企画なので、協会所属の合唱団を招聘することには、大きな意味があります。そこで、《天地創造》を同合唱団指揮者のヨハネス・プリンツ氏の指揮で、《ドイツ・レクイエム》を大植英次さんの指揮で演奏していただく企画を立て、招聘を実現しました。

張り切ってやってきた合唱団、今日は《天地創造》のリハーサル。どこかで聴いた響きだなあ、と思っていたら、数年前楽友協会の125周年のコンサートに出席したとき、合唱の1曲が、ムーティの指揮で披露されたことを思い出しました。まさに同じ響きが、いずみホールのステージに再現されていたのです。

夜は、「ウィーン楽友協会合唱団の伝統を語る」と題するシンポジウム。そのコーディネートが、今回における私の最大の仕事です。トーマス・アンギャン総監督の、合唱団の歴史と活動に関する講演のあと、指揮者プリンツ氏、代表アーデルハイト・ヒンク氏(ウィーン・フィル・コンマスの夫人)、団員ヨアヒム・ライバー氏(もの柔らかな典型的ウィーン紳士)、アンギャン氏という顔ぶれでパネルディスカッションを行い、さまざまなことを語っていただきました。進むにつれて印象づけられたのが、プリンツ氏の存在感。明晰な弁舌と真摯な姿勢に、ウィーンを背負う新しい逸材の台頭を実感しました。

最後に民族衣装の合唱団があらわれ、日本語の《紅葉》を含むアカペラ3曲を披露するに及んで、会場の温かい雰囲気は最高潮に。音楽のエッセンスを電気が走るように伝えるプリンツ氏の指揮に、脱帽です。関西の方、《天地創造》、ぜひおいでください(《ドイツ・レクイエム》は完売)。

部屋に戻ったら、クライマックス・シリーズの中継をやっていて、日本ハムが怒濤の攻撃中。スレッジの逆転サヨナラ満塁ホームランには鳥肌が立ちました。かくして、いい1日でありました。